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凸凹の輝く教育

「合理的配慮」を考える(10)

写真:勉強の後、墨東特別支援学校の先生とポーカーをする颯太さん。真剣勝負の合間に笑みがこぼれる=10日、中央区明石町、上野創撮影 拡大勉強の後、墨東特別支援学校の先生とポーカーをする颯太さん。真剣勝負の合間に笑みがこぼれる=10日、中央区明石町、上野創撮影

 ◆闘病中、都内の姉妹校で受験

 長崎市に住む颯太さん(17)は3年前の1月、東京都内の私立高校で1人、入試に臨んだ。前年夏に小児がんの一種のユーイング肉腫を発症し、東京の病院で治療中だった。

 当初、受験はあきらめていた。治療のスケジュールを考えると、長崎へ戻って受験するのは難しい。小学校高学年から塾にも通っていたが、入院中は体調が悪く、ほとんど勉強できなかった。「高校は、卒業を1年遅らせて受けるしかないかな」と思っていた。

 訪問教育を受けていた都立墨東特別支援学校の教諭にその話をしたところ、長崎の高校の入試日程を調べ、いくつもの学校に掛け合ってくれた。その中で一つの私立高が「管理職や入試担当者で話し合った結果、東京の姉妹校を会場として受験を認めます」と応じてくれた。

 「できるなら受けたいと思った。入試の1週間前から(墨東の)先生に試験問題の特訓をしてもらった」と颯太さんは話す。

 試験日は、手術予定日の2日前だった。感染を防ぐためにマスクをし、タクシーで姉妹校に向かった。試験会場の部屋には大きな会議用の机があり、椅子がふかふかだったのを覚えている。長崎から来た私立高の教諭が試験官だったが、柔らかい雰囲気の人で、緊張はしなかった。苦手な英語はいま一つだったが、国語と数学は手応えを感じた。

 病院に戻り、手術日を迎えた。合格通知は、術後の痛みを薬で抑えているときに、母親が病室で見せてくれた。

 手術後に感染症にかかったこともあり、退院は夏にずれ込んだ。松葉杖をついて登校できたのは2学期から。なじめないかもしれないという不安もあったが、「アニメやゲーム、サッカーの話で盛り上がれる友達ができて、うれしかった」と話す。

 高校2年の夏に再発が分かり、治療のために再び上京。この時も墨東特別支援学校と高校が密に連絡を取り合ってくれた。学籍は移さず、「教育相談」の一環として墨東の教師が授業をし、それを確認した高校が出席扱いとした。今年2月に長崎に戻り、3年生に進学した。だが、8月にまた再発が分かり、現在は3度目の治療中だ。

 いまは大学受験を控えている。感染のリスクがあるため、関東の私立大に別室での受験を申し込むつもりだ。進学を目指すのは、闘病を通じて「放射線技師になる」という夢ができたから。

 「患者さんをリラックスさせられる技師になりたい。ちょっとした声かけで患者は安心する。治療を受けてきた経験を生かせると思う」

 (上野創)

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