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変わる進学

中学入試 帰国生の評価高まる

写真:英検1級以上の生徒を対象にした、聖光学院の英語の取り出し授業の様子。生徒のほとんどが帰国生だ=横浜市 拡大英検1級以上の生徒を対象にした、聖光学院の英語の取り出し授業の様子。生徒のほとんどが帰国生だ=横浜市

 中学入試で帰国生の受け入れを積極的に進める中高一貫校が増えている。4教科の受験では不利になりがちでも、学校側は帰国生の英語力や異文化体験を「強み」として評価。日本で育った一般生への刺激になるほか、大学進学実績につながるという面もあるようだ。

 (国米あなんだ)

 ■多様な価値観や経験に期待

 今年度、大学進学者255人(うち浪人67人)のうち93人が東京大学に進学した聖光学院(横浜市)。2018年度に中学校の帰国生入試の受験条件の一つ、海外在住期間を通算2年以上から通算1年以上に緩和した。

 工藤誠一校長は「より多くの帰国生にチャレンジしてほしいと基準を変更した」と説明する。異なる文化、環境に身を置き、挑戦してきた経験を評価したいという。「帰国生は、中高一貫の男子校という均質化しがちな環境に多様な価値観を持ち込んでくれる存在でもある」

 帰国生の受け入れは、進学実績の向上にもつながっている。同校が算数と、英語か国語のいずれかを選択する2教科の帰国生入試を始めたのは2002年度。当初10人ほどだった入学者は、現在では30人前後だ。例年、帰国生の8割以上が東大や医学部に進学する。

 同校では高1まで、帰国生を中心に英検1級レベルの生徒を別室に集めて教える英語の「取り出し授業」を行う。授業でハイレベルな英語力を習得することで、自主学習では数学など他教科に注力できるという。「英語ができる生徒は勝負の幅が広がる」と工藤校長は話す。

 帰国生など英語力が高い生徒の受け入れに力を入れる学校は増えている。

 全校生徒の15%ほどを帰国生が占める市川(千葉県市川市)は、12月の帰国生向け中学入試では英語のほか、国語と算数を課す。このほか、17年度からは1月の一般入試でも受験科目に英語を選択できる。いずれも英検準1級程度の難易度問題だ。

 今年度は現役の帰国生14人のうち東大が3人、一橋大、東北大、順天堂大医学部に各1人など難関大合格者が出た。担当者は「英語ができると、筆記試験だけでなく、国公立大学の一般推薦の英語面接などで優位」。また、「英語力だけでなく、多文化に身を置くという経験は大人が思う以上に思考力が磨かれていると感じている」と話した。

 帰国生の多い慶応義塾湘南藤沢中等部(神奈川県藤沢市)も今年度から一般入試で、聞く、読む、エッセイなどの英語受験を始めた。英検2級から準1級の力が求められる。

 ■一般生と刺激し合う

 2007年度に「インターナショナルコース」を設けた広尾学園(港区)では、帰国生と一般生が共に学び、切磋琢磨(せっさたくま)する。

 コースには、出願資格が「英検2級以上」で帰国生やインターナショナルスクール出身者が中心のアドバンスドグループ(AG)と、英語力を問わないスタンダードグループ(SG・中学のみ)がある。美術、道徳などは合同授業で、外国人教員が英語で行う。生徒たちは、互いの価値観や教養を共有することで国際的な視野広げていく。

 高校進学時、SGとAGの希望者は難関国公立大などをめざす他コースに変更し、多くが難関大に進学する。また、校内での海外大学説明会の開催や、アメリカの大学の単位取得につながる授業などを増やしたことで、近年、AGでは海外大学への進学者が8割近くまで増えた。コース統括長の植松久恵さんは「英語をツールとして使いこなすことで、進路選択の幅が無限に広がっている」と話す。

 1940年に帰国生教育を目的に始まった啓明学園(昭島市)は、中高で帰国生や外国籍の生徒が3割を占める。中学入試では英語作文などを課す国際入学試験だけでなく、一般入試でも英語が選択できる。

 担当者は「入学後は国数理社の取り出し授業を含め、発展的な英語から日本語支援が必要な生徒向けの授業まで、幅広くフォローしている」。帰国生や外国籍の生徒らは英語力を生かし、例年、10人前後が合格する上智大を筆頭に早稲田大や青山学院大などに進学しているという。

 ■(POINT!)「英語できる生徒を」顕著

 帰国生をめぐる中学受験の変化について、海外に住む子どもや帰国生向けの教育プログラムを提供する「JOBA」国内校統括責任者の須藤聡美さんに聞いた。

     ◇

 3年ほど前から帰国生入試の資格を緩和する動きが広がりました。聖光学院のように海外滞在期間の条件を短くする場合もあれば、帰国した時期を3年以上前でも良いとする学校もあります。入試要項に記載のある資格条件に数カ月満たない場合でも柔軟に対応をしている学校もあります。かつては中高受験で不利とされがちだった海外経験が、評価されるようになってきました。

 英語ができる帰国生を受け入れ、丁寧な支援をした学校が大学の進学実績を伸ばしていることが影響しているようです。中学受験では帰国生向けの英語入試のレベルも上がっていて、「英語ができる生徒を受け入れたい」という学校側の動きは顕著です。「JOBA」の受講生も中学入試の段階で東大2次試験の英語問題を扱うなど、同世代の子どもたちと比べて、英語力が比較にならないほど進んでいる場合は多いです。保護者の教育意識も高い傾向にあります。

 ただ、すべての帰国生が英語ができるわけではありません。親の赴任期間や滞在する国によっては、英語を十分に習得できずに帰国する子も少なくありません。彼らの選択肢が限られている状況は気がかりです。

 (聞き手・国米あなんだ)

 

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