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変わる進学

内申点 評価・扱いさまざま

写真:桐蔭学園の入試当日。書類で合格をもらっても上のコースを狙って再度、筆記試験を受ける生徒もいる=横浜市青葉区 拡大桐蔭学園の入試当日。書類で合格をもらっても上のコースを狙って再度、筆記試験を受ける生徒もいる=横浜市青葉区

 学年末の通知表が渡される季節になった。中学生の場合、成績を元に算出される「内申点」は公立高校の入試にも大きく影響するだけに、結果が気になる。ただ、内申点の算出方法や入試での使い方は、教育委員会や学校によって様々だ。

 (宮坂麻子、横川結香)

 ◆都立高入試、実技の点数2倍

 都立日比谷高は今年、異例の2次募集を実施した。6日、出願に訪れた女子生徒は1次も受験したが、不合格だった。「実技教科の内申点が低いことが理由だったのかも。2次募集はうれしいけれど、内申点の比率が上がるから、ちょっと心配です」と話した。

 都立高の全日制普通科の一般入試は2016年度から、内申点で音楽、美術、保健体育、技術・家庭の「実技教科」の比重を増した。原則として学力検査をする5教科(国語、社会、数学、理科、英語)は5点ずつで25点満点だが、実技4教科の点数は2倍し、40点満点。計65点満点の内申点を300点満点に換算したうえで、700点満点の学力検査との合計で合否を判断する。2次募集は学力検査が英国数の3教科だけのため、内申点は理科と社会も2倍にし、学力検査との割合は7対3から6対4に変わる。

 以前は、実技教科を1・2〜1・3倍とし、学力検査と内申点の割合も、4対6から7対3の間の割合で、各校が選択できる仕組みだった。日比谷、西、国立などの難関校では内申点を考慮しない「特別選考枠」も定員の1割程度設けていた。都教委によると、入試制度を分かりやすくし、生徒が実技教科にも取り組むよう、改革を進めたという。

 大手進学塾の高校受験担当者は「前の制度では欠席が多かったり、実技の成績が悪かったりする生徒でも日比谷や西に挑戦できたが、今はできなくなった」と話す。学力があるものの内申点が低い生徒は、私立高をめざさざるを得ない状況があるという。

 中学による差も大きくなる。娘が日比谷高校を受験した男性(46)は「私立中なので、内申点が低めになる。不公平さは感じます」と語った。

 ◆学校間の差、是正策を模索

 内申点として考慮する期間は、教育委員会によって異なる。東京は中3のみだが、栃木、茨城、群馬、埼玉、千葉は中1から中3まで、神奈川は中2と中3が対象だ。「中学3年間の学習をまんべんなく評価する」という考え方だ。

 ただ、内申点は他の生徒と比べて評価する「相対評価」ではなく、生徒ごとの達成度から判断する「絶対評価」が判断基準となる。このため、教員や学校の成績のつけかたで差が出る可能性がある。そこで千葉県教委は11年前から、受験生の内申点(135点満点)と県が定める標準点(今年度は95点)を足した数字から、受験生が在籍する中学校の内申点の平均点を引くようになった。個人の内申点に加え、県や在籍校の平均を考慮することで、公平さを保つことが目的だ。

 2018年度入試の学校平均点は、最高で107点、最低で84点と20点以上の開きが出た。担当者は「絶対評価は内申点が高止まりする傾向がある。学校の在籍人数によって平均の差が大きく出てしまうケースもあるが、やむを得ない」と説明する。

 内申点と学力検査の比重については、各校の判断に委ねる県が多い。県立千葉高の前期選抜は当日の学力検査と作文の点数で合否を判定し、内申点は「参考材料」の位置づけだ。佐藤宰校長は「同じ条件で受験生全員の学力を測るという公平性を考え、当日の学力検査に重きを置いている」と話す。

 ◆内申だけで決まる私立高も

 内申点の条件によって合格を出す私立高校もある。

 桐蔭学園高校(横浜市)は、一般入試の定員約450人のうち8割について、内申点などの書類選考だけで合否を決める入試を導入している。中1からの欠席日数が20日以内、中3の成績で「1」がないうえ、内申点で一定の成績を取っている生徒を3段階のコースに分け、合格させる内容。高校3年間コース変更はない。2018年度から共学化したこともあって志願者は増えており、今年は360人の定員に対して2412人が出願し、全員合格した。

 子どもが受験した保護者は「医学部もめざせる進学校で、内申点だけで合格できるのはありがたい」。岡田直哉校長は「内申点の高い生徒は、きちんと勉強する。レベルの高い生徒が集まって切磋琢磨(せっさたくま)することで、下のコースの生徒が上の生徒を抜く」と話す。

 ■(POINT!)絶対評価、基準あいまいに

 内申点の扱いについて、安田教育研究所の安田理代表に聞いた。

 ◇

 実技教科の比率を大きくしている例は東京だけではありません。以前は実技教科も学力検査があり、なくした時に比率を上げたのです。真面目に努力した生徒ほど内申点が上がる傾向は実技教科でも変わりません。

 課題は、学校差です。中学の評価方法が相対評価から絶対評価になり、基準があいまいになりました。私立の上位校は内申点を合否にそれほど反映させず、学力検査を重視する傾向があります。コツコツやることが苦手な生徒や、中学受験で上位校が不合格になった「リベンジ組」は、私立を狙った方が実力に合う学校に進学できるでしょう。

 一方で、不登校などで長期欠席した生徒は、内申点が記入されなかったり低くなったりするため、進学先が限られる現状もあります。学校の求める生徒像に応じて、内申点の扱いを柔軟に変えることが望ましいと考えます。

 (聞き手・宮坂麻子)

 

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