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変わる進学

高校募集再開、女子校の試み

写真:中村高校国際科の英語の授業で、英文の文法の誤りを探すミニゲームを楽しむ生徒たち=江東区清澄2丁目 拡大中村高校国際科の英語の授業で、英文の文法の誤りを探すミニゲームを楽しむ生徒たち=江東区清澄2丁目

都内の私立女子高は高校から募集しない完全中高一貫校が約4割を占め、特に大学受験で進学実績を上げている高校はその傾向が強い。そんななか、「使える英語」や「国際理解」を掲げ、あえて高校からの募集を再開する中堅校が出ている。(横川結香)

 ■生徒集め苦戦、背景に

 「Dear sisters and brothers……」

 朝8時半、麹町学園女子中学・高校(千代田区)の教室に英語のスピーチが流れると、生徒たちは音声を追いながら原稿を読み上げる「オーバーラッピング」を一斉に始めた。英語力を上げる取り組みで、毎朝10分間行っている。この日の高1の題材は、マララ・ユスフザイさんが2014年にノーベル平和賞を受賞した際の演説だった。

 同校は2年前に、英語の指導内容を刷新した。英語教育に関する文部科学省の有識者会議委員を務めた安河内哲也氏を特別顧問に迎え、2020年度から始まる大学入学共通テストで測定する「読む・聞く・話す・書く」の4技能をバランス良く教えるようになった。定期テストも4技能の習熟度を測り、「使える英語」を身につけることを目指す。

 改革を反映させる一環として、2017年度に「東洋大グローバルコース」を設け、6年ぶりに高校からの入学を再開した。コースに在籍する生徒は英語の授業が週10時間ほどあり、在学中に英検2級以上に合格するなどの条件を満たせば、教育連携を結ぶ東洋大へ進学できる。

 同校は中高一貫教育を行うため、12年度入試から高校の募集を停止した。しかし、その後は生徒集めに苦労し、この数年は募集定員120人に対して入学者は約60人で推移している。入試担当者は「不景気や公立人気など理由は複合的だが、学校としても社会情勢に合った取り組みが出遅れた」と省みる。

 そこで「英語」「国際理解」をキーワードに、英語教育の改革と高校入試の再開を打ち出したところ、昨年度は40人、今年度は42人が入学した。山本三郎校長(69)は「受験生の保護者は、職場などで英語の必要性に迫られる機会が増えた世代。国際は圧倒的に響く言葉だった」と話す。

 普通科と国際科を置く中村中学・高校(江東区)も今年度、高校入試を10年ぶりに再開した。来年度までは国際科のみだが、再来年度からは普通科でも募集し、計70〜80人程度の入学を想定する。

 江藤健・入学対策部長(47)は「08年のリーマン・ショック以降の不景気などで中堅女子校は苦戦が続いている」と話す。同校が完全中高一貫となった09年度当時は1学年に160人以上が集まったが、ここ数年は80人前後だ。

 中3の受験生を対象に開いている国際科の説明会には、毎回10組ほどが参加し、留学中の生徒とスカイプで会話する時間を設けると、受験生の多くが関心を寄せたという。江藤部長は「世界は確実に縮まっている。国際科での学びは世間のニーズに応えるものと考えている」と話す。

 ■受験重視で中高一貫

 都私学行政課によると、都内の全日制私立高校は231校(休校を除く)。このうち、女子校は83校あるが、33校は完全な中高一貫校で、高校からの入学が原則できない。男子校は31校中、高校で募集していないのは12校だ。

 安田教育研究所の安田理さんによると、女子校で一貫校が多いのは、成り立ちとも関係している。

 キリスト教系の女子校の多くは、宣教師たちが戦前に開いた。「お嬢様学校」のイメージがある聖心女子、白百合、田園調布雙葉など、小学校もある学校が代表例だ。安田さんは「古くは小、中、高校と学んで良縁に嫁ぎ、『奥方』を育てる教育が重視されていた」と説明する。

 一方、近年はこうした伝統校を含め、大学進学やキャリア教育を目的に中高一貫制を取る学校が多い。「女子御三家」とも呼ばれる桜蔭、女子学院、雙葉は以前から中高一貫で、この20年余りで吉祥女子や鴎友学園女子も高校からの募集を取りやめた。

 安田さんは「学校のあり方は時代の流れを映し出す。今は女性が一生働く時代。結婚や出産などを経験しながらもたくましく生きる人材の育成に取り組むためにも、6年をかけている学校が多い」と指摘する。

 ■(POINT!)難関大学目指すには少ない選択肢

 大手進学塾「早稲田アカデミー」の酒井和寿・高校受験部長(48)に、女子の高校受験について聞いた。

     ◇

 女子の4年制大学への進学率が50%にまで上がりました。社会進出が進んでいるように見えますが、高校受験の現場では、課題が残っています。

 例えばこの春の東大の合格者数を高校別に見ると、上位30校のうち、首都圏の中3女子が受験できるのは公立4校を含む計8校。私立の女子校は豊島岡学園女子だけです。都内の中堅または上位の私立女子校は、高校の募集がない学校が多いのです。

 東大が全てではありませんが、女性のキャリア形成を考える上で、象徴的な数字です。難関大学を目指したい女子にとって、この選択肢の少なさは、将来の可能性を閉じているかのように映ると思います。

(聞き手・横川結香)

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