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変わる進学

地方の寮制学校 首都圏に狙い

写真:岐阜県瑞浪市の麗沢瑞浪中学・高校=同校提供 拡大岐阜県瑞浪市の麗沢瑞浪中学・高校=同校提供

 地方にある寮制学校が、首都圏の受験生へのアプローチに力を入れている。各地で少子化が進む中、人口が集中し、子どもの教育への投資をいとわない家庭も少なくない首都圏は、魅力的な市場だという。

 (国米あなんだ)

 ■少子化でも 厚い中学受験層

 今年、創立60年を迎える麗沢瑞浪中学・高校(岐阜県瑞浪市)は、生徒627人のうち約半数が寮生だ。これまで試験会場は同校に限っていたが、「会場が遠く、受験をためらっていた家庭に挑戦してもらいたい」(藤田知則教頭)と、今年は試験会場を東京と大阪市など計5会場を設けた。11日の中学入試(定員70人)では、東京都内の試験会場で11人が試験を受ける予定という。

 同校が特に意識するのが首都圏の受験生で、一昨年から東京や神奈川で説明会を始め、回数も増やしている。これらが功を奏し、昨年の入試(1回目)で61人だった志願者が今年は93人に増え、昨年度比で1・52倍になった。

 関東地域への働きかけを強める理由の一つが、在校生の半数を占める岐阜県内で進む少子化だ。東京都や神奈川県は「中学の受験層が厚く、教育への関心も高い」と藤田教頭。説明会には、共働きで子どもとの時間が限られていることを懸念する保護者からの問い合わせも少なくない。「寮生活は首都圏の家庭の悩みを解消できる。寮の魅力を丁寧に伝えたい」

 8日に東京で入試を行った札幌市の北嶺中学校は、2014年から東京会場を設けているが、年々、東京会場の志願者数が増え、今年も昨年より20人多い173人が志願した。全国9会場で同時に入試をし、定員は計120人。現役の医学部合格者が多いことで知られ、学年の3分の1程度が医学部へ。東京大や北海道大など国立大への進学者も多い。「昨年の東京会場の志願者のうち46人が専願で、22人が入学した。大半は医学部志望。関東の受験生は入学後の成績も良い」と岡本修二教頭は話す。

 東京会場を置く学校は他にもある。1月入試の志願者が1687人の早稲田佐賀中学(佐賀県唐津市)は、東京と名古屋の会場の志願者が計667人に上った。愛光中学(松山市)、佐久長聖中学(長野県佐久市)、西大和学園中学(奈良県河合町)も東京に会場を設けている。

 ■身に付く社会性PR

 移転を機に、都心部の家庭への訴求力が高まると期待する学校もある。全寮制の北浦三育中学校(茨城県行方市)は4月、系列の三育学院大がある千葉県大多喜町に、三育学院中学校(認可申請中)として全面移転する。

 学校規模は現在の定員3学年計60人から、計105人に拡大する。寮は大学施設を利用し、大学で英語を教えるスタッフや学生による指導も検討している。移転統合準備委員会の尾上史郎委員長は「施設を含め、大学にある資源を中学生活に最大限いかす」と話す。

 国内には系列小学校が10校あり、北浦三育中の在校生は東京三育小(東京都練馬区)や横浜三育小(横浜市)などからの内部進学生が約半数を占める。他はAO入試が3割、一般入試が2割で、受験生の8割は関東地域だ。尾上委員長は「核家族化や少子化で、家庭内で社会性を身に付けるのが難しい時代にこそ、全寮制の学校の魅力が際立つ。移転を機に、関東の幅広い層にアピールしたい」と話す。

 中学卒業後はほぼ全員が全寮制の広島三育学院(広島県三原市)へ。高校卒業後は一学年90人のうち、三育学院大への進学は2割弱で、国際基督教大学、青山学院大学といった首都圏の私立大が3割、その他の大学が4割を占める。

 ■説明会参加者が増加

 実際に首都圏の保護者の関心が高まっていると感じる学校関係者も多い。

 私立の中高24校でつくる全国私立寮制学校協議会は昨年11月、東京都や神奈川県で説明会を開いた。都内の会場の参加者は260人を超え、前年よりも1・5倍になった。協議会の代表幹事を務める函館ラ・サール学園の井上治常務理事は「社会や入試改革で重視されている、思考力や表現力の基礎ともなるコミュニケーション能力は、寮生活で必ず養われる。そこに価値を見いだしている家庭が増えているのでは」とみる。

 全校生徒36人と小規模の全寮制、松風塾高校(青森県平内町)は昨夏から動画を使ったネット広告を始めた。関東地域を中心に公開すると、再生回数は5万回を超えた。夏秋2回のオープンスクールには、のべ約50人と従来の倍近い人数が参加した。「期待を超える結果」と入試の担当者は言う。「少子化が進む中、首都圏の家庭へのアプローチは続けたい」

 ■(POINT!)保護者・本人とも展望と覚悟必要

 地方の私立中による首都圏での入試には、どんな利点があるのか。安田教育研究所の安田理代表に聞いた。

     ◇

 まず、受験生側のメリットがいくつかある。首都圏の本命の中学入試の前哨戦として東京会場の入試を受験し、合格すれば自信につながり、前向きな気持ちにもなる。昨今は、合格確保だけでなく、進学を考えるケースも増えている。両親ともに総合職で子どもに十分関われない、また山村留学などと同様に地方の寮のある中学に早くから入れて我が子を自立させたい、といった家庭も少なくない。

 さらに、首都圏の難関校に届かない場合、中堅校よりは札幌市の北嶺中や、早稲田佐賀中、長野県の佐久長聖中、仙台市の秀光中等教育のような、大学進学実績の良い地方中学を選ぶケースもある。

 一方学校側は、受験料収入が見込めることもあるが、少子化と地域経済の停滞から中学入学生の確保が難しくなっており、首都圏の生徒が少数でも入学してくれればいろいろな面で生徒、教員への刺激になる。

 双方にメリットがあるので、今後も東京会場入試の受験者は増える可能性がある。とはいえ、寮費と学費を合わせれば、それなりの費用になる。集団生活になじめず戻ってくるケースも耳にするので、保護者、本人ともそれなりの展望と覚悟が必要だろう。

 (聞き手・宮坂麻子)

 

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