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変わる進学

AI活用、知識習得や苦手発見

写真:「eフォレスタ」を使って数学の授業を受ける港区立赤坂中学校の生徒たち=港区 拡大「eフォレスタ」を使って数学の授業を受ける港区立赤坂中学校の生徒たち=港区

 学校や学習塾で、AI(人工知能)を使って生徒たちの学びを支援する教材を試験的に導入する動きが広がっている。AIで知識習得や苦手分野の発見を効率的に行い、大学入学共通テストで問われる思考力や判断力を養う時間を設けるのが狙いだ。

(国米あなんだ)

 ■授業6時間分、2時間で終了

 東京都港区立赤坂中学校2年生の数学の時間。イヤホンを付けた生徒たちが、この日の単元「平行と合同」の解説や問題が映し出されたタブレット端末を前に、黙々とノートにメモをしていた。

 ある生徒のタブレットの画面が赤く点滅した。問題を解くのに時間がかかり、手間取っている可能性を示す合図だ。教室内を回っていた須貝拓実教諭は「難しそうだね」と声をかけ、解き方を助言した。

 生徒が使っているのは、個別指導学習塾を運営する「スプリックス」(豊島区)が開発した学習アプリ「eフォレスタ」だ。教科書に準拠した内容が収録されている。AIが解答にかかる時間や正答率などから生徒の理解度をはかり、それぞれに応じた問題や解説を提供する。

 同校では今年度から1、2年生の数学に導入した。知識習得の効率を高めることを目的に、名称や定義について学ぶ時間が多い単元で活用している。男子生徒は「自分のペースで進められるから退屈にならない」と話した。

 須貝教諭によると、1学期は、これまで授業6時間分をかけていた内容を、2時間で終えた。残りの時間で生徒たちに「この公式を小学生に説明するにはどうプレゼンする?」といった課題を提示し、討論の時間などを設けるという。「浮いた時間を思考力を伸ばす学習に充てたい」と話す。

 区教委の担当者は「AIの力を借りて、生徒に合わせたより適切な指導ができる」と説明する。ただ、利用にはWi―Fi環境やタブレット端末の不足などの課題があり、「現段階では区内の全学校に普及させるのは難しい」という。

 千代田区麹町中学校も昨年度から、数学でAIを活用した学習アプリ「Qubena(キュビナ)」を使っている。「COMPASS」(品川区)が開発したもので、今年度は2年生の英語の授業でも使用を始めた。学習時間は従来の授業の半分ほどに短縮。空いた時間をドローンなどを使った探究学習にあてている。

 同社の担当者は「これまでテスト結果など事後的に把握していた生徒の理解度を、リアルタイムに知ることができるようになった」。現在は100校以上で導入されている。

 各学校での取り組みはいずれも経済産業省が、AIや動画といったデジタル技術を活用した教育技法を推進する「未来の教室」に採択された実証事業だ。学びの個別最適化や効率化をいかに引き出せるかを検証する。

 来年度から始まる大学共通テストでは、国語と数学で思考力や表現力が問われる記述式問題が導入される。2024年度には地理歴史、公民や理科も対象となる予定だ。同省の担当者は「学校と民間教育産業がツールやノウハウを共有することで、学習の効率化と、そこで生まれた時間で思考力を高める新しい学びを実践するサイクルが可能になるのでは」と期待する。

 ■思考力養成へ 進学塾でも

 進学塾でもAI活用が広がっている。

 Z会グループの進学塾「大学受験ディアロ」は昨春から「atama plus(アタマプラス)」が開発したアプリ「atama+」を使う。対象教科は数学や英語、物理、化学と幅広い。カリキュラムのメインは、生徒が自宅学習で学んだ内容を教室で先生に説明する対話式授業のコースだ。アプリは、このトレーニングに必要な基礎知識や学力の向上を目的にしたコースで使用する。

 小中学生向けの進学塾「河合塾Wings」では、「Qubena」を17年度に小学校5年生で導入し、現在は中1までが活用。中1では約420人が予習型授業の教材に使っている。

 石神井公園教室の講師、大島昂さんの授業では、予習内容を踏まえ、都立入試の問題を解いたり、生徒がなぜその解答方法を選んだかを説明させたりしている。数学的な考察や推論の過程を表現する力が問われる都立高校の入試や、大学入学共通テストに対応できる力を養うのが目的だ。「AIは学習を支援する教材の一つ。生徒たちには自分で考え、切り開く力を持ってほしい」

 ■(POINT!)効果・留意点踏まえ環境整備

AIを活用した学習は今後、どう広がっていくのか。文部科学省学びの先端技術活用推進室の佐藤有正専門官に聞いた。

     ◇

 教育現場でAIやタブレット端末など情報通信技術(ICT)の活用を目指す「新時代の学びを支える最先端技術活用推進方策」(最終まとめ)を6月に公表しました。先端技術を使い、発展的に学びたい子、学びに課題がある子、病気療養中の子など誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学びの実現が目的です。

 赤坂中学校などで導入されているような、AIで個別最適化ができる教材の活用にも注目しています。ただ、記述式の問題をはじめ、自動採点の精度などについてが不確定な部分があるなどの声も聞いています。効果と留意点の双方を踏まえ、教師や学校の役割を強化するための道具として活用できる環境を整えていく計画です。

 また、ネットワーク環境やタブレット端末の導入状況は、学校や地域によって差があります。安価に導入するための具体的なモデルなどを提示していきます。

(聞き手・国米あなんだ)

 

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