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10月19日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Tokyo View

弔いのカタチ上/都心で安価な供養

写真:眞敬寺の納骨堂(左)。隣の9階建てビルとほぼ同じ高さだ 拡大眞敬寺の納骨堂(左)。隣の9階建てビルとほぼ同じ高さだ

写真:眞敬寺の墓参室を案内する釈朋宣住職。墓石の中央の四角部分に遺骨を入れた厨子が入る=いずれも台東区寿1丁目 拡大眞敬寺の墓参室を案内する釈朋宣住職。墓石の中央の四角部分に遺骨を入れた厨子が入る=いずれも台東区寿1丁目

 ◆墓7000基分収まるビル型「搬送式納骨堂」も

 墓が変わりつつある。屋外に並ぶ墓石とは違う、新たな供養の方法が東京都内で広がっている。

 読み取り機にカードをかざして約1分。ウィーン、カシャン――。かすかな機械音の後、エレベーターの入り口を思わせる戸が左右に開き、目の前に黒御影石の「墓」が現れた。

 眞敬(しんきょう)寺(東京都台東区)が昨年10月に建てたビル型の「搬送式納骨堂」の墓参室だ。7階建ての建物に、墓7千基分の遺骨を納められる国内有数の規模。空調やエレベーター、会食場や授乳室まで備え、釈朋宣(しゃくほうせん)住職(43)は「東日本大震災で本堂が半壊し、思い切って多くの人が安心して参れる施設に建て替えた」と話す。

 近くにある同寺の墓地は、100坪弱の敷地に墓が約300基。納骨堂も敷地は135坪だが、その収蔵能力は桁違いだ。可能にしたのは、遺骨を納めた家名入りの箱(厨子(ずし))を立体的に保管し、墓参室まで機械で運ぶ自動搬送システム。同室には備え付けの墓石があり、その空洞部分に後ろから厨子をはめ込み、戸が開いて遺族の前に現れる仕組みになっている。

 大手物流機械メーカー・ダイフク(大阪市)が製造した。1996年以降、全国約40カ所の搬送式納骨堂を手がけたという。

 「2001年ごろに都心で登場し、交通の便が良く、従来の墓より安価な場合が多いので人気が出た」。墓の情報サイト「いいお墓」を運営する鎌倉新書(東京都中央区)の小林史生取締役はそう解説する。

 約300の石材業者でつくる全国優良石材店の会(東京都品川区)の18年の調査では、都と神奈川、千葉、埼玉の3県の墓の購入費(用地取得費を除く)は平均で1基約183万円。

 一方、狭い敷地でも数千基分の遺骨が収蔵できる搬送式納骨堂は80万〜100万円が相場だ。また、17年に墓を買った人を対象にした鎌倉新書の調査では、墓地選びの理由に「立地の良さ」を挙げる人が31%と最も多く、その点でも、都心に造りやすい搬送式納骨堂は適している。

 首都圏にある寺の住職は「あの形態には違和感があったが、安価で供養の場を提供でき、人助けにもなるかと思った」と話す。

 5年以上前、葬祭関連会社からの誘いで墓4千基分の搬送式納骨堂を建て、永代使用料など利用者の初期費用を1基90万円、管理費を年1万5千円とした。駅に近い立地の良さもあって約7割が契約済みで、管理や販売を担う葬祭関連会社への委託料を差し引いても、建設費10億円は回収のめどが立ったという。

 参拝者も多い歴史ある寺だが、後継者不足から、檀家(だんか)は徐々に減っている。住職は「境内地を使ってマンションを建てようにも、墓地に隣り合った寺では入居者を集めづらい。(納骨堂建設は)寺をどう維持していくか考えていた時期だった」と話した。

 鎌倉新書の資料をもとにした朝日新聞の取材では、16〜18年に都内で少なくとも11の搬送式納骨堂が建設(予定も含む)。収蔵能力は計約6万7200基に上る。通常、1基に最大8体分の遺骨を納められるため、計算上は50万人分を超す「墓」が現れた形だ。搬送式納骨堂の多くは「宗派自由」をうたい、投資会社が建設に加わることもある。

 家庭事情などで墓を閉じて遺骨を移す「改葬」が増えており、そういった需要も見込めるものの、死者数は近年、都内全体でも年約11万人。鎌倉新書の小林取締役は「人気の高さから一気に増えたが、供給過多になりつつある。販売競争が激しい」とみる。

 ビルやマンションと同じく、将来、大規模修繕が必要になる。搬送式納骨堂を建てたある寺の住職は「修繕費を計画通り積み立てられれば良いが、寺や管理会社の経営が傾けば、多数の遺骨の保管が難しくなる恐れもある」と話した。

 (岡雄一郎)

■2016年以降に都内にできた主な搬送式納骨堂

所在地 納骨できる区画数

 <16年>

墨田区  4514

文京区  6665

 <17年>

港区    8264

港区    5182

新宿区  4369

荒川区  1537

台東区  7000

 <18年>

品川区  9500

墨田区  4157

台東区  4500

文京区 11500

 (完成予定も含む。区画数は自治体や寺側の資料などによる)

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