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10月17日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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弔いのカタチ下/墓守の負担 子孫に残せぬ

写真:都立多磨霊園で、墓の中から骨つぼを取り出す松本高明代表ら(左)。骨つぼの中には水が染みこんだものがあり、横にして水抜きもした=府中市多磨町4丁目 拡大都立多磨霊園で、墓の中から骨つぼを取り出す松本高明代表ら(左)。骨つぼの中には水が染みこんだものがあり、横にして水抜きもした=府中市多磨町4丁目

写真:都立小平霊園の合葬墓で供養する杉さん親子ら。杉幸子さんは「知っている土地に戻れて、主人も喜んでいると思う。連れてこられてよかった」=東村山市 拡大都立小平霊園の合葬墓で供養する杉さん親子ら。杉幸子さんは「知っている土地に戻れて、主人も喜んでいると思う。連れてこられてよかった」=東村山市

写真: 拡大

◆都内の「改葬」昨年度は10年前の4割増

 ◇未婚率上昇・少子化 継承不安へ傾く

 受け継いできた墓を閉じる人が都内で増えている。先祖はどこで安らぐのか。

 10月下旬、都内最大の墓地、都立多磨霊園(府中市、小金井市)。墓石の前に開いた穴から、黄色や茶色に変わった四つの骨つぼが取り出された。僧侶の読経の後、石材店の従業員が店の車に骨つぼを運び込んだ。30分ほどで80年以上受け継がれた墓から主がいなくなった。

 墓を閉じ、遺骨を別の場所に移すことを「改葬」と言う。この日、改葬をした横浜市の杉玲子さん(62)と母の幸子さん(82)は、10年ほど前に幸子さんが病気を患うまで年2回、自宅から2時間半かけて墓参していた。だが、めっきり回数の減った最近は、近くの石材店に清掃を頼んでいた。

 「墓参りに行けず、気がかりだった」という杉さんが「引っ越し先」に選んだのは、多磨霊園から北に約8キロの都立小平霊園(小平市など)にある「合葬墓」。園内の2カ所で計5万1千体の遺骨を納められ、都が管理している。利用者は納骨時に一体あたり約6〜7万円(今年度)の使用料を払えばその後の管理費は不要だ。杉さんの場合、都立霊園間で納骨場所を変更する制度を活用したため、合葬墓の使用料はかからない。

 供養されていたのは、父方の祖父母、伯父、父の4人。杉さんの長男は面識すらなく、「子供に将来の墓守の負担が集中しないように、自分の代でできることはしたかった」と理由を明かした。

 府中市の石材店「石誠メモリアルサポート」が必要な作業を請け負った。費用は約30万円で、これまでの相談件数は約200件。子がいなかったり、先祖と同じ墓を避けたかったりする人の依頼が多いというが、松本高明代表(60)は「先祖の墓を閉じる後ろめたさを、みなさん感じている」とも話した。

     *

 改葬には自治体の許可が必要だ。都立霊園の場合、その後は墓石を取り除いて更地にし、利用者を再び募る。国の統計によると、都内では昨年度に8627件の改葬があり、10年前より4割多かった。

 有名寺院でも、旧来の供養とは違う形が登場している。

 昨年11月に4万8千人分の遺骨を納められる合同墓を新設した築地本願寺(中央区)は、週3回の説明会がいつも満席。一時は「1カ月待ち」だったというほどの盛況ぶりだ。

 法要は浄土真宗の儀礼でするが、納骨される人が信仰した宗教・宗派は問わない。石川勝徳法務参拝部長は「布教を目的に、寺と接点を持ってもらうために造った」と説明する。

 一定期間は個別に安置する形態もあり、初期費用は30万円台から100万円以上まで様々だ。今年10月までに都内外から3千件超の申し込みがあり、約8割が生前の予約という。妻と2人分を予約した江戸川区の田中正義さん(73)は「子どもはおらず、自分たちの墓のことは、自分たちで何とかしたい。多くの人が参ってくれる合同墓なら寂しくもない」と話した。

 墓石や建物のない「樹木葬」も認知度が高まっている。都公園協会によると、今年度、都立霊園の利用応募者計2万7845人のうち半数近い1万2640人が、小平霊園の「樹林墓地」を望んでいた。自然分解される布に遺骨を包み、林の地中に共同埋葬する形態で、その応募倍率は7.9倍に上った。

 「未婚率の上昇や少子化で、血縁者が将来も墓を管理できるとは限らない。旧来の継承システムが機能しなくなっており、それに代わる形が注目されている」。墓について詳しい立教大社会デザイン研究所の星野哲研究員は、家族形態の変化が供養の形を変えているとみる。「地方から人が集まり、核家族化も進んだ東京は、その傾向が特に顕著。継承不要な墓の形は、今後も新たに出てくるだろう」

 (金山隆之介)

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