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変わる進学

世界とつながる中高が人気

写真:塾講師らから激励を受け、武蔵中の受験会場に向かう受験生ら=2月1日、練馬区豊玉上 拡大塾講師らから激励を受け、武蔵中の受験会場に向かう受験生ら=2月1日、練馬区豊玉上

 国内の大学だけでなく、海外も視野に入れたい――。私立の中高一貫校で、海外を意識した取り組みを進めている学校が人気を集めている。「グローバル」が強調されるなか、保護者も海外とのつながりを重視しているようだ。

 (宮坂麻子)

 ■海外大進学に手厚い奨学金

 武蔵中(東京都練馬区)は開成中、麻布中と並んで「男子御三家」と呼ばれることが多い。開成や麻布と比べると、近年の東京大の合格者数はそれほど多くない。だが、入試の倍率は高く、今年の志願者数は昨年より30人以上増え、579人だった。

 2月1日の入試当日、受験生の保護者らに志望理由を尋ねると、こんな答えが返ってきた。

 「海外大に進学すると500万円出してもらえるらしいんです。東大もいいけれど、日本がどうなるかわからないから海外も視野に入れたい」

 当初は息子が異なる学校を志望していたという都内在住の男性(51)は、海外進学を支援する制度が充実していることに驚き、第1志望に変えたという。別の夫婦も「息子に合う校風が一番ですが、本人が望めば海外も行かせたいので」と語った。

 同校は「世界とつながる」ことを教育の柱の一つとしており、海外大学への進学支援が手厚い。2009年度からは「海外直接進学奨学金」を始めた。海外大進学という道も示し、卒業生の海外進出を応援しようという狙いで、海外大へ進学する生徒には最大で500万円を給付する制度。同窓生の寄付金を原資としており、12年度以降、6人が受け取った。

 今年度からは、国内外での活動を支援する「校外活動奨励基金(仮称)」も設ける。海外の中高等教育機関が主催する短期研修の参加者や、海外でフィールドワークなどをする生徒に最大30万円などを支給する。

 海外大学へ進学しない生徒に対しても、海外へ目を向ける指導に力を入れる。中3では独語、仏語、中国語、韓国語のうちの一つの初級を学ぶことが必修で、高1以降も半数以上が選択で続ける。高2の終わりには、オーストリア、ドイツ、イギリス、フランス、中国、韓国などの提携高校に選抜者を5〜8週間、ほぼ無償で派遣している。

 武蔵出身で今年4月に就任した杉山剛士校長(61)は「建学時の理想には、『東西文化融合』や、『世界に雄飛する』などの言葉もあり、古くから外遊制度もあったほど、世界へはばたく教育をしてきた。国際社会へ出る生徒をこれからも支援したい」と話す。

 ■中3でカナダ研修

 「自由な校風で海外へも目を向ける学校は人気を集める傾向にある」と進学塾サピックスの広野雅明・教育事業本部長はいう。

 その一例が、吉祥女子中(武蔵野市)だ。2月1日の第1回入試は定員114人に対し、17年度466人、18年度571人、19年度601人と、年を追って志願者が増加している。

 同校は、中3のほぼ全員が姉妹校も訪れるカナダ短期研修に参加する。中国、韓国、アメリカ、オーストラリアなどにも姉妹校・友好校があり、高校に進んでから留学の機会は複数ある。留学中の学費を半分ないし3分の1程度免除する制度も設けている。

 アジアも充実させようと、今年3月からはベトナム研修を始めた。きっかけは、ベトナムの子どもたちに貢献する活動を求めていた卒業生が、大学3年生の時に交通事故で亡くなったこと。その遺志を継いで、1995年に現地にできた小学校を訪ねる企画をたてたところ、すぐに定員の3倍に達し、予定より早く締め切った。

 橋口勝代・国際交流部長は「ここ3年ぐらいで留学や海外進学の希望者が急増している」と話す。同校をめざしている小6生の母親は「塾からはもっと進学実績の高い学校を勧められたが、自由な雰囲気と、海外と交流できることが気に入って第1志望にした」と語る。萩原茂校長(63)は「国を超えた異なる価値観を共有できる人間になってほしい。難関大ももちろんいいが、もっと際だったものを求める生徒が今後は増えるのではないか」と期待する。

 ■国際教育、国も支援

 文部科学省も、国際教育に力を入れる高校を支援している。2019年度からは「ワールド・ワイド・ラーニング(WWL)」の拠点校の指定を始めた。高校と国内外の大学、企業、国際機関などが協働し、高校生向けに高度な学びを提供する仕組みを構築する狙いで、年に1千万円の事業費が出る。短期・長期留学や海外研修をカリキュラムの中に体系的に位置づけることや、留学生が一緒に授業を受けることなどが条件だ。

 初年度は全国10校のうち、首都圏では筑波大学付属坂戸高(埼玉県坂戸市)、都立南多摩中等教育学校(八王子市)、渋谷教育学園渋谷高(渋谷区)が拠点校に指名された。文科省は「グローバル人材を育てることは不可欠。指定校に限らず、国際教育はマストの時代だ」としている。

 ■(POINT!)現地体験、子どもが変わる

 海外への進学や短期留学は、生徒や学校にとってどういう利点があるのか。森上教育研究所の森上展安代表に聞いた。

     ◇

 「グローバル」が叫ばれるなか、多くの学校が、海外研修などを始めています。最大の理由は、子どもの変化でしょう。

 海外大へ進学する壁は高く、短期留学したからといってすぐにできるわけではありません。しかし、どの学校も「海外体験で子どもが大きく変わるのを目の当たりにした」と話します。「英語ができなければ国際社会で通用しない」「将来のために勉強を」とただ言っても、子どもには通じません。でも海外に出て学んだことで、「もっとこうなりたい」「こうしたい」という動機付けになります。

 これは、生徒にも学校にも大きなメリットです。偏差値や合格実績だけで、学校を選ぶ時代ではありません。

(聞き手・宮坂麻子)

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