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東京ご当地紀行

青森県 真っ赤な「宝石」 筋子をたらふく

写真:おかみの茂木真奈美さん(右)と店長の小池政晴さん。店内はねぶた祭りのポスターなどが飾られ、青森の雰囲気の中で食事やお酒を楽しめる=新宿区荒木町 拡大おかみの茂木真奈美さん(右)と店長の小池政晴さん。店内はねぶた祭りのポスターなどが飾られ、青森の雰囲気の中で食事やお酒を楽しめる=新宿区荒木町

写真:青森市内のすし店「三九鮨」の筋子巻。以前は断面にシャリが見えたが、おいしさを追求した結果、この形になったという=青森市古川1丁目、青森県東京事務所提供 拡大青森市内のすし店「三九鮨」の筋子巻。以前は断面にシャリが見えたが、おいしさを追求した結果、この形になったという=青森市古川1丁目、青森県東京事務所提供

写真:「青森PR居酒屋 りんごの花」が提供する「筋子納豆ごはん」。照明を浴びて、筋子が輝いていた=新宿区荒木町 拡大「青森PR居酒屋 りんごの花」が提供する「筋子納豆ごはん」。照明を浴びて、筋子が輝いていた=新宿区荒木町

 おすし屋さんで色が「赤」の細巻きの具材といえば? 鉄火、梅キュウリ、イクラ……。いろいろあるが、私が真っ先に思うのは、筋子だ。

 青森県内では、家庭で日常的に筋子が食べられており、消費量は全国一といわれる。筋子はサケの卵で、腹から取り出し卵巣膜につながったままの状態のものを指す。膜からほぐしてバラバラにするとイクラになる。筋子の中でも、塩に漬け込む「塩筋子」は青森で古くから製造され、親しまれてきた。それを使った細巻きが「筋子巻」。すし店で握りと一緒に注文する人も多い。

 包丁で切る際に筋子がつぶれるため、周りのシャリが赤色に染まる。口に入れると、トロッと濃厚な汁が広がり、パンチのある塩味が舌にぶつかる。イクラよりも断然、「私はいま、魚卵を食べている!」と、若干の罪悪感とともに実感させてくれる。

 青森県庁の近くにあるすし店「三九鮨」(青森市)は、筋子巻が定番メニューの一つだ。店主の小野功さん(72)は「筋子、ウニ、サバの三種巻が人気。ネットで調べて来てくれる観光客も多いですね」と話す。

 青森で食べる筋子の魅力を小野さんは「新鮮さ」という。「おにぎりの具でも筋子は大人気。昔から筋子を食べる文化なので、商品の回転が速く、新鮮なものが多い。新鮮だと卵の殻が破れず、おいしさをしっかりと味わえる」と話す。

 青森で筋子がよく食べられるのはなぜなのか。

 県庁で観光戦略を担当する「まるごとあおもり情報発信グループ」発行の資料には、藩政時代には北前船の交易品として運び出されていた――とある。県内の食文化に詳しい柴田学園大学短期大学部(弘前市)の北山育子特任教授は、「明確な記録はないが古い時代から保存食として作られ、食べられていた」という。

 「熱い飯サ筋子」。津軽にはこんなことわざもあり、「塩梅(あんばい)がいいこと」を指すそうだ。北山さんは「津軽は昔からコメが豊かにとれる。ご飯に合う食べ物として、塩味の強いものが好まれた」。正月などに用意するのも、イクラよりも、筋子だ。

 東京でおいしい筋子を味わいたい。そう思って探していると、聞いたことがないメニューを見つけた。「筋子納豆ごはん」。地下鉄の四谷三丁目駅や曙橋駅に近い「青森PR居酒屋 りんごの花」(新宿区荒木町)を訪ねた。

 おかみの茂木真奈美さん(49)は青森県十和田市出身。食品会社に勤めていた頃、出張で全国を飛び回り、「青森は特長がある食べ物がたくさんあるのに、あまり知られていない。もったいないなと思った」。

 その食品会社の同僚で、横浜市出身の小池政晴さん(53)は青森県が担当エリアでその魅力を知っていた。「青森の食をPRしよう」と、2人で店を出す決意をした。

 「筋子納豆」を考案したのは、小池さんだ。弘前市内の飲み屋で、筋子納豆という食べ方があるという話を聞いた。翌日、宿泊していたホテルの朝食バイキングで、別々に並んでいた筋子と納豆をご飯の上に。「おもしろい!」。店のメニューにしようと決めた。

 青森にゆかりのある作家の作品にも、近い表現があることを知った。

 同県五所川原市出身の太宰治。代表作「人間失格」の原型になったともいわれる小説「HUMAN LOST」には、《私は、筋子に味の素の雪きらきら降らせ、納豆に、青のり、と、からし、添えて在れば、他には何も不足なかった》。

 メニューづくりには、試行錯誤した。ひき割り納豆だと筋子の味が圧勝し、大粒の納豆だと筋子の影が薄くなる。茶わんに炊きたてのごはんを盛り、タレを絡めた小粒の納豆の上に、筋子を切ってちりばめる形にたどりついた。

 店の照明が当たると、筋子がキラキラと輝く。「宝石みたいというお客さんもいます」と茂木さん。独特の濃厚な魚卵の味を、納豆がマイルドにしてくれる。夜に炭水化物を控えたい人向けには、豆腐にのせた「筋子納豆冷ややっこ」もある。筋子の単品は、地元の日本酒に合う格好のつまみだ。

 筋子を含め、店で使う食材のほとんどは青森から取り寄せている。八戸のサバ、下北半島のマグロやあんこう、青森のホタテ。海産物だけではなく、牛、豚、鶏のブランド肉もあれば、長いもやニンニクなども特産だ。「うちの店に来てくれたお客さんに、青森に行ってもらい、良さを感じてもらうこと」。それが2人の目標という。

 (北沢拓也)

 <青森県> 日本海、太平洋、陸奥湾、津軽海峡に囲まれる本州北端の県。海産物だけでなく、野菜や果物も豊富。マグロの初セリでその名を広めた下北半島の大間、石川さゆりさんの名曲「津軽海峡・冬景色」に登場する竜飛など、県全域の「突端」を巡るのも楽しい。温泉も有名で、多彩な泉質・温度のお湯がそろう。街のあちこちに「温泉銭湯」があるのも特徴で、人口10万人あたりの公衆浴場数は全国一。自宅の風呂代わりに利用する県民も多く、「お風呂セット」を車に常時積んでおくのも青森らしい暮らし方だ。

 ■青森PR居酒屋 りんごの花

 ・住所:東京都新宿区荒木町11―24 荒木町エーシービル1階

 ・電話:03―6380―6724

 ・営業時間:平日午後5時〜11時半、土日祝日午後3時〜10時、火曜休み

 <プレゼント> JR青森駅前の複合施設「アウガ」内の新鮮市場に店を構える小山内商店の「極上甘口すじこ」(約350グラム、税込み4500円)を抽選で4名様にプレゼントします。締め切りは14日。朝日新聞デジタル会員が対象(無料でご登録いただけます)。応募は専用ページ(http://t.asahi.com/gotochi1105)へ。

 

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