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変わる進学

高校・大学連携、双方にメリット

写真:東洋大グローバルコースのすべて英語の授業。読んだ文章の内容を、隣同士、英語で伝え合って話す力も高める=千代田区の麹町学園女子高校 拡大東洋大グローバルコースのすべて英語の授業。読んだ文章の内容を、隣同士、英語で伝え合って話す力も高める=千代田区の麹町学園女子高校

 大学入試改革などで付属校の人気が高まる中、大学と高校が「教育連携」を結び、進学につなげるケースが増えてきている。付属のような大がかりな枠組みが必要ない上、多様な形で実践できる高大連携。「○○大コース」など連携大学名を入れたコースも出現し始めた。

 (宮坂麻子)

 ■大学名入るコース、志願者増

 「3年生1学期までの評定平均値が3・5以上」「英検2級、TEAP220点以上、GTEC CBT930点以上のいずれか」「一定の学力」――。

 麹町学園女子高校(千代田区)の「東洋大学グローバルコース」の生徒たちが、東洋大に進学できる基準だ。2016年に教育連携の協定を結び、17年度に定員80人でこのコースを創設した。基準さえクリアできれば、全員、東洋大進学も可能だ。

 1期生となる今の高3は、入学時、英検4級もしくは級の取得さえしていない生徒が半数近くいた。朝のスピーキング、独自のアクティブイングリッシュの授業、個別指導など、教師たちの総力で英語力を高めた。「東洋大の進学基準に達していない生徒は5人以下で、他大学に挑戦する生徒や海外留学する生徒を除けば、約8割が東洋大に進学する。2期生は全員クリアをめざす」と山本三郎校長は意気込む。

 山本校長が着任した15年度、同校では高校募集はしておらず、中学の入学者は、定員の半数程度という定員割れの状況だった。かつて関西の私立中高一貫校で、関西学院大との教育連携コースを創設し、学校改革を成功させた山本校長は、首都圏の大学との教育連携を模索した。スーパーグローバル大学(SGU)の東洋大と16年に提携。高校入学者のみの「東洋大グローバルコース」を設け、高校募集を始めた。東洋大も「グローバル人材となる学生の確保につながる」と歓迎する。

 関西の高校では、立命館大など、連携大学の名を入れた個別コースは珍しくない。山本校長は「保護者は進学に目がいくが、本当はほかのメリットの方が大きい」と説明する。「全員が同じ大学に進学するので、教室内に偏差値や学力差が持ち込まれず、嫉妬心が生まれにくい。学校説明会も東洋大キャンパスで行い、高1から全学部の授業案内を受けられるなど、大学生の自分が想像でき、早い段階からじっくり進路も考えられる」

 1期生こそ定員割れだったが、3期生の今春は、114人が受験し、定員を超える89人が入学した。東洋大とは別の中高一貫6年のコースでも、東京女子大や共立女子大、今年度は成城大や女子栄養大などとも協定を結び、推薦枠もさらに増やしつつある。今年の学校説明会の参加者数は、異例の多さだという。

 玉川聖学院高等部(世田谷区)も、明治学院大、武蔵大、神奈川大、東京女子大、東洋英和女学院大と、教育連携を結び、この春は卒業生の約2割が連携大の推薦枠で進学した。進路担当者は「連携大学は保護者にも安心につながるようだ。中等部は生徒集めに苦労しているが高等部は志願者が伸びている」という。

 横浜女学院高校(横浜市)も、関東学院大、成蹊大、明治学院大、武蔵大に続き、今年、東京女子大と成城大学と連携した。井手雅彦副学院長は「連携はさらに広げる。伝統のある多様な大学の教育を知り、進学できるメリットは大きい」という。

 ■高校段階から意欲高める

 大学側には、どんなメリットがあるのか。

 17年に麹町学園と玉川聖学院、今年3月に桐朋女子、横浜女学院と協定を結んだ、東京女子大(杉並区)は、各校に推薦枠も設け、「校種を超えた一貫教育」のような形の連携をめざしているという。大学受験の勉強を本格化させる前の段階の高校生に対し、意識や関心、学習意欲が高まるような教育を提供した上で、入試、入学前教育、初年次教育と連続していくことで、大学の教育効果をより高めたい狙いだ。

 入試課の担当者は「付属校を持たない大学なので、教育理念や教育内容などの親和性が高い学校と連携した。意欲のある学生や安定した入学者の確保も目的の一つ」と語る。

 複数の公立高校と連携協定を結ぶ大学もある。神奈川大学(横浜市)は、神奈川県内の公立、私立高校をはじめ、東京都立や静岡県立など約90の高校と、高大連携協定を結んでいる。高大連携の担当者は「大学を知ってもらう狙いだが、入学後のミスマッチングも少なくなる」という。連携先のある高校の関係者は「親近感を抱いて一般入試の受験校に選ぶ生徒もいる。互いにウィンウィンの関係だ」と話した。

 ■(POINT!)大学知った上で学部選べる

 高校と大学との教育連携は、今後ますます広がるのか。安田教育研究所の安田理代表に聞いた。

     ◇

 定員の厳格化で私立大への入学が難化しており、中学受験でも高校受験でも、付属校志向が強くなっている。高校側は大学とのつながりを強め、推薦枠とともにアピールすることが、生徒募集に有利に働く。

 高大連携は文部科学省が進める政策なので、高校、大学どちらにも実績になる。しかも、教育連携なら、付属校になるほどの大がかりな枠組みや金銭負担はなく、解消もしやすい。

 実際には、推薦枠はそれほど多いところばかりではない。ただ連携する大学に一般入試で入学するとしても、事前の学生と生徒の相互交流、大学の出張授業など、大学で学ぶ内容を十分に知った上で学部学科選択をする意義は、非常に大きい。将来像が描けるため、入学後に「こんな勉強は向いていない」と思ったり、やる気を失って留年や中退したりということも防げ、生徒にとっても大学にとってもメリットになる。

 麹町学園のようにコースを作る動きは、関東では少ないが、今後、広がっていくのではないか。

 (聞き手・宮坂麻子)

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