メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

08月24日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

変わる進学

医学部面接、総合評価の試み

写真:医学部を目指し、メディカルラボ東京立川校で授業を受ける女子生徒=立川市 拡大医学部を目指し、メディカルラボ東京立川校で授業を受ける女子生徒=立川市

 医学部の入試では、面接がつきものだ。「医師としての特性をみるため」とされるが、面接の手法は大学によって異なる。大学側も受験生を「総合的に評価」しようと、様々な試みをしている。

(大賀有紀子)

 ■短く数回「多角的に」

 最近、短時間の面接を複数回繰り返す「MMI(Multiple Mini Interview)」という方式を採り入れる大学が増えている。

 2017年度入試から導入した東京慈恵会医科大(港区)の場合、受験生が五つの部屋を順番に回り、それぞれで面接の担当者から出された質問に1対1で答える。一つの面接にかける時間は約7分。大学側は問題を公表していないが、予備校の調べによると、未婚率のグラフなどの資料を用いて意見を述べさせることもあるという。

 狙いは「多様な医師の輩出」で、筆記試験だけでは測れない表現力や、自分の役割を考える能力などを評価するという。同大医学科入試委員長は導入の効果について「多角的側面からの評価ができるようになった。受験生一人ひとりの特性を把握しやすくなったと感じている」とコメントしている。

 MMIでは、「自分の後ろにも人が並んでいるタクシー乗り場で、高齢者がうっかり割り込んできたらどうするか」や「自分も相手も小学生の集団登校を避けようとして、自分の自転車が相手にぶつかった時、自分に非はあるか」のような、倫理のような質問が出されることもある。

 藤田医科大(愛知県豊明市)はAO・一般入試で導入しており、15分程度の個人面接に加え、約5分間のMMIを2〜4回実施している。同大の担当者は「対策が難しいため本当の人物が見える。面接する人が同じ質問をすることで、評価も安定する」と話す。

 国立大でも、同様の手法を取るところが出てきている。医学部専門予備校メディカルラボ東京立川校の野水翔太校舎長(31)は「MMIは多種多様な質問をしてくるので、専門性の高い対策が必要だ」と話す。

 ■長時間「人間性見る」

 一つ一つの面接を長時間にする大学もある。

 17年春に医学部を新設した国際医療福祉大(千葉県成田市など)は、1人30分の面接を2回行う。質問をする側は各3人。1回目は志望動機や高校時代の部活動など、2回目は時事問題への賛否などの意見を聞くという。

 自ら面接もする大友邦学長(64)は「30分も話していれば事前に対策してきた姿ではなく、本来の人間性が見られる」と話す。受験生が時事問題を知らない場合は、かみ砕いて説明し、答えを引き出すようにするなど、意見を聞くことを重視する。ただ、判定には小論文や一次試験の結果も加味され、「面接だけで合否を決めることはほとんどない」ともいう。

 メディカルラボによると、東邦大(大田区など)では医師さながらの質問を面接で出題する。患者に手術同意書にサインさせる、チーム医療の中でもめた場合、など場面を設定され、どのように対応するか問われる。

 ■見えない配点や基準

 全国の医学部がある国公私立大82校のうち、入試で面接を実施しないのは九州大だけだ。野水さんは「医学部入試は、大学にとって医師の就職試験のような側面がある。大学側は医師の適性があるか、早めに見極めようとしている」と話す。

 一方で、多くの大学が面接の配点や評価基準などは公表しておらず、受験後、成績開示に応じる大学もほとんどない。医学部入試をめぐっては今年に入ってから複数の大学で女子や浪人回数の多い受験生を不利に扱ったり、特定の受験生を優遇したりしていたことが判明し、不透明さも問題となっている。

 私立大医学部を受験予定の高3の女子(18)は、こうした問題が明るみに出たことで「来春は、逆に女子の合格者が増えるのではないか」と期待する。「面接では、結婚、出産しても医師として働き続けたいと言う」と話す。ただ、受験校の面接評価基準は不明で、その点は不安が残る。

 医学部以外でも、面接を取り入れる大学は広がっている。河合塾教育情報部チーフの岩瀬香織さんによると、国公立の教員養成系学部で目立ち、19年春は宇都宮大教育学部と上越教育大が前期日程で始める。「大学入試改革を見据え、『主体性』を評価するための動きだろう。教育系では、教員となる資質を入学時点で見極めたい狙いがある」とみる。

 ■(POINT!)「主体性」重視するなら透明な評価を

 医学部入試で面接を行う理由を、駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長に聞いた。

     ◇

 医学部の面接は職業に直結します。学力が高くてもコミュニケーション力がないと患者はみられない。社会も、丁寧に話を聞き、説明してくれる医者を求めています。

 一部の大学では、臨床医に向かない人でも研究者にする道があり、面接ではよほどのことがなければ落とさないというのが一般的な見方です。しかしそういう道がない大学では、「臨床現場に送り出すのは厳しい」と判断した人をどうするか、悩むと聞きます。

 募集要項に、面接の評価基準や配点を公表、結果も開示すれば、不透明さは多少薄れるでしょう。ただ、大学側にとっては志願者が減る懸念もあります。医学部だけの問題ではありません。入試改革で「主体性の評価」を重視すればするほど、不透明に思われないような評価を考える必要があります。

(宮坂麻子)

PR情報

ここから広告です

PR注目情報

東京総局からのお知らせ

東京総局では、都内の最新のニュース、企画、特集などをお届けしています。
身の回りで起きたちょっといい話をメールで「東京取材班」あてにお寄せください。メールはこちらから

朝日新聞 東京総局 公式ツイッター

注目コンテンツ

  • 写真

    【&w】カカドゥの不思議な野鳥たち

    ノーザンテリトリー〈PR〉

  • 写真

    【&TRAVEL】遊び心満載の豪華客船

    船上でサーフィン?〈PR〉

  • 写真

    【&M】廃虚の朽ち果てていく美しさ

    「変わる廃墟展 2019」

  • 写真

    【&w】劇場鑑賞券を3組6名様に

    「&w」読者プレゼント

  • 写真

    好書好日旅するように異国料理を作る

    宮崎あおいさん初の料理本

  • 写真

    WEBRONZAカーシェア急拡大

    今日の編集長おすすめ記事

  • 写真

    アエラスタイルマガジンこれぞ手軽な手土産の大本命

    手土産に縁起のよい「虎家喜」

  • 写真

    T JAPAN未来を変えるコスメ 第2回

    全米で話題の「CBDオイル」

  • 写真

    GLOBE+注目は年齢差だけではない

    マクロン大統領夫人の実像

  • 写真

    sippo絶滅の危機に瀕するトラ

    生態は猫とほぼ同じ

  • 働き方・就活

  • 転職情報 朝日求人ウェブ