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変わる進学

小学校受験、人気じわり回復

写真:慶応義塾幼稚舎の受験日の様子。雨が降る中、足早に校門へ向かう親子=6日、渋谷区恵比寿2丁目 拡大慶応義塾幼稚舎の受験日の様子。雨が降る中、足早に校門へ向かう親子=6日、渋谷区恵比寿2丁目

 「小学校受験」のシーズンがやってきた。10年前のリーマン・ショックなどを機に、一時はかげりも見えていたが、徐々に人気が回復しており、特に大学の付属や系列の小学校の志願者が増えている。

(大賀有紀子、宮坂麻子、横川結香)

 ■先見えぬ大学入試、反映

 今月1日、都内の私立小学校の入試が始まった。朝から紺色の「受験スーツ」姿の両親と、白のポロシャツやブラウス、紺色ベストを着た子どもが、手をつないで私立小学校の門をくぐっていった。

 周囲の県では一足先に受験シーズンが到来した。浦和ルーテル学院小学校(さいたま市)は、9月と10月に開かれた2回の入試で、志願者数が計204人となり、昨年の総志願者数84人を大きく超えた。福島宏政校長(63)によると、7月に青山学院大と系属校の協定を結んだことの影響が大きいという。浦和ルーテル学院は小学校から高校まで一貫で、一定の進学基準を満たせば、青山学院大に優先的に入学できるようになった。

 横浜英和学院(横浜市)の中高も青山学院大の系属校になり、2016年度に名称を「青山学院横浜英和中学高等学校」に変更した。同じ法人が経営する横浜英和小学校は系属校になっていないが、推薦で中学に進学できるとあって、人気が高まっている。今年は、14年度の志願者数の約3倍の150人に増えた。

 以前からある、付属や系列の学校の人気も高まっている。青山学院初等部(渋谷区)の志願者は14年度の395人から、今年は492人に。中村貞雄・初等部長(61)は「本校が一番の柱とするキリスト教主義の人格教育、これからのグローバル社会・IT社会に必要な主体的な教育が高く評価されている」と話す。

 02年度に早稲田系属の小学校として初めて開校した早稲田実業学校初等部(国分寺市)は、15年度に志願者が1千人を下回ったものの、18年度に再び4桁となり、今年はさらに増える見込みだという。慶応義塾幼稚舎(渋谷区)の志願者は1500〜1600人前後で推移しているが、13年度に開校した横浜初等部(横浜市)は、18年度は前年度より131人増えて計1373人となった。幼稚舎と異なり、進学先は湘南藤沢中等部(神奈川県藤沢市)だけだが、娘を受験させた母親(49)は「慶応大学まで進めるメリットは大きい」と話す。

 都内の大学付属の小学校の合格発表に訪れた母親(48)は、上の子3人を公立小に通わせたが、末の息子は小学校から私立一貫校の道を選んだ。理由の一つは、20年度からの大学入学共通テストの導入や入学定員の厳格化など、先行きが見えない大学受験への危機感だ。「大学受験は厳しくなっており、内部進学もでき、外部受験の道もある付属校はありがたい」という。別の母親(48)も「中学、高校、大学と受験に振り回されるより、その分の時間とエネルギーを違うことに使って欲しい」と付属小学校のメリットを語った。

 ■系列外の大学へ進学者増

 来春開校する東京農業大学稲花小学校(世田谷区)は、23区内では約60年ぶりの新設私立小学校だ。1日から前期の入試が始まり、約50人の定員に対して志願者は約430人と約9倍の人気。10日から始まる後期(定員22人)も約400人が志願している。

 世田谷区には、成城学園や田園調布雙葉、東京都市大付、和光などすでに7校の私立小がある一方、高層マンション建設などで学級数が増えた小学校もある。岩本勇二・設置準備室長(48)は「教育熱心な保護者が多く、事前調査でも十分ニーズはあるとみた」としたうえで、志願者は「予想以上です」と驚く。

 保護者に志望理由を聞くと(1)農大付属だから(2)東京農業大第一高校に進める(3)体験学習ができる、の三つが多かったという。農大第一高は、他大学の進学者が増え、今春は東京農大に卒業生の約5%が内部進学した。「農大進学より、北海道から宮古島まで広がる大学施設の活用や大学との連携授業、体験学習など、付属校ならではの実践的教育に魅力を感じてもらえたのでは」と岩本室長はみる。

 小学校受験塾「伸芽会」(本部・豊島区)の飯田道郎教育研究所長(58)によると、最近は付属校から他大学へ進学する生徒も増えている。「大学付属の小学校が人気なのは、一貫校の良さに加えて、系列以外の大学への進学もチャレンジできるようになってきているためだろう」と話す。

 ■(POINT!)ペーパーテストの比重が減る

 小学校受験の変化について、大手幼児教室「こぐま会」久野泰可代表(70)に聞いた。

     ◇

 いまの小学校受験は、高校から海外へ行くことや、系列でない大学を受験するなど幅広い進路も視野に入れ、学力をしっかり身につけてくれる学校が人気です。

 大学入試改革は、小学校受験にも大きく影響しています。ペーパーテストの比重は減り、どの学校も行動観察に力を入れている。命令指示を守れるか、運動能力が高いかという内容に加え、グループの中での振る舞いも重視される。例えば、集団で周りの子の意見を聞きながら物を作ったあとに、ごっこ遊びをする学校もあります。聴く力や、相談し合って考える力が求められています。

 一方、ペーパー学習を繰り返して受験対策をするだけでは、小学校に入ってから勉強が嫌いな子どもに育ってしまいます。親と会話しながら、遊びを通して失敗し、考える時間を大事にしなければなりません。

(平岡妙子)

 ■首都圏の主な私立小の志願者数

小学校名     14年度志願者数   19年度志願者数

青山学院      395( 88)  492( 88)

慶応義塾幼稚舎  1607(144)  非公表(144)

成蹊        644(112)  685(112)

成城学園      非公表       264( 68)

玉川学園      非公表       159(140)

東京都市大付    390( 80)  403( 80)

日本女子大附豊明  230( 60)  248( 54)

立教        382(120)  481(120)

立教女学院     222( 72)  594( 72)

早稲田実業    1026(108)  非公表(108)

関東学院      119( 72)  132( 72)

慶応義塾横浜   1257(108)  非公表(108)

横浜英和      非公表       150( 66)

浦和ルーテル学院   81( 60)  204( 75)

 ※朝日新聞社調べ。かっこ内は定員(一部の学校は内部進学者も含む)。玉川学園、関東学院、浦和ルーテル学院は19年度の志願者数は6日現在、今後も続く予定

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