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08月24日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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変わる進学

アクティブラーニングが育む力

写真:かえつ有明高で、話し合いながら物理基礎を学ぶ生徒たち=東京都江東区東雲 拡大かえつ有明高で、話し合いながら物理基礎を学ぶ生徒たち=東京都江東区東雲

写真:桐蔭学園中等教育学校で、グループに分かれて話し合いをする生徒たち=横浜市青葉区鉄町 拡大桐蔭学園中等教育学校で、グループに分かれて話し合いをする生徒たち=横浜市青葉区鉄町

 生徒同士が話し合い、発表する「アクティブラーニング」の授業が広がっている。だが、大切なのは授業形式よりも、どのような力を身につけるかだ。大学入試改革を視野に、先駆的な取り組みをしている学校を訪ねた。

(平岡妙子)

 ■仲間と話し合い、知識欲生む かえつ有明中高

 「かえつ有明中高」(江東区東雲)では授業の最初に、1時間で学ぶ内容と身につけたい力や目的をスライドに映し出し、先生と生徒で確認し合う。10月初めにあった高1の「物理基礎」では「速度と加速度について理解、説明をすることができる。グラフを使って表し、理解することができる」などを掲げた。

 生徒たちは4人ほどのチームに分かれ、「自由落下速度の公式って何だっけ」「えっと、V=gt(速度=重力加速度×時間)」などと話し合いながら、スケッチブック型のホワイトボードに書き込んで勉強を進める。先生は「この時間に育成される力は、情報収集力や要約力だけでなく、チームとしてのマネジメント力もあると思うよ」と語った。

 グループによって進度は変わり、解く問題も違う。大事なのは、主体的に考え、知ろう、解こうという意欲を育てることだ。長沼巧海(たくみ)さん(15)は「先生に教えられるよりも楽しいし、集中できる。友だちと話しながら一緒に考えると、身につくなと感じる」と話した。

 同校では生徒が自分で調べて発表する「アクティブラーニング」にとどまらず、能動的に深く学ぶ「ディープラーニング」を目指す。先生は知識を教えるのではなくて、生徒たちの状態をよく見て、サポートすることが役割だ。佐野和之教育統括部長(47)は「上手に発表することが目的ではない。何を身につけたいのか、生徒自身が考え始めると、もっと深く知りたいという意欲が生まれてくる」と狙いを話す。

 ■課題見つけ解決へ 桐蔭学園

 「どこの国の大使になるか、紙をひいて」

 桐蔭学園(横浜市青葉区)の高1の「探究」という国際ゼミの授業では、選んだ紙に書かれた国の大使として、貧困の撲滅を話し合う。15分間で経済成長率などのデータや、貧困から抜け出せない理由を調べ、他国にどんな支援を求めるのか、1人が30秒でスピーチをする。

 生徒たちはスマホを使って情報を集め、アンゴラ大使になった生徒は「我が国では乳児死亡率が高いので、医薬品の支持を求めたいです」と主張した。今の時代、データを調べて発表することは簡単だ。だから授業ではその先の課題を見つけ出し、解決方法まで考える力を重視している。

 同校には中1から高2まで、「未来への扉」という社会の課題解決力を育てる授業がある。「探究」もその一つで、調べて発表をするアクティブラーニング型の授業を繰り返し、最終的には、社会の課題を解決する力の育成を目指す。地道な取り組みだが、大学入試改革で求められる「思考力」や「判断力」にもつながる。

 川妻篤史教育企画室長(44)は「記述式問題の対策指導だけでは、中身のある文章を書けるようにはならない。課題をどう解決するか深く考え、社会とつながる力を育てる必要がある」と語る。

 ■各教科で能動的に 都立両国高

 公立中高一貫校の都立両国高(墨田区江東橋)は多くの授業で、生徒同士が話し合い、教え合う授業を行っている。アクティブラーニングと位置づけている特定の授業はないが、各教科に自然な形で取り入れられている。

 例えば英語の授業は中1から日本語を使わない。英文を習うと2人1組のペアになり、声に出して練習し合う。人前で話すことへの抵抗感や、他の人にどう思われるのかという自意識を、薄れさせるためだ。人前で話すことに慣れると、プレゼンテーションも積極的に取り組めるという。

 英語を使って考えることを積み重ねているため、「英語4技能を測り、思考力を問う大学入試改革にも準備ができている」と笠原聡附属中副校長(59)は自信を見せる。だが、英語を学ぶ目的は大学合格ではなく、社会に出てから海外の人と共同して取り組める力をつけることだ。笠原氏は「長い目で大事にしたいのは、知的好奇心を育てること。自分で答えを見つける方法を学んでいる」と話す。

 ■(POINT!)生徒が意欲持つ仕組み作りを

 アクティブラーニングについて調査をしている立教大・中原淳経営学部教授(43)に、大学入試改革に向けた意義を聞いた。

 自分で問いを設定し、課題を解決する答えを見つける。こうしたアクティブラーニングで身につく力は、思考力や判断力を求める大学入試改革と相関関係があります。

 生徒に知識を教え込んでいた教師にとっては、アクティブラーニングで学力が向上するのか、不安でしょう。しかし、これからは答えのない問題を、教師が生徒と一緒になって考える姿勢が重要です。

 アクティブラーニングが効果を上げるために大事なことは、発表の仕方など形式的な問題ではなく、学んだことが社会や人の役に立つのだと生徒が実感し、意欲を持つ仕組み作りです。そのためには、学校全体で、教科を超えて取り組まなければなりません。学校の組織改革も課題です。

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