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変わる進学

公立の中高一貫校、新設次々

写真:2021年度から中高一貫校になる茨城県立土浦第一高校=同校提供 拡大2021年度から中高一貫校になる茨城県立土浦第一高校=同校提供

関東地方で公立の中高一貫校が増えている。茨城県は2022年度までに新たに10校を設置する計画だ。さいたま市でも今年4月に開校した。都心を中心に高まる一貫教育の関心が地方にも広がっている。

(国米あなんだ)

 ◆茨城では22年度までに10校

 2〜4日、茨城県立中高一貫校の中学8校の願書受付があった。来年度入学の募集定員計560人に対し、志願者は1708人。5校が来年4月からの新設校で、このうち竜ケ崎第一の倍率は最も高い4・95倍だった。

 公立の中高一貫校は、一つの学校で6年の一貫教育を行う中等教育学校、同じ自治体が設置した中高を接続し、中学から高校に入試なしで進める併設型、中高で生徒間の交流などをする連携型の3種類がある。

 新設されるのはいずれも中等教育学校か、併設型。県は21年度にも3校、22年度に2校の一貫校を開校する計画だ。学区は無く、県内在住なら受けられる。

 増設の理由を担当者は「保護者や生徒の関心の高さ」と説明する。既存の公立一貫中の今年度入学生の受験倍率は日立一付属中2・43倍、並木中等4・18倍、古河中等2・19倍。3校の定員計360人に対し、受験者数は約1200人にのぼった。片道2時間近くかけて通う生徒もいるという。「既存校だけでは、ニーズに追いついていない」と話す。

 高校進学時、県外の学校に進学する生徒の多さも課題だった。高校で他県の公立や私立校に進学する生徒は、約1200人(全日制)で県外から茨城県立高校に進学する生徒よりも4倍近く多い。「一貫校の増設で、地域で子どもたちを育て続けたいと考える保護者も増えるはず。他県の住民にとっても新たな選択肢になる」

 県立の名門高校とされる土浦第一や、水戸第一も21年度から中学2学級を募集する。高校からの募集は8学級から半減する。

 今年度、20人が東大に合格した土浦第一の植木邦夫校長は「中学では受験に備えた先取り学習にとどまらず、地域と連携した探究学習などを通じ、文理融合型の学びを深めたい」と話す。「今、高校で入学する生徒のレベルはとても高い。中学で入学する生徒には、高校生の姿を見て、自らを高めてほしい」。水戸第一の高村祐一校長は「一貫になれば高校卒業後の進路に地域の期待はさらに高まるだろう。期待に応えられる環境を高校主体でつくりたい」と話す。

 ■既存校の進学実績が背景に

 埼玉県では4月、さいたま市立大宮国際中等教育学校が開校した。同市立の中高一貫校としては浦和中学・高校に続き2校目。高校にあたる後期課程からの入学がない学校としては県内で初めてだ。教育の柱は国際バカロレア(IB)だ。学習指導要領に沿った教科学習のほか、IBの理念に基づいた独自の授業もある。現在、IBの11〜16歳を対象とするプログラム、MYPの候補校で、21年度までの認定を目指している。関心は高く、今年度入試は募集定員160人に対して志願者が1010人。倍率は6・31倍にのぼった。

 市教育委員会の担当者によると、既存の浦和中高の成果が新設につながったという。2018年度の東大合格者4人(うち浪人生2人)の全員が中学からの生徒など、進学でも実績を残している。担当者は「6年間の継続的な学びで、子どもたちを伸ばすことができると判断した」と話す。

 川口市も21年に市立高校付属中として中高一貫(1学年定員80人)を開校する予定だ。生徒は市内全域から募集する。市教育委員会によると、毎年、小学6年生の約10%に当たる500人ほどが、市外の私立や国立の中学校などに進学している。「近隣市への子どもの流出状況を改善し、地元で大切に育みたい」と狙いを説明する。

 東京都は、都立の中高一貫校10校のうち、5校で高校からの募集を21年度以降に停止する。中学の志望倍率が5〜6倍のところ、高校は1倍台にとどまっていた。募集停止に合わせて各校は中学での募集を拡大する予定だ。また22年度には立川市に小中高一貫校を開校する計画がある。

■関東の公立中高一貫校(連携型を除く)

 《東京都》 

 白鴎、両国、武蔵、富士、大泉、小石川、桜修館、立川国際、南多摩、三鷹、九段

 《神奈川県》

 平塚、相模原、横浜サイエンスフロンティア、南、川崎

 《千葉県》 

 千葉、東葛飾、稲毛

 《埼玉県》

 伊奈学園、大宮国際、浦和(市立)、川口(2021年度)

 《茨城県》

 日立第一、並木、古河、太田第一(20年度)、鉾田第一(同)、鹿島(同)、竜ケ崎第一(同)、下館第一(同)、水戸第一(21年度)、土浦第一(同)、勝田(同)、水海道第一(22年度)、下妻第一(同)

 《栃木県》 

 宇都宮東、佐野、矢板東

 《群馬県》

 中央、四ツ葉学園、太田

 ■(POINT!)6年間継続教育の良さに支持

 公立でも6年間の中高一貫校が増えているのはなぜか。森上教育研究所の森上展安代表に聞いた。

     ◇

 知識の習得だけなら短期間で教え込むこともできます。でも、今の新しい学習指導要領や大学入試改革で求められている思考力、判断力、表現力は、そんなに短期間で伸びるものではありません。身につけるには時間がかかる。英語で問われる4技能も同様です。小、中学校から発達段階に合わせた適切な教育や環境がないと、高校3年間だけでは限界がある。高校入試対策によって途中で学習が途切れない良さもある。公立中高一貫校が増えたことで、6年間の継続した教育の良さが、教育委員会や学校側にも、保護者にも広がったのでしょう。首都圏では、私立中学の上位をめざして必死に勉強してきた層も、そうでない層も、公立中高一貫校を受け、非常に高倍率になっています。この傾向は続くでしょう。

 一方で、すべての生徒に中高一貫がいいわけではありません。成長が遅い生徒の場合には、小6での中学受験は向かず、高校受験になると逆にいい結果を出す生徒もいます。633制ではなく444制をとる私立も出てきている。その子その子にあった学校選びがこれからはより大切です。

 (聞き手・宮坂麻子)

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