メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

08月22日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

変わる進学

高校入試 英語の出題に変化

写真:慶応女子高の入試に向かう中学生たち=2月10日、港区三田 拡大慶応女子高の入試に向かう中学生たち=2月10日、港区三田

 高校入試の英語で変化が起きている。難関校では読解文が長くなり、英作文では英訳させるだけでなく、意見を問う出題が目立つ。小学校で英語が教科となり、大学入試改革でも4技能が重要視されるなか、「学校の勉強だけいいのか」と悩む保護者も出ている。

 (大賀有紀子、小林直子、宮坂麻子)

 ■読解 3千語を超える長文も

 3月に都内で開かれた、大手進学塾の高校入試分析会。会場を埋めた保護者を前に、講師が「皆さんの時代と比べると、出題される文章が長くなっています。知らない単語があっても、推測してどんどん読み進められるようにしておくことが必要です」と強調した。

 都立西高の今年の入試の英語の読解問題は、三つの大問で構成された。いずれも2〜3ページの英文を読むことが前提で、内容も(1)2人の中学生がケニアからの留学生に話を聞く会話文(2)国際宇宙ステーションでの食事に関する文章(3)アメリカに留学した日本の高校生の経験――と幅広い。塾の調査によると、出題語数は3千語を超え、専門用語も多く登場する。

 西高と同じように、自校で入試問題を作成する都立高のうち、八王子東も問題文が2700語を超え、青山と立川は2600語程度だったという。都立高の入試の場合、英語の試験時間は50分。約10分間はリスニング問題にあてられるため、約40分間でこれだけの長文を読み、問題に答えることが求められる。

 サピックス中学部の当山淳・英語教務担当講師によると、以前は1000〜1200語の出題が多かったが、近年は3千語を超える例もあるという。中学生にはなじみの少ない、社会問題や科学的な文章も増えており、「語彙(ごい)のレベルが上がり、我々でも初めて見るような単語が出る。前後の文から意味を類推する力も求められるようになってきている」と語る。

 ■意見書かせる英作文増える

 英作文も、単純に日本語の文章を英訳するのではなく、意見を書かせるような出題が増えている。

 都立日比谷の英作文問題は今年、スマートフォンを手に歩く男性が女性とぶつかった場面を描いたイラストを示し、「状況を説明したうえで、それについてあなたが思ったことを50語以上の英語で書きなさい」と求めた。

 同校では今年、読解の語数をやや減らす一方、他の大問にも15語以上の英作文と30語以上の英作文を盛り込んだ。武内彰校長は「英語力のある子が増え、読解文は難度を上げても読めてしまう傾向にある。長くして処理する速さを求めるより、読み取った内容と自分の意見をつなげる『書く力』を重視した」と話す。

 埼玉県立の浦和や浦和第一女子などの難関校が使う問題の英作文では「インフォメーション・リテラシー・スキル」についての意見を記述させる出題が出た。小学校でも「自分が必要とする情報を見極めて入手し、活用する力」についての学びを始めるべきだという短文を読み、その理由も含めて意見を40〜50語程度で書く内容だ。

 私立や国立でも、自由英作文を書かせる高校が増えている。塾によると、慶応女子は今年、「どのウェブサイトをよく見ますか? なぜそのサイトを訪れるのですか?」という質問に、50語程度で答える出題だった。筑波大付属駒場は「ロボットの犬と本物の犬のどちらがペットとして優れていると思うか」、理由を二つ挙げて書くよう求めた。灘は字数制限を設けず「あなたが灘高校を受験することにつながった人生の経験について書いてください」という内容だったという。

 サピックスの当山講師は「身近な質問から、日本が抱える問題や解決策を書かせる問題まで出てきた。どんなテーマでもその場で考え、英語で意見を書けるようにすることが求められる」と語る。

 ■「話す」塾通いで悩む

 英語教育をめぐる状況は変化を続けている。2020年度から小学校の高学年で正式な教科となり、同じく20年度から始まる大学入学共通テストでは「読む・聞く・話す・書く」の4技能を測るために民間試験が活用される。都立高も22年度の入試から、「話す力」を測るスピーキングテストを導入する予定だ。

 今年の都立高の受験生の保護者に聞くと、「学校の勉強だけで大丈夫なのか」などの不安が聞かれた。

 日比谷では「小学校入学前から英会話に通わせた」という保護者が少なくなく、「映画もニュースも2カ国語放送で見るようにしている」などの声があった。一方で、立川では「英語専門の塾や教室には通わせたことがない」という人が多かった。ある保護者は「中学の勉強だけで、スピーキングテストにどこまで対応できるのか心配。みんながみんな塾に行けるわけではない」と語った。

 この春に中学校に入る生徒から、都立高の入試ではスピーキングテストを受けることになる。ある小6児童の母親(43)は「授業では一人ひとりスピーキングの練習をさせる時間がないのでは」と心配し、すでに英会話に通わせているという。やはり子どもが小6の母親(37)は「小さいころから英語を習っている子とそうでない子の差がついてしまいそう。早めに塾に通わせないといけないのか」と悩む。

 ■(POINT!)4技能 大学入試改革後に

 高校入試の英語について、早稲田アカデミー高校受験部の英語主任、大澤良洋講師に聞いた。

 ◇

 大学入試で英語の4技能が話題となっています。ただ、高校入試が4技能を本格的に問うようになるのは、大学入試改革の推移を見ながらになるでしょう。

 公立中からの受験生が大半の高校入試で、「聞く力」「話す力」を鍛えるためには、公立中学の授業を変える必要があります。都教委が始めるスピーキングテストも、それほど難しい内容にはできないでしょう。

 一方、英語力が高い帰国生でも、入試で問われるような語彙や文法知識がしっかり身についていないために、正解にたどり着けないことがあります。高校側が、意見の記述などを増やしてきているのは、そうした力を重視する現れでしょう。このような傾向はしばらく続くと思います。

 (聞き手・宮坂麻子)

 

PR情報

ここから広告です

PR注目情報

東京総局からのお知らせ

東京総局では、都内の最新のニュース、企画、特集などをお届けしています。
身の回りで起きたちょっといい話をメールで「東京取材班」あてにお寄せください。メールはこちらから

朝日新聞 東京総局 公式ツイッター

注目コンテンツ

  • 写真

    【&w】カカドゥの不思議な野鳥たち

    ノーザンテリトリー〈PR〉

  • 写真

    【&TRAVEL】遊び心満載の豪華客船

    船上でサーフィン?〈PR〉

  • 写真

    【&M】廃虚の朽ち果てていく美しさ

    「変わる廃墟展 2019」

  • 写真

    【&w】劇場鑑賞券を3組6名様に

    「&w」読者プレゼント

  • 写真

    好書好日旅するように異国料理を作る

    宮崎あおいさん初の料理本

  • 写真

    WEBRONZAカーシェア急拡大

    今日の編集長おすすめ記事

  • 写真

    アエラスタイルマガジンこれぞ手軽な手土産の大本命

    手土産に縁起のよい「虎家喜」

  • 写真

    T JAPAN未来を変えるコスメ 第2回

    全米で話題の「CBDオイル」

  • 写真

    GLOBE+注目は年齢差だけではない

    マクロン大統領夫人の実像

  • 写真

    sippo絶滅の危機に瀕するトラ

    生態は猫とほぼ同じ

  • 働き方・就活

  • 転職情報 朝日求人ウェブ