メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

02月23日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

変わる進学

国内外二つの卒業資格 高校で

写真:文化学園大学杉並高校でのカナダ・BC州の教員による授業。英語で数学を学んでいた=9月、杉並区阿佐谷南3丁目 拡大文化学園大学杉並高校でのカナダ・BC州の教員による授業。英語で数学を学んでいた=9月、杉並区阿佐谷南3丁目

 国内と海外の大学の学位が取得できるダブル・ディグリー(DD)制度。各大学で取り組みが浸透する中、高校でも、国内外の二つの卒業資格が得られ、海外大への進学が有利になるプログラムが出てきている。

 (横川結香)

 ■校内で海外校授業 実践重視

 文化学園大学杉並高(杉並区)は、カナダと日本の両方の卒業資格が取得できる「ダブルディプロマコース」を置く。同校は世界的に教育水準の高いカナダのブリティッシュコロンビア州(BC州)認可の高校教育を取り入れ、国内にいながら、認可教員の授業が受けられる。

 9月上旬の7時間目。1年生の教室で数学の授業があった。生徒たちに配られたのは、用紙とひも。1回結ぶごとに、ひもがどのくらい縮んだかを定規で測り、グラフを作成する。実際に手を動かして規則性があるかを確かめ、方程式を作るといった内容だ。一人でじっくり考えたり、仲間と相談し合ったりと、取り組み方は自由。リヨ・ホイットニー校長は「実践してから学ぶのがBC州の教育。方程式の暗記にとどまらない深い学習ができる」と説明する。

 コースの生徒は3年間、同校と、同校内にある「Bunka Suginami Canadian International School(BSCIS)」の二つの学校に在籍する。両校の授業は週計45〜47コマ。午前7時50分から始まる「0限」から午後4時半までの「8限」まであり、ほぼ半分がBSCISの授業だ。

 授業は英語で進められ、発表やディスカッションなど、アクティブラーニングが主流。石原頌子さん(3年)は「初めは授業についていくので精いっぱいだったが、英語もちょっとずつ聞き取れるようになった。自分から学ぶ意欲と積み重ねが大事」と話す。

 学費は3年間で計約480万円。高校1年夏にある5週間の短期留学、BC州統一の進級テスト、普段の成績によって評価される。卒業資格が得られれば、カナダ、米、英、豪などの海外大に出願できる仕組みだ。1、2期生はBC大やユトレヒト大、またAO入試や国外選考を利用して早稲田大や上智大、立教大などに合格した。ホイットニー校長は「異なる文化で学んだことを生かし、国内外をつなげる活躍ができる人材を育てたい」と話す。

 国本女子中学・高校(世田谷区)も来年度から、国内外の二つの卒業資格が取得できるようにする。カナダ・アルバータ州の教育が受けられるプログラムを開設。長期間の留学は課さず、「国内で一貫したプログラムは費用が抑えられ、安全面を考えてもメリットが多い」(島野英一校長)という。

 神田女学園高(千代田区)はアイルランドの教育提携協定校、ロックウェルカレッジに高1の9月から高3の6月まで留学し、二つの卒業資格の取得をめざす。宗像諭校長は「現地でどう過ごすかも重要。他の留学生と交流し、ワールドワイドな経験を積んでほしい」と話す。麹町学園女子高(同)も、ニュージーランドやアイルランドの提携校で学び、卒業資格が得られるプログラムを始める。

 ■大学「国内で完結」も

 文部科学省の調査によると、2016年度時点で大学間の交流協定に基づいてDDを実施する大学は180校あり、年々増加傾向にある。同省の担当者は「国際教育のニーズが高まっている中で、学生に海外経験を積ませることに積極的な大学が多い」と分析する。

 一般的なDDは海外の協定大に1、2年留学する。ただ最近は国内で完結するプログラムを実施する大学もある。

 武蔵大学(練馬区)は、同大に通いながら英ロンドン大の科目を履修し、両大学の学士号を取得できる「パラレル・ディグリー・プログラム(PDP)」に取り組む。武蔵大の学費のほか、ロンドン大の学費計120万〜130万などが必要だが、成績に応じ、ロンドン大の学費やセブ島の英語研修の費用、IELTSの受験料を支給する奨学金制度を設けている。

