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06月19日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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「らしさ」尊重が大切

 「Think globally、 act locally」というスローガンを知ったのは、約15年前。地球規模で考え、足元から行動しようという意味で、環境問題や市民活動、地域活性化などの分野で頻繁に使われてきた言葉だ。

 当時は「地方分権」論争が盛んだったので、国と地方という対立軸で語られる場面が多くあり、「グローバル(=地球規模、全体的な)」と「ローカル(=ある特定の地域)」の対比が明快で、すてきなフレーズとして印象に残った。

 しかし、時を経るごとに、二つの言葉の対立構造に違和感を持つようになった。今やスローガンにするまでもなく、「グローバル」は当たり前の機能になりつつある。世界中の「ローカル」の人とインターネットで瞬時につながり、政治や経済も即座に影響し合う時代だ。

 ところで、1日に無事終わった新湊曳山(ひき・やま)まつりで、感動の再会があった。約15年前に私をかわいがってくださっていたある市の元・市長さんご夫妻。地方分権や学校教育改革で目覚ましい取り組みを実践されており、当時は尊敬……というより心酔していた方だ。

 「ドイツ語で市長は『ベルガーマイスター(=市民の先生)』と呼ばれているんだ。『凡庸な教師はただしゃべる。普通の教師は説明する。良い教師はやってみせる。卓越した教師は人の心に火をつける』という言葉があるが、人の心に火をつける先生をまちにたくさんつくらなければいけない」と、よく話してくださった。現在は、大学で日本の祭りとコミュニティーの研究をされており、研究の一環で今回の祭りに来られ、たまたま事務所の前を通りかかったのだ。

 実に10年ぶりの再会。せっかくなので少しだけ地域をご案内した。「各地の伝統的な祭礼には、私たち民族の原点がある。今は、地球をひとつの共同体と考える『グローバリズム』が潮流だが、今こそ個々の共同体を尊重する『ローカリズム』という視点が大切。祭りはどれも違うけれど、大切な根底の部分はつながっている。きっと祭りの神様が出会わせてくれたんだね」と、あの頃と変わりなく熱く語ってくださったのがすごくうれしかった。

 大切なのは、空間としての「ローカル」への執着ではなく、おのおのの独自性や特徴という「らしさ(=ローカリズム)」を大切にし、尊重する価値観の方なのだ。その価値を見いだせなかった「ローカル」は、「グローバリズム」という機能にのみ込まれ、どんどん均質化していく。そんなことを改めて考えさせてくれた祭りの神様に感謝したい。

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