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04月26日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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朝をひらく 【地域交流センター理事 明石 あおいさん】

盛況町家事務所

人減り手に入るもの

 射水市の内川沿い、町家をリノベーション(改修)した事務所に引っ越して、約1カ月が経った。正面間口はアルミサッシから木製の「さまのこ」に戻したり、もとの材を活(い)かしたりして、自分で言うのも何だけどちょっと雰囲気ある場所になった。興味ありげに「さまのこ」をのぞく方をよく見かける。

 前の事務所は小さな鉄扉で守られたマンションの一室だったから、ここに来て新鮮なのは、お仕事以外の訪問者の多さだ。毎週花を生けに来てくれる方、近所のいろいろを教えてくれる方、単に事務所見学の方。今週は、地元の女性たちで集まって女子会も開催する。

 サロンとギャラリーを兼ねた事務所という、ひとことで言いづらい場所の屋号は、「ma.ba.lab.(まばらぼ)」。名前は「疎(まば)ら」から取った。1955〜65年(昭和30年代)、内川一帯は人口密集地だったそうだが、今では住んでいる方もぐっと少なくなり、空き家も増えた。

 事務所のある奈呉町は、漁師さんをはじめ海の仕事で生計を立てる方が多く住んでいた地域。昔は350世帯ほどあったそうだが、今は70世帯余りだそう。ご高齢の方のひとり住まいも多いから、人口としては10分の1くらいになっているかもしれない。

 人が減るのは寂しい。でも、悪いことだけでもない気がしている。「間」が空いてくると、密集していた時には分からなかった関係とか、個々の存在とかが際立ってきて、より丁寧に向き合うことができるような気がするから。「過疎地」「限界集落」などと言われる地域に暮らしている人の方が、いわゆる都会に住む人より、生き生きと力強いと感じることはよくあるし。

 それに、街道沿いの町家は、古くから地域の名士や実力者が住む場所だったから、世が世なら私なんぞが「欲しい」と言って手に入るものではなかっただろう。人口減少時代、空き家が増えてきたからこそ、こんな私も、歴史ある街並みの中に交ぜてもらえるのだ、と思う。

 引っ越してきて、間違いなく、プライバシーも仕事に集中できる時間も前より減った。忙しい時はちょっと困ることもあるけれど、基本的にはうれしい。周囲の人々と声を掛けあったり訪れあったりして、「間」や距離感を測りながらコミュニケーションすることも、プライバシーが緩やかに破られるような境界線のあいまいな「場」に身を置けることも、面倒くさいけどすごく貴くていとしい。疎らだからこそ目が行き、関われる余地のできたものを、大切に面白がっていきたいと思う。

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