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08月11日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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本の学校から

力抜いて 楽しい時間

写真:「やりたいことは二度寝だけ」(講談社文庫) 拡大「やりたいことは二度寝だけ」(講談社文庫)

写真:「往復書簡 無目的な思索の応答」(朝日出版社) 拡大「往復書簡 無目的な思索の応答」(朝日出版社)

 休みの日でも、普段と同じ時間に起きるようにしている。理由は二つあって、一つは「遅刻しても良いから朝ごはんは必ず食べること」という小さい頃からの母の教えを、今でも忠実に守っているから。

 もう一つは、二度寝がしたいからだ。朝ごはんを食べたけど、やっぱりもうちょっと寝る。背徳感を抱えながらまどろむ瞬間を楽しむために、わざわざ一度起きるといっても過言ではない。

 大阪出張の時に立ち寄った本屋でジャケ買いならぬタイトル買いした津村記久子さんのエッセー集は、そのものズバリ「やりたいことは二度寝だけ」(講談社文庫)。

 2005年にデビューし、「ポトスライムの舟」(講談社文庫)で芥川賞を受賞した後もしばらくは会社勤めをしていた経歴から、ものすごくワーカホリックな印象を持っていたが、どうやら違っていたようだ。

 受賞前後の慌ただしい日々も、疲れている時ほど商店街を散歩したくなることも、お花見への情熱も、厄年との付き合い方も、肩の力を抜いて同じくらいの温度で書かれている。

 津村さんの創作の秘密について少しだけ触れられているけど、本人が書いているように読んでも役には立たないと思う。頭からかぶって着るゆるいワンピースのような服「アッパッパー」の語源を知ることができるけど、明日には忘れているとも思う。

 でも、友人の特にオチのない話をぼんやりと聞いているようなこのエッセー集を読むことは、二度寝と同じくらい楽しい時間の過ごし方だ。

 芥川賞を受賞した兼業作家といえば、お笑い芸人の又吉直樹さん。「往復書簡 無目的な思索の応答」(朝日出版社)は、ライターの武田砂鉄さんと、「言葉への態度」を巡り1年半続けられた往復書簡。

 相手から手渡しのようにそっと差し出された言葉を受け止め吟味し、そこから連想される言葉を差し出し返す。ただしストライクゾーンからは外れたところに。

 批評する側とされる側、それぞれの立場で「火花」(文春文庫)を語り、芸風や語り口を分かりやすい言葉で固定されることへの違和感へと続き、その違和感の正体をズバッと鮮やかに一刀両断!はしない。しないというより、出来ないんだと思う。

 違和感をそのまま残し、更に別の違和感を盛り合わせて、ゴロゴロと転がしていく。「異能の芸人/作家と気鋭のライターによる、斬新な切り口の!」と紹介できたら楽なんだけど、多分そんなんじゃない。

 それほど面識のない、大声を出すのが苦手な男2人が、言葉少なに語っている時の微妙な間(ま)こそ、この本のキモだ。(今井書店 高木善祥さん)

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