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2012年04月10日
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週刊まちぶら

【石川】

安江金箔工芸館かいわい

写真:館内の天井にある円形の飾りが入館者を出迎えてくれる=金沢市東山1丁目 拡大館内の天井にある円形の飾りが入館者を出迎えてくれる=金沢市東山1丁目

写真:館内には金箔について学べるコーナーが設けられている 拡大館内には金箔について学べるコーナーが設けられている

写真: 拡大

職人技きらり 表舞台

 美しい輝きで人々を魅了する「金」。金沢では仏壇や美術工芸品に使われる「金箔(きん・ぱく)」の製造が盛んで、国内シェア99%を誇る。

 金箔1枚の厚さは1万分の1ミリ。驚異的な薄さを生む職人たちの技術はまさに神業だ。ひがし茶屋街の近くにある金沢市立安江金箔工芸館(東山1丁目)は国内唯一の金箔の博物館として有名。館内では、職人たちの高度な技術や歴史を知ることができる。

 金沢と金箔の歴史は古い。1593(文禄2)年、豊臣秀吉の朝鮮出兵のため、肥前名護屋(佐賀県)に滞在していた加賀藩祖前田利家が、国元に金銀箔の製造を命じた文書が残っている。このころには金箔を作っていたと推測される。

 1808(文化5)年、金沢城の二の丸御殿が全焼した際、再建に大量の金箔が必要になり、金沢での箔打ちがさらに広まった。大正時代に入り、「箔打ち機」が開発されると生産効率が一気に伸びたという。

 だが、金箔職人たちの活躍や歴史が世間に知られる機会は少なかったという。

 現在の工芸館は1974年、金箔職人の安江孝明(こう・めい)氏が設立した「安江金箔工芸館」が始まりだ。彼は私財を出して道具類や金箔にちなんだ美術品などの展示品を集めた。

 学芸員の齋藤直子さん(37)は「表舞台に出ることがなかった金箔職人の技術や伝統を何とか伝えたいと考えたのでしょう」。その後、工芸館は金沢市へ寄贈され、老朽化などを理由に2010年、現在地に新築移転した。

 館内へ足を踏み入れるとホールの天井にある円形の飾りが目をひく。直径は2・4メートルもあり、600枚の金箔が使われている。2階にある企画展示室では職人が使用していた道具や実際の作業工程を知ることが出来る。「おもしろ箔物(はく・ぶつ)館」では、1千倍にした金箔と、髪の毛や新聞紙の厚さを比較するなど、金箔について楽しく学べる。

 3階には新技術の開発や情報発信を目的につくられた「金沢箔技術振興研究所」がある。後継者不足や需要の減少といった業界を取り巻く環境は年々厳しさを増している。大学、行政、生産者が一緒に金沢の伝統文化を守ろうという新たな取り組みだ。

 所長の北川和夫・金沢大名誉教授(67)は「各機関が連携しながら、技術の向上や後継者の育成につなげていきたい」と話す。(井潟克弘)

 ■金沢市立安江金箔工芸館(076・251・8950) 金箔の製造に使う道具のほか、金箔にまつわる工芸、絵画などの美術品を多数展示している。入館料は一般300円、65歳以上200円、高校生以下無料。

 ■金沢菓子木型美術館=写真(076・262・6251) 江戸時代から残る菓子木型が1千点以上展示されている。落雁(らく・がん)づくり体験も楽しめる(要予約)。入館料大人200円、中学生以下100円。

 ■寺島蔵人邸=写真(076・224・2789) 寺島蔵人は加賀藩に仕えた中級武士。邸宅は18世紀後半に建てられたとされ、現存する家屋や土塀が当時の武家屋敷の様子をよく伝えている。入館料は一般300円、65歳以上200円、高校生以下無料。

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