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変わる進学

大学入学共通テスト、どう捉える 

写真:開成中学・高等学校の柳沢幸雄校長 拡大開成中学・高等学校の柳沢幸雄校長

写真:上智大の吉田研作・言語教育研究センター長 拡大上智大の吉田研作・言語教育研究センター長

写真: 拡大

 入試シーズンの本格的な幕開けとなる大学入試センター試験まであと1週間。そのセンター試験も来年の実施を最後に「大学入学共通テスト」に代わり、「思考力・判断力・表現力」をより重視するようになるほか、英語の「読む・聞く・話す・書く」という4技能を測るため、民間試験が導入される。大きな改革をどう考えればいいのか。2人に聞いた。

 ■意思を正確に伝える訓練を 柳沢幸雄さん(開成中学高等学校長)

 大学入試改革が目指している内容は、本質的には正しい。大学入学共通テストで重視しようとしている「思考力・判断力・表現力」は重要だ。「読む・聞く・話す・書く」という英語の4技能を評価するのも、言葉の機能を余すところなく扱う意味で非常に良い。これだけ日本に来る外国人が増えている状況では、学問と関係なく、外国語を聞いたり、話したりする力が必要になる。

 問題はむしろ大学の「出口」だ。日本の大学は入試で受験生一人ひとりの力を細かくみる。しかし、卒業する時には単位数や卒業論文・卒業研究で判断する。指導教官も、顔を知っている学生の卒論が不十分だとしても、就職が内定していると「半年間やり直せ」とはなかなか言わない。結果的に、大学の質も企業の質も落としている。

 かつて日本企業は「白無垢(むく)で来て。うちの色に染めるから」と考えていたが、終身雇用の時代は終わっており、そのように人を育てることは難しい。企業で育てられないのならば、求める人材を大学に明示することが必要だ。それがないにもかかわらず、高校と大学の接続の大学入試だけを改革しても、大学教育は変わらない。

 教育の本質は、生徒一人ひとりの好みと素質を引っ張り出すことだ。中高生時代は大学入試の対策をするよりも、自分の個性にあった生き方を考えて欲しい。自分が何に向いているか、それを達成するためには何が必要か。様々な経験を重ね、自分が面白いと思えることを見つけて欲しい。この時期は、教師や授業だけでなく、周りの生徒からも学んで成長する。そのためにも中学や高校を受験するのであれば、自分にあった環境の学校選びが大切だ。

 親は、思考力や表現力をつけたいなら、幼いころから子どもにできるだけ多くしゃべらせて欲しい。そして、What(何を)、Who(誰が)、How(どのように)といった、英語の疑問詞を合いの手として入れる。相手に意思を正確に伝える訓練が、「思考力・判断力・表現力」への一番の近道だ。

  *

 柳沢幸雄さん 1947年生まれ。東大名誉教授。ハーバード大大学院准教授・併任教授などを経て2011年度から現職。教育の著書多数。

(聞き手・宮坂麻子)

 ■英語4技能強化、対話が鍵 吉田研作さん(上智大学・言語教育研究センター長)

 大学入学共通テストで「読む・聞く・話す・書く」という英語の4技能を測るために導入される民間試験を不安に思う受験生は少なくない。ただ、対話を重視した現行の学習指導要領もこの4技能をバランス良く伸ばし、高校を卒業する段階では英検準2級〜2級相当の力を身につけることが目標だ。日々の学習にしっかり取り組めば、民間試験は十分対応できる。

 それぞれの試験には特色がある。例えば、私が日本英語検定協会と共同で開発した「TEAP」は大学生活を想定した出題が多い。米国への留学生を想定して作られたTOEFLは大学の講義など学問的な環境を意識しており、英検は日常生活を舞台にした題材が多い。その点では試験の傾向も異なるが、大まかな対策は一緒だ。日々の授業ではディスカッションやペアワークなど、対話する機会を多く持ってほしい。

