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変わる進学

中学受験 増える「午後入試」

写真:初めて「午後入試」を行った巣鴨中では、塾のスタッフと握手してから受付へ向かう受験生が多かった=1日午後2時47分、豊島区上池袋、横川結香撮影 拡大初めて「午後入試」を行った巣鴨中では、塾のスタッフと握手してから受付へ向かう受験生が多かった=1日午後2時47分、豊島区上池袋、横川結香撮影

 1日から、東京と神奈川の中学受験がスタートした。数日間に入試が集中するが、近年は「午後入試」をする学校も増えている。今年も、午前中の受験を終えてから、午後に別の中学を受ける子どもがあちこちで見られた。

 (大賀有紀子、横川結香)

 ■日程集中、同日の併願可能に

 1日午後3時前、巣鴨中(豊島区)では急ぐように正門を通り、会場へ向かう受験生が続いた。

 東京と神奈川では私立中学入試が毎年2月1日から一斉に始まる。巣鴨中も1日午前に4教科の入試を実施してきたが、今年は初めて、1日午後に算数1教科の入試も行った。他の学校との併願が容易になることで、新たな受験層を掘り起こしたい考えだ。大山聡・入試広報部長は「第一志望は他校であっても、巣鴨に挑戦したいという受験生に広く門戸を開きたい」と話す。

 今回は定員20人に対し、508人が志願し、予想を上回る人気になった。控室で長男(12)の受験終了を待っていた東京都内の母親(46)は「午前は第一志望の開成中を受験し、電車で急いで駆けつけた。試験が続いてしんどそうだけど、巣鴨は1科目で負担も軽いため、受験した」と話した。

 世田谷学園中(世田谷区)も、今年から1日午後に算数1教科の「算数特選」を始めたところ、30人の定員に対し、425人が志願した。北原透教頭は「受験生の負担を減らし、また学校として数学に力を入れていることがストレートに伝わる」と話す。算数特選からは、入学金や1年間の学費がほぼ免除になる特待生を20人出すという。

 進学塾の栄光ゼミナールによると、1日に午後入試を実施した私立中は、東京と神奈川で約140校にのぼる。広がる背景には、中学受験が短期間で終わることも影響している。過去に子どもが午後入試を受験した都内の女性(45)は「2日までに合格を一つもらえれば、親子ともに安心できる」と話す。

 ■女子校でも新設拡大

 女子校でも午後入試が広がっている。香蘭女学校(品川区)は昨年まで1日午前だけだったが、2日午後に入試を始める。一方で、昨年まで行っていた1日の面接試験は廃止する。

 入試広報室長の桜井千枝さんは「面接は、香蘭への思いを語ってもらう場として大切にしてきた」と説明する。ただ、1日の入試の合格発表を当日のうちに出すためには、廃止せざるを得なかった。そこで不合格になっても、2日午後に再度、挑戦して欲しいという思いもあるという。来年以降、面接を復活させるかは検討中だ。

 晃華学園(調布市)も1日午後、新たに入試日を設けた。都心からの移動を考え、受付時間である午後3時に間に合わない場合、午後4時までに来校すれば、試験を受けられる措置を取った。

 ■当日に科目数変更も

 午後入試の成功例は、06年度から採り入れた東京都市大付属中(世田谷区)だとされる。この5年間は千人前後が出願し、今回は約120人の定員に対して1244人が出願した。

 午後入試を始めたのは、07年度からの完全中高一貫化がきっかけだった。定員が増えたこともあり、それまで2月4日と6日に行っていた入試に加え、1日午後にも実施。徐々に認知度が上がり、現在では駒場東邦(世田谷区)や芝(港区)、サレジオ学院(横浜市)などの難関中と併願する受験生が増えたという。

 当日に受験科目数を変更できる制度も人気の理由だ。出願時には4科目または2科目を選ぶが、集合時間が午後3時の4科目に間に合わなかった場合、午後4時からの2科目で受験できる。昼過ぎまで試験がある麻布(港区)や面接がある慶応義塾普通部(横浜市)などを併願する児童を想定しての仕組みで、昨年は41人が4科目から2科目に切り替えた。

