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変わる進学

「算数1教科」 広がる中学入試

写真:模擬入試体験会で、算数問題を解く子どもたち。小6以外も参加した=東京都葛飾区、共栄学園中 拡大模擬入試体験会で、算数問題を解く子どもたち。小6以外も参加した=東京都葛飾区、共栄学園中

 中学入試で「算数1教科」で合否を出す学校が、来年も増えそうだ。「算数のできる子は伸びる」「AI時代に対応できる子がほしい」など理由は様々で、「算数4技能入試」を実施する中学も登場。東京と神奈川で中学入試が始まる2月1日の午後に実施する例も多く、受験生にとって新たな選択肢が増えた形だ。

 (宮坂麻子)

 ■スペシャリスト発掘に重点

 今月15日、共栄学園中学(葛飾区)で、「算数4技能入試」の説明会が開かれた。2020年2月1日午後に新たに導入する入試の一つだ。

 数学科の矢野将弘教諭は、保護者に「1+2+……+10」の答えを尋ね、答えの「55」をどう導いたかを口頭で説明できるか聞いた。続いて「11+12+……+20」。答えを導く2種類の方法を説明。「皆さんのお子さんはこういうことに目が輝きますか。輝けば、ぜひ受験してください。算数のスペシャリストを発掘したいんです」と続けた。

 算数4技能入試では、基礎的な筆記試験(約20分)を行った後、約20分間リスニングで問題を聞き、考え方を文章で記述したり図で表現したり。最後に、考えた内容を教員に個別にプレゼンテーションして終了、という試験だ。

 出題例としては、四角い枠の中に2人で円形の石を交互においていくゲームをする会話を聞き、「どういう方法なら絶対に勝てるか」を考えさせる。他にも立体づくりなど頭と手を使う出題などもあり、「正解よりもどう思考したかを評価したい」という。

 同校ではさらに、同年2月1日午前の入試を、国算理社の4教科のうち2教科の選択に変更。1日午後は、「算数4技能」か「国語4技能」のどちらかを選べるようにする。

 今年も東工大や東京農工大、千葉大工学部、東京理科大など、理系に多数の進学者を出した。松宮博・中学校教頭は「理系の国公立は定員も多く、特にリケジョ(理系女子)が良い進学実績を出す。バランスの良さよりも、社会に出て輝くスペシャリストを育てるのが、これからの我々の役目だと思っている」と話す。

 湘南白百合学園中学(神奈川県藤沢市)も、20年から2月1日午後に算数1教科入試を行う。一般入試の定員60人のうち、4分の1程度を算数入試の定員にあてた。入試担当教諭は「AI時代を意識した生徒を育てたいという思いや、医学部、理系進学の生徒を増やしたいという思いもある。入り口の入試でも、算数力のある、とがったものを持った生徒を入れたい」と話す。

 ほかにも、田園調布学園中等部(世田谷区)や富士見中学(練馬区)、啓明学園中学(昭島市)なども算数入試を始める。

 ■倍率25倍の学校も 人気校が相次ぎ導入

 算数1教科入試は、約25年前から実施する攻玉社中学(品川区)など、元々はほんの一部の学校で行われていた。それが、この2、3年で急激に広がった。

 今年1、2月に行われた入試では、栄東中学(さいたま市)、桐蔭学園中等教育(横浜市)、世田谷学園中学(世田谷区)、三田国際学園中学(同)など、人気校が相次いで導入し、「予想以上に受験生が集まった」と話題になった。

 中でも、巣鴨中学(豊島区)の今年2月1日午後の「算数選抜」は、定員20人に対し、志願者508人と25倍を超える高倍率に。173人に合格を出し、定員の倍以上の生徒が入学した。

 堀内不二夫校長は「1日午前に上位校を受験した併願者が多く、レベルの高い層が集まった。まだ入学して1年足らずでどう伸びるかは見えないが、算数が得意な生徒は、論理的に物事を考えることができるので期待している」と話す。

 開成や麻布などの併願者も多く、サピックス小学部の広野雅明・教育事業本部長によると、模試の受験者動向からみると、来年2月の巣鴨中の算数選抜には「今年以上にレベルの高い層が集まっている」という。「算数に力を入れるというイメージが呼び水になったのか、1日午前の入試も志願者が増えている」

 今年の算数入試では、世田谷学園が定員の14倍の志願者、栄東中学も東大2が高倍率で、来年は東大1の入試でも導入する。広野さんは「算数の得意な子には非常にいい入試制度。半日でも早く合格をもらって次へ臨みたいという受験生の思いもあり、特に1日午後の算数入試の人気は、今後も高まるだろう」としている。

 ■(POINT!)学校の魅力 入試より教育の中身

 算数1教科入試が広がることで中学受験はどう変わるのか。安田教育研究所の安田理代表に聞いた。

     ◇

 「1教科入試」には英語などもあるが、主に進学塾に通っていない子が受ける英語に比べ、算数は受験塾に通う算数が得意な子が受ける。「算数ができる子は論理的な思考力もあり、他の教科も後伸びする」と多くの学校の教員から聞く。

 特に女子校にはメリットが大きい。一つは、AI時代に必要な理数に強い生徒を育てられる。もう一つは、算数のできる女子は授業でもクラスを引っ張り、苦手な子に刺激を与えてくれる。さらに国公立大の定員の7、8割は理系のため、国公立大の進学実績が上がる。

 1教科なので、受験生も学校側も負担が少ないという双方のメリットもある。1教科入試が広がることで、2月1日に2校受けて、3日までで入試を終える「短期決戦」の傾向がより強まりそうだ。

 ただ、受験生には教育の中身を見極めて欲しい。巣鴨中の算数選抜の説明会に出たら、英国の名門校のサマースクールに参加できるなどグローバル教育にも力を注ぐことに魅力を感じて第1希望にした、という保護者もいた。学校の魅力は入試ではなく教育の中身だ。

 (聞き手・宮坂麻子)

 

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