メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

06月25日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

朝をひらく 【地域交流センター理事 明石 あおいさん】

移住・定住促進

自然・のどか だけでは

 先日、旧八尾町の大長谷地域にお邪魔した。富山市の中心部から車で約1時間、八尾市街からも40分はかかる岐阜県境の村。そこで、九州から移住し、養鶏を営んでおられる方との出会いがあった。

 山に詳しく遊び心があって人情に厚い、とてもダンディーな方。当初は完全なる「よそ者」だっただろうが、今は旧住民も新住民も巻き込み、地域づくりの中心人物となっておられる。長年の取り組みが結実し、ここ数年人口が急増。それも子育て世代と子どもが増えており、実は隠れた移住先進地なのだ。

 ダンディー氏は、現在の移住・定住促進の取り組みに対して、「自然豊かで人の少ないのどかさや住み良さを売りにするだけでは不十分」と強調される。ダンディー氏が家族連れで移住してきた約30年前、大長谷にあった分校は既に廃校となっている。大長谷には、元気に駆け回る子どもたちはいても、彼らの通える小学校がないのだ。

 ちなみに、わが社の女子スタッフも旧八尾町出身。彼女が6年にあがるとき、小学校の休校に伴い、通学校が変わった。「地域のため子どもたちのためにといつも話していたのに、子どもの自分たちにこんな思いをさせて、大人たちはうそつきだと思った」と当時の思いを語った彼女の言葉がグサリときた。

 通う場所が途中で変わるストレス、学びやが無くなるというショッキングな事実。期待と不安、そして屈辱感を背負って、新たな場所へ通うのはどれほどつらかったことだろう。

 小学校は廃校になり、彼女も大人になった。今は地域の人々が下した苦渋の決断を理解も納得もしているそうだ。あの時のつらい経験は逆に宝となり、彼女のたくましさを培ったと思う。

 廃校ではなく休校にしておけば、将来人口が増え、再び小学校が必要になったときに復活できるからと、過疎地域やへき地でも廃校を望まない人たちは多い。しかし、休校の間も校舎の維持管理は必要だ。校舎を活用するには用途変更や大規模改修が必要で、結局は廃校にしてからでないと実現しないケースがほとんどだ。

 でも、思い切って廃校にして素晴らしく活用できた結果、人口が増え、子どもたちが増えたら、その子たちはどの小学校に通うのだろう。ぐるぐる。

 「路線バスも通っていない地域からまちなかの小学校まで、この子らをどう通わせるか」。走り回る子どもたちを目で追いながら語ってくれたダンディー氏の言葉はとても重い。「のどかさ」で釣っておいて「仕方ない」と切り捨てる「うそつき」な大人には、なりたくない。なってはいけない。

PR情報

ここから広告です

富山総局から

ご意見・ご感想をお待ちしております。
メールはこちらから

朝日新聞 富山総局 公式ツイッター

注目コンテンツ

  • 写真

    【&BAZAAR】ブレンダーは粉砕力で選ぶ

    質実剛健のブレンダー

  • 写真

    【&TRAVEL】鵜飼は「信長のおもてなし」

    にっぽんの逸品を訪ねて

  • 写真

    【&M】足立梨花に聞く恋愛、結婚…

    映画『キスできる餃子』

  • 写真

    【&w】山小屋と出会う愉しみ

    山道具日記

  • 写真

    好書好日新米パパのとまどいと発見

    三浦太郎さん「くっついた」

  • 写真

    WEBRONZA東京五輪とイノベーション

    低下しつづける日本の地位

  • 写真

    アエラスタイルマガジンリバウンドよ、さようなら

    減らした体重を戻さないために

  • 写真

    T JAPANせきねきょうこが選ぶホテル

    新・東京ホテル物語 第21回

  • 写真

    GLOBE+ママ記者が特派員になったら

    ハノイ支局長日記

  • 写真

    sippo情にも厚い最強のボス猫

    マグロで育ったシマちゃん

  • 働き方・就活

  • 転職情報 朝日求人ウェブ