 履修するロンドン大の科目は1〜4年次で16科目。同大と同大のカレッジの一つ、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の学術指導のもと、武蔵大の教員が英語で指導。ロンドン大学の学位取得のための試験問題の出題や採点、評価はロンドン大とLSEが担当する。

 今年度、1期生が卒業する。学士号を得たのは2人だった。

 経験はどう生きたか。

 外資系の調査会社から内定を得た萩原綾音さん(22)は、就職活動でPDPでの学びを中心に自己PRした。「学業を熱心に取り組んだ姿勢が評価され、『普通の学生とは違う』と好感を抱いてもらった」と手応えを話す。鈴木唯・PDP教育センター長(45)は「学士号が二つあることに対し、企業はどう受け止め、この経験をどう重視するのか。今後に向けてノウハウを蓄積していきたい」と話す。

 中国・上海交通大学と韓国・ソウル女子大学校とのDDの実績がある昭和女子大(世田谷区)は今年度、同大の敷地内に移転した米テンプル大ジャパンキャンパスとのプログラム(TUJ)を新設した。昭和女子大で3年間、TUJで2年間学ぶ。毎年12人の枠があり、学費は昭和女子大の計約500万円のみで済む。

 来年の秋からTUJに編入する予定の岩本渚(なぎさ)さん(2年)は「卒業が1年遅れるが、住み慣れた日本で2校分の学びができるのは経済的にも精神的にもメリット」と話す。

 ■(POINT!)「どう学んできたか」を評価

 二つの学位を持つことは就職活動に有利になるのか。マイナビ国際派就職の増田ゆうこ・グローバル企画広報課長に聞いた。

    ◇

 国内外の学位を二つ取得するダブル・ディグリー制度を経験する学生は年々増えています。その経験は、就職活動において魅力的な人材として映るでしょう。

 例えば学位を二つ取ること自体、計画性や行動力、バイタリティーがある証左です。アルバイトやボランティアなどの課外活動を自己PRの例に挙げる人は多いですが、学生の本分は学業。どう学んできたか、その姿勢を評価する企業も増えています。

 国外の大学で学んだ学生であれば、海外経験も評価されます。製品やサービスも国外に対応するものが必要とされ、外国人労働者が増える時代です。語学力だけでなく、異国で学位を得たという達成意欲やチャレンジ精神を持つ人材は、グローバル化する組織を導く上で重要です。

 学位取得までの経験をこまやかに語ることで企業の学生に対する人物理解も広がります。今後、注目されていく制度だと思います。

 (聞き手・横川結香)

 

PR情報

ここから広告です

PR注目情報

東京総局からのお知らせ

東京総局では、都内の最新のニュース、企画、特集などをお届けしています。
身の回りで起きたちょっといい話をメールで「東京取材班」あてにお寄せください。メールはこちらから

朝日新聞 東京総局 公式ツイッター

注目コンテンツ

  • 写真

    【&w】カカドゥの不思議な野鳥たち

    ノーザンテリトリー〈PR〉

  • 写真

    【&TRAVEL】遊び心満載の豪華客船

    船上でサーフィン?〈PR〉

  • 写真

    【&M】廃虚の朽ち果てていく美しさ

    「変わる廃墟展 2019」

  • 写真

    【&w】劇場鑑賞券を3組6名様に

    「&w」読者プレゼント

  • 写真

    好書好日旅するように異国料理を作る

    宮崎あおいさん初の料理本

  • 写真

    WEBRONZAカーシェア急拡大

    今日の編集長おすすめ記事

  • 写真

    アエラスタイルマガジンこれぞ手軽な手土産の大本命

    手土産に縁起のよい「虎家喜」

  • 写真

    T JAPAN未来を変えるコスメ 第2回

    全米で話題の「CBDオイル」

  • 写真

    GLOBE+注目は年齢差だけではない

    マクロン大統領夫人の実像

  • 写真

    sippo絶滅の危機に瀕するトラ

    生態は猫とほぼ同じ

  • 働き方・就活

  • 転職情報 朝日求人ウェブ