 教科書にある文章を読み合うだけでは「対話」にならない。実際にコミュニケーション活動をすることが大切だ。オンライン英会話を取り入れる高校も増えているが、ポイントは「何を伝えようか」「どう切り返そうか」などと、聞き手の存在を意識することだ。コミュニケーションを図ることは思考力や判断力を鍛えることにもつながる。

 経済や情報のグローバル化が進み、今の中高生は世界と関わり合って生きていく世代だ。世界の共通言語である英語を使う場面は多く、4技能を大学入試で測ることは時代の流れだ。

 気になるのは最近、中学生から「将来は人工知能(AI)が翻訳するから、英語が話せなくても大丈夫」と言われたことだ。AIでは話し手の意図や感情が十分に伝わるとは限らず、コミュニケーションが制限される。中国や韓国、ベトナムなどアジアの国を見渡しても、英語でのコミュニケーション力を必死に身につけようと勉強している人が多くいる。それと比べると、日本の子どもたちは英語の大切さを頭で理解しながらも、どこか「自分には関係ない」と考えているような気がして、少々心配だ。

    *

 吉田研作さん 1948年生まれ。専門は応用言語学。文部科学省の「英語教育の在り方に関する有識者会議」で座長を務めた。

(聞き手・横川結香)

 ■中高進学、4都県で私立志向

 首都圏で、私立の中学や高校に進学する子どもの割合が増えている。1都3県の教育委員会が公表しているデータを元に、分析した。

 都教委は毎年、都内の公立小学校の卒業生の進路状況をまとめている。それによると、2017年度に卒業した約9万人のうち、18・0%が都内の私立中学に進学した。1987年度の9・5%の倍近くで、記録が残る51年度以降では最高の数値。神奈川、千葉、埼玉などの各県の私立中に進学した子どもも含めれば、割合はさらに高まる。

 私立中学に進む子どもの割合は07年度にも17・6%を記録した。08年のリーマン・ショックを機に下降に転じ、13年度は15・9%まで下がったが、急速に回復している形だ。

 ほかの3県は同様の集計をしていないが、文部科学省に報告するための学校基本調査では毎年、5月1日現在の児童生徒の状況を取りまとめている。18年度は私立中学に在籍している中学1年生の割合(県外生を含む)が埼玉4・9%、千葉6・2%、神奈川11・4%で、いずれも過去5年間で最高レベルだった。東京は25・7%で、群を抜いて高かった。

 一方、17年度に都内の公立中を卒業した約7万7千人のうち、都内の全日制私立高へ進学したのは32・6%で、過去20年で最も多かった。朝日新聞の算出によると、周辺3県は埼玉23・2%、千葉24・5%、神奈川20・9%で、やはり過去10年で最高となった。

 今年も、都中学校長会が8日に発表した公立中3生7万6641人を対象にした進路希望調査では、都立高(全日制)の志望者は全体の73・52%で、前年度比1・21ポイント減だった。一方、私立、国立もしくは都外の公立高の志望者は、2年連続で増えている。

 私立中高に人気が集まる理由の一つは、大学入試改革とされている。昨年12月に都内で開かれた受験情報の説明会では「2020年度からの大学入試改革や大学の定員厳格化への不安もあり、首都圏の私立中学受験者は今後も増えるだろう」という見方が多かった。私立高の授業料助成などの拡充も、志願者数増につながっているとみる。

 中学や高校の受験に詳しい森上教育研究所の森上展安代表は、東京で公立一貫校が増えた影響も大きいとみる。「進学実績を伸ばしている公立一貫校をめざして勉強したものの、結果的に併願した私立中に進む層もいる」と話す。また、東京と周辺3県の私立高進学率の差については、東京に高所得層が集中していることなどを挙げる。「首都圏の教育の傾向は東京が先行することが多く、私立志向も次第に3県に広がっている」と分析する。

 (宮坂麻子、横川結香)

 

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