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05月29日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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朝をひらく 【地域交流センター理事 明石 あおいさん】

一人っ子の実家

私にも「空き家問題」

 一昨年、父が亡くなり、富山市の実家は母のひとり暮らしとなった。35年前、父が設計した家だ。約30年前は、私も含めて7人、4世代が同居していた。最年長の曽祖母と最年少で一人っ子の私には個室があてがわれたが、私の部屋は大学進学・上京直後から父の資料置き場となった。ドラマの一場面みたいに「あんたの部屋そのままにしてあるから」と言われることを期待していたが、ベッドも勉強机もすかさず始末され、大学時代から実家に帰っても仏間で過ごすしかなかったのを思い出す。

 結婚を機に叔父が家を出て、曽祖母が亡くなり、私が上京し、祖父が亡くなり、祖母がサービス付き高齢者住宅に入り、父が亡くなった。6年前に東京で出会った主人とともにUターンしたが、実家とは別の賃貸住宅に住んでいる。

 そんな訳でひとり暮らしのはずの母は、寒いし気がめいるからと、今はホテル暮らしをしている。たまには実家に戻っているが、心もとないので、私も月に何度かは墓守ならぬ仏壇守をしに行く。家の中をチェックし、荷物を整理し、仏壇に手を合わせて帰ってくる。行くたびに生活感が薄れ、置かれたものの色もあせていくように感じる。図らずも与えられたこの時間は、私の人生において何を意味しているのだろう。

 そして、この家をどうしようかと考える。「この家に住む?」――。それなら大幅な改築が必要だ。床や水回りを直し、寒がりの母が居心地よい空間をつくり、私たち夫婦の部屋を確保しなくては。伝統建築でもいい町並みの一角にあるわけでもないから、新築してしまった方が安いだろう。「事務所にする?」――。いやいや、春には絶賛リノベーション(改築)中の内川沿いの古民家に、事務所を移動する予定だ。「更地にする?」――。解体費用は最低数百万かかるだろう。どうするにせよ、まずは自分が住んでいない間に蓄積された膨大な家族の荷物を整理することが先決だ。

 持ち家率全国上位の富山県。裏返せば、空き家率がワーストの予備軍だとも言える。少子高齢化のこの時代、もう新しい土地に新しい家を建てる必要はないのではと、身をもって感じている。

 急激に朽ちたりするわけではないし特に家賃も発生しないから、実家の空き家問題はのんきに捉えてしまっていた。どこかで他人まかせにもなっていた。自分の部屋はないけれど、確かに十数年は過ごした実家。嫁いだ後とはいえ、この場所をどうにかするのは、私しかいないのだ。うん、私しかいない。

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