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変わる進学

中高入試に「改元」対策必須?

写真:新元号「令和」を伝える号外 拡大新元号「令和」を伝える号外

 「平成」から「令和」へ。改元に伴い、今年の入試では「平成史」などを出題する中学、高校が目立った。進学塾では、来年の中学入試や高校入試でも、「天皇」や「上皇」、「元号」などが歴史的な出来事とからめて必須の出題になりそうだ、と予測する。

(宮坂麻子)

 ■塾模試にも「御用邸」「陵墓」

 4月末、小学5年生を対象にした全国公開模試の社会科で、皇室関連施設に関する問題が、出題された。

 皇居や御用邸、陵墓などが示された地図を見て地名を答えたり、皇居と京都御所付近の地形図を比べて特色を記述させたり。御料牧場付近の地形の断面図としてふさわしいものを選ばせる出題もあった。出題した大手進学塾・日能研教務部(横浜市)の社会科担当者は「小4で習った地図の読み取りの力を試す出題に、タイムリーな皇室関連施設をからめた」と説明する。

 平成に変わった時や現天皇陛下のご成婚時などは、中学入試の出題への影響は大きくなかったが、上皇さまが退位を表明した後から「生前退位」「皇室典範」などの出題は目立ってきているという。「来年も、令和になったという前置きで、元号や歴代天皇にからんで様々な角度から歴史の知識を問う問題が出るだろう」と予測する。

 今回の改元はトピックが多い。天皇の退位は、江戸時代の光格天皇以来約200年ぶり。天皇退位に伴う改元は憲政史上初めて。新元号「令和」は元号としては初めて中国古典ではない「国書」から引用された。出典とされる日本最古の歌集「万葉集」は、元々、中学入試では頻出だ。

 「古文」は入試の範囲にはないが、「どの教科で出るかわからない。万葉集や万葉仮名、上皇や院政の歴史なども学習しておく必要がある」と進学塾「スタジオキャンパス」(世田谷区)の矢野耕平代表(45)は言う。算数でも、「例えば、平成元年から31年までの間で西暦を元号の年で割ると余ることなく割り切れる年は何回あるかなど、元号と西暦にからむ出題も考えられる」。

 ■「平成史」はや出題

 今年あった2019年度入試でも、すでに「元号」や「平成史」の問題が多くの学校で出題された。

 サピックス小学部(渋谷区)によると、慶応義塾中等部(港区)では、歴史的出来事の記述から元号を選択させる問題が出た。鎌倉学園中(鎌倉市)でも、「後白河天皇の時代に改められた元号です……」「後醍醐天皇が親政を開始するにあたって改めた元号です……」などと、天皇と元号、出来事をからめた出題が見られた。吉祥女子中(武蔵野市)では、中3生が元号の歴史のリポートを書いた想定で出題された。

 また、平成史では、頌栄女子学院中(港区)が、平成最初の首相から米朝首脳会談までの出来事を示した長文問題を出題。早稲田中(新宿区)は「池上彰の世界から見る平成史」から引用し、天皇の任命権などを尋ねたという。

 サピックスの玉井滋雄・小学部事業本部長(49)は「入試全体では1割程度は出ている感触。次の入試でも引き続き同じような出題が見られるだろうが、令和の関連で、万葉集や大宰府、込められた意味から平和や文化史が出る可能性もある」とみている。

 ■地理との融合型も

 高校入試でも対策を進める。首都圏、特に都内の私立高の多くは国数英の3教科入試で、社会科は国公立や一部の私立に限られる。

 早稲田アカデミー高校受験部(豊島区)の社会科責任者、市川良司講師は「元号に関わる問題は必ず出る」と断言する。特に注意したいのは、大学入試改革でも話題になった教科融合の出題。「元号と地震や水害などの災害に地形や地学を合わせる。地学と地理などの融合問題は最近のトレンドです」という。

 新学習指導要領には新聞活用が明記され、時事問題は一定の出題をする学校が多くなっている。ある進学塾の担当者は「天皇は、出題の仕方によってイデオロギーや宗教にも触れるため、かつては出題しない学校も多かった。ただ、今年は世の中が左派、右派に関係なく盛り上がったので、出題が増えるのではないか」と話した。

 ■(POINT!)天皇関係の憲法条文、確認を

 近年の時事問題について、高校、大学でも教え、時事問題に詳しい文教大学生涯学習センターの早川明夫講師に聞いた。

     ◇

 国内外で起きていることをきちんと理解し、自分の考えを持てることが社会科の重要なねらいの一つです。選挙権の引き下げによる主権者教育を意識すれば、小学校高学年から、世の中の動きについての知識を持っていることは必要です。そういう意味でも、時事問題は多く出題されるようになっています。

 特に中学入試では、8割程度の学校で出題されており、1人で5校ほど受験すれば、4校で出題されることになります。この何年かは長期政権や国有地売却、国政調査権など、現代の政治に関する問題も出題されるようになりました。

 日本国憲法の天皇関連の条文もしっかり見ておいた方がいい。天皇制を議論できる雰囲気は、今後ますます重要になります。そういう観点でも、例年より多く出題されることは間違いないでしょう。

(聞き手・宮坂麻子)

 ■2019年度中学入試の出題例

 【問】次のできごとがおきた時の年号(元号)を選びなさい。(慶応中等部・社会より)

 ア)政治改革がおこなわれ、日本で初めての年号が定められました。

 イ)文武天皇のとき、中国を手本に政治の基本がまとめられました。

 ウ)源氏と平氏の対立が表面化し、源義朝に勝利した平清盛が政治の実権をにぎりました。

 エ)執権北条泰時は、武士の間での土地をめぐる争いをさばく基準として法律を定めました。

 オ)元の大軍が博多湾に上陸しましたが、暴風雨によって大損害をうけました。

 カ)京都を主な戦場とし、足利将軍家や有力大名が東西ふた手に分かれて大乱が始まりました。

 キ)幕末維新の多くの指導者を育てた吉田松陰が、反幕府の思想をとがめられ処刑されました。

 ク)倒幕運動が高まる中、将軍徳川慶喜は政権を朝廷に返しました。

 ケ)初めて「政府」により定められた年号が使われ始めました。

 【選択肢】1安政、2応仁、3慶応、4貞永、5大化、6大宝、7文永、8平治、9平成

 【答え】アから順に、5・6・8・4・7・2・1・3・9

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