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変わる進学

外国語教育「4技能」重視進む

写真:フランス語を聞いて書く練習をするカリタス女子中学校の生徒たち=神奈川県川崎市 拡大フランス語を聞いて書く練習をするカリタス女子中学校の生徒たち=神奈川県川崎市

 2020年度から大学入試センター試験に代わって始まる大学入学共通テスト。英語は「読む・聞く・話す・書く」の4技能を重視する。英語以外の四つの外国語科目では当面、センター試験と同様に筆記だが、第1外国語で英語以外を学ぶ高校では、今後の改革などを見据え、4技能が身につく教育が進む。

 (小林太一)

 ■「英仏」選択や「アジア」に注力

 私立男子校の暁星学園(千代田区)は、小学校からフランス語に親しむ。中学1年のときにフランス語と英語のいずれかを第1外国語と第2外国語として選び学ぶ。高校に入ると第2外国語は選択科目になるが、フランス語を第1外国語に選んだ生徒は、英語を第2外国語として必修で学ぶ。

 両方の言語教育は創立時からの伝統。30年以上教えている教育顧問の橘木(たちばなき)芳徳さん(70)は「早い段階でこの二つを学ぶことは、様々な価値観で成り立つ世界の理解につながる」。

 同高校3年の河合幸希さん(17)は、高校からフランス語を第1外国語にした。「暁星は2年間で文法の体系が頭に入るカリキュラム。英語より得点力がついた」。フランス語の弁論大会に出場したこともあり、来年のセンター試験はフランス語で受験する。

 フランス語で受験できる大学が少ない医学部の志望者が増えつつあり、英語を第1外国語に選ぶ生徒が多くなってきた。今年の中学1年生で第1外国語にフランス語を選んだのは、188人のうち18人だった。光藤賢教頭(58)は「大学入試は大事だが、物事の多様な見方を育てる教育は続けていく」と言う。

 東南アジアの言語教育に力を入れる私立関東国際高校(渋谷区)は、コース制を採用している。外国語科の中に英語、中国語、韓国語、インドネシア語、タイ語、ベトナム語、ロシア語のコースがある。英語を選ぶ生徒が最多で、中国と韓国が40人ずつ、残りは20人ずつだ。

 2年生になると、専門言語の授業は週に6時間。黒澤眞爾(しんじ)副校長は「中国語と韓国語コースの生徒は卒業までに7〜8割が(英語の場合の)英検2級レベルになる」と話す。身につけた言語を活用できる海外の大学を希望する生徒が増え、ここ数年は学年の1割にあたる30〜40人が進学しているという。

 ■新教科書で「話す」「書く」も向上

 1961年の創立時からフランス語教育をしているカリタス女子中高(川崎市多摩区)は4年前、今後の入試改革を見据え、4技能をバランスよく身につける教科書を使い始めた。それまでは日本語とフランス語で書かれた教科書で学んでいたが、フランス語だけで書かれた新しい教科書では「読む・聞く」に加えて「話す・書く」力も伸ばせる。

 教科書を使い始めると、4技能のバランスを重視するフランス国民教育省認定の民間試験「DELF」を受ける生徒が倍増。フランス語科の鷲頭(わしず)弘子教諭は「意識が高まった。授業中も聞く力が格段に上がったと感じる」と話す。

 高校2年の菅原柊菜乃(ひなの)さん(16)は「DELFの問題は新しい教科書に出てくる言い回しやテーマに近い」。DELFやフランス語検定試験の受験を続け、2021年の共通テストはフランス語を選ぶ。

 カリタスは付属の幼稚園から外国人講師によるフランス語の時間がある。中学生は全員フランス語が必修で、高校生になると一学年約200人のうち、毎年20〜30人が第1外国語に選び、多いときは40人になる年もある。フランス語科主任の櫻木千尋教諭は「言語は世界を見る窓。複数の言語を学び、多様な価値への寛容な心を持ってほしい」と話す。

 ■中国語で受験増える

 大学入試センターによると、今年1月のセンター試験の英語(筆記)の受験者は53万7663人。英語以外の外国語科目(ドイツ、フランス、中国、韓国語)の受験者数は1059人で、10年前の800人より32・4%増えた。内訳をみると、ドイツ118人、フランス102人、中国665人、韓国174人で、中国語が増加傾向にある。

 現在の高2から導入される大学入学共通テストの英語では、「読む・聞く・話す・書く」の4技能を評価するため、民間試験の成績を活用する。各試験の成績を比べるために使うのは「欧州言語共通参照枠(CEFR)」。欧州で違う言語の人が互いを理解する目的で作られた枠組みだ。

 文部科学省によると、英語以外の四つの外国語科目は民間試験の活用を通じて4技能を評価する枠組みがなく、2024年1月まではこれまで同様筆記として出題する。問題作成はCEFRなどを踏まえた力を問うのがねらいとしている。

 ■(POINT!)グローバル化対応 大きな意味

 外国語教育の意義について、一般社団法人日本外国語教育推進機構の山崎吉朗理事長(65)に聞いた。

 ◇

 グローバル社会に対応しなければいけない時代に、中学や高校から日本語以外の言語に触れるのは大きな意味を持ちます。異なる文化や生活を理解し、開かれた姿勢が育つからです。そのためには英語だけでなく欧州や近隣の国の言語を学び、世界の人々との双方向の交流を深め、複眼的な視点を持つことが重要です。

 新たに始まる共通テストは英語の民間試験の成績の基準にCEFRを使います。CEFRは「能力基準」ではなく学ぶ側のための「指標」です。

 そもそもCEFRの理念の根底にあるのは、母語に加えて二つ以上の言語を身につける複言語主義です。ネイティブほど話せなくても、相手を理解して相手の心に働きかけることが重要です。英語を含め、すべての言語の垣根を越えて、グローバル社会に対応する語学教育を考える必要があると思います。

 (聞き手・小林太一)

 

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