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変わる進学

私立中入試、思考力問う出題増

写真:2月1日に開かれた、難関私立中の算数問題体験会に参加した親子=千代田区 拡大2月1日に開かれた、難関私立中の算数問題体験会に参加した親子=千代田区

今年の首都圏の私立中学入試では思考力、判断力、表現力を問う出題が増えている。長文を読む必要がある算数問題や、算数かと思うようなデータを読み取る国語の問題もあった。進学塾が開催する、入試分析会では、「初めて見る問題でも考えて解く力を」と強調する声が続いた。

(宮坂麻子)

 ■段階を追って考えさせる問題

 東京と神奈川の中学入試がスタートした2月1日の夕方。千代田区のアルカディア市ケ谷私学会館に、小学5年生の親子約20組が集まった。入試までちょうど1年のこの日に、難関校が当日出した算数の問題を体験する企画で、森上教育研究所が毎年開催している。今年も開成、麻布、武蔵、桜蔭、女子学院といった難関私立中の入試が次々と届き、算数講師らが解説した。

 参加した親子が「驚いた」と話したのは、開成の算数の2ページびっしりの大問。円卓を囲んだ5人が10枚のカードを使うゲームについて、手順やルールを詳細に説明したうえで、5人の手持ちのカードの流れを推察する。解答用紙では、円卓の図に合わせる形で全員の手持ちカードが変わっていく過程を記入することが求められている。可能性がある数字の組み合わせをすべて答えたうえで、「不要な回答欄」を斜線で消す珍しい問題もあった。開成の教員の経験もある講師は「これまで以上に、論理的に思考する過程をきちんと表現させる意図が感じられる」と語った。

 思考の過程を問う出題は、他の学校の算数でもあった。麻布では、時計のような円盤の中で回る2本の矢印の動きに合わせて、円盤の周囲に置かれたコインを動かし、コインの位置を考えさせる問題が出た。桜蔭は7〜17の目盛りがある時計を示したうえで、長針と短針の動きに関する問題が出された。「どれも段階を追って考えなければ解けない」といい、参加した母親(42)は「見たことのない問題もあった。本番に向け気が引き締まったようです」と話した。

 ■教科横断、総合力試す

 教科横断型の出題も目立った。今年から算数1教科の午後入試を採り入れ、志願者を増やした世田谷学園中は、国語の出題も大きく変えた。例年は物語文、論説文、漢字という3題だったが、今年は長文1題をじっくり読ませる内容だった。

 パン屋の技術革新についての文章で、「小問」では、労働力、パンの売り上げ、得られる利潤などのデータが示された。問題では、内容を理解したうえで数値を答えたり、数値を具体的に挙げながら技術革新と利潤の関係について述べさせたりした。「国語なのに算数の記述問題かと思わせるような出題」と塾講師はいう。

 同校国語科主任の細井正之教諭は、2020年度から始まる大学入学共通テストの出題傾向を意識したと語る。「共通テストの試行調査を踏まえ、あえて国語の中に、算数に通じるデータ的な読み取りを入れた。長文をじっくり読む力と共に、教科に関係なく総合的な力が問われることを受験生も知って欲しい」という。山本慈訓校長は「新しい大学入試に対応できる力、これからの時代に必要とされる力を意識した出題を今後も続ける」と語る。

 ■見るのは説明する力

 「正解が一つではない」記述問題を出した中学もあった。慶応湘南藤沢中の国語では、グラフを参考に「なぜ日本のプロ野球選手は4月〜7月生まれが多いのか」という問いへの「答え(仮説)」を書かせたうえで、どうすればその「答え(仮説)」が正しいと証明できるか、160字以内で記述させる問題が出た。文章と併せて、日本のプロ野球選手の月別出生数のグラフと、日本人男性の月別出生数のグラフも示された。

 大手進学塾「サピックス」は、「学年の始まりの4〜7月生まれの選手は必然的に早生まれより身体的成長が早く、高い運動能力が必要なプロ野球選手になりやすいという仮説を立てられる」と解説する。

 淑徳与野中では、図書館に漫画を置くことに賛成か反対かを問う記述問題が出た。雙葉中では、文章に出てくる「頭のいい人」「頭の悪い人」について、受験生が「自分はどちらと思うか」を120字以内で書かせる問題があった。

 「早稲田アカデミー」の国語講師は「独創的な表現力を期待しているのではなく、読み取った内容を自分の経験や考えに結びつけて説明できる力を見ている。こうした出題は今後も増えると予想されるので、自分の意見を論理立てて書く練習が必要だ」としている。

 ■(POINT!)出題の本質捉え、表現できるように

 私立中学受験の出題はどう変わっているのか、早稲田アカデミー教務本部の千葉崇博・本部長に聞いた。

 難関校では、以前から論理的思考力を問う出題をしていましたが、それがさらに深まり、中堅校まで広がってきています。背景にあるのは、大学入試改革だけではないでしょう。最近、中学から「テクニック偏重の子は入学後に伸びない」という声を聞くようになりました。出題を模索する中で「初出の問題に対し、筋道立てて考え、表現できる子」の方が伸びるという実感が広がってきたようです。

 教科横断型、正解が一つではないオープンエンド型など、知識だけでは解けない問題が多くなっています。理科や社会では、データや図表が増え、時事問題も増加しています。

 大量反復、大量演習で中学受験に太刀打ちできる時代は終わりました。典型問題や過去問を繰り返すだけでは対応できません。受験生は、日ごろから出題の本質を捉え、考え、表現することを心がけてください。

(聞き手・宮坂麻子)

 

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