 昨年は、東京都市大付属中の午後入試の合格者618人のうち、102人が入学し、入学者の38%を占めた。広報部の桜井利昭・主幹教諭(56)は「午後入試の導入は、より多くの方に本校を知ってもらうきっかけになった」と話す。近年は進学実績も上げており、「改めて入試日程を検討する時期に入ってきた」という。

 ■(POINT!)学校側と受験生側の思惑合致

 午後入試の広がりや受験の注意点などを、日能研本部イベント企画推進本部の井上修ディレクターに聞いた。

 ◇

 1都3県の午後入試は1995年の日本橋女学館(現・開智日本橋学園)が最初とされます。2000年以降に数多くの学校が導入し、昨年は全入試日程のうち、約3割が午後に設定されていました。明大中野八王子(八王子市)の4科総合型や共立女子(千代田区)の合科型など、教科を融合した特色ある形式も増えています。

 午後入試が広がったのは「早い段階で生徒を確保したい」学校側と、「一つでも多く合格して安心したい」という受験生側の思惑が合致した結果でしょう。実際、午後入試は「抑え」の併願校として受けることが多い。体力に心配がなければ入試のはしごは有効だと考えています。

 ただ、学校の教育内容を十分に調べず、「志願先を増やすためだけに受ける」は避けてほしい。受験生と保護者が「この学校に行って幸せになれるか」を考え、受験を検討してほしいです。

 (横川結香)

 ■人気校、教養と進学実績両立 森上教育研究所・森上代表に聞く

 中学入試の傾向について、森上教育研究所の森上展安代表に聞いた。

 ◇

 首都圏の小学6年生は昨年と比べて、増加しています。今年の中学受験者は、この人口増を反映して、確実に増えるでしょう。首都圏の小6は今後5年間にわたって増えるため、この傾向はしばらく続きます。

 ただ、受験者の増加は、他にも理由があります。以前は都内の学校に人気が集中していましたが、神奈川、千葉、埼玉でも良い教育をする私立が増えています。今年は特に、埼玉の学校や神奈川の男子校が志願者を増やしています。大学の系列校も高い人気が続いています。

 人気が伸びている学校には二つの層があります。一つは、伸び伸びと教養をつけながら大学進学も実績を上げている学校。特に共学校は人気で、渋谷教育学園幕張、同渋谷、広尾学園などが代表例です。多くの大学の系列校も、この層に入ります。共通するのは、入試にそれなりの学力が求められることです。

 もう一つの層は、適性検査型、プログラミング、英語などの特色のある入試を採用している学校です。こうした入試は、塾で必死になって4教科を勉強しなくても受験できます。中学受験は「親子でのぞむ」と言われますが、「親子ともそこまで頑張れないし、費用もかけられない。でも高校入試は避けたい」という受験生に人気です。

 背景には中位の公立高校が、保護者のニーズに応えられていない現状があります。例えば都立高校は「復活」と言われていますが、それは日比谷などトップの数校だけです。東京以外の県も、上位と下位の公立高校教育は手厚いですが、中位はなかなか改革が進まず、私立高校と比べると進学実績が落ちます。

 気になるのは、大学でもAO入試などが増えていることです。私立の中高一貫校で海外研修など多様な経験を積めば、大学側にもアピールでき、AO入試で有利になります。結果的に中位層の子どもは中学、高校、大学と一度も必死になって受験勉強をする必要はありません。こうした生徒が社会に出た時、日本の将来をどのように変えていくのかは未知数です。もっとも、中学と高校の6年間、受験のストレスを受けずに生き生きと過ごすのは、生徒本人にとっては悪いことではありません。

 これから中学受験を考える家庭は、子どもの中学、高校生活にどんなことを求めるのか。よく考えてから志望校を選んでください。

 (宮坂麻子)

 

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