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北陸六味【社会学者 上野千鶴子さん】

「ごちゃまぜ」な街あれば

写真:イラスト・田中聡美 拡大イラスト・田中聡美

 福祉の世界では全国的に有名なシェア金沢を訪問した。「全国的に有名」でも、意外に地元では知られていないもの。金沢在住の女性と同行したが、おふたりともご存じなかった。

 金沢といえばわたしのホームタウン。話題の高齢者施設とあれば、いつか行ってみたいと思っていた。つてもコネもなかったので、正面からメールを送ってこういう者だが、お訪ねしたい、とお願いしたら、快く引き受けてくださり、当日は施設長さんがご案内くださった。

 シェア金沢は小立野台地の奥、金沢大学の近くの広大な敷地に複合型の居住施設を点在したコミュニティ。ひろびろとした敷地に障害者のグループホーム、知的障害児の入所施設、サービス付き高齢者向け住宅、大学生のための宿舎に美大生専用のアトリエ付き宿舎まである。他に作業所、店舗、そして食堂に温泉まで! アルパカの畜舎もあって、お世話係が散歩を日課にしているんだという。

 出入り自由で、外部の訪問者も食堂を利用できるし、温泉に通ってくる近所のカップルもいる。ご近所の農家が生鮮野菜を持ち込んで、自然に市場ができたそうだ。参観者や近隣の住民の出入りもあって、「ごちゃまぜ」が理念だ。

 シェア金沢の母体である佛子園(ぶっ・し・えん)は1960年に白山地域で、理事長の雄谷(おお・や)良成(りょう・せい)さんの祖父、本英(ほん・えい)さんが開設した社会福祉法人。その後、寺を改装してコミュニティ・カフェにしたり、各地にグループホームや作業所をつくったりして、石川県下の各地に事業を展開してきた。シェア金沢は、これまでのノウハウとアイデアをすべて投入した総合事業だ。

 静岡から雪国の金沢へ引っ越してきた入居者にインタビューさせていただいた。周囲のひとたちとのゆるやかなつながりがあって居心地はよいが、課題はここが終(つい)の住処(すみ・か)にならないこと、とか。要介護や看取(み・と)りになると、どこかの病院か施設に移らなければならない。ご本人のつよい希望で在室の看取りをした例が1例、2例と積み重なっていっていると施設長さんが話してくれた。

 若者も高齢者も障害者も「ごちゃまぜ」に暮らしていて、そこに仕事やボランティアをする場がある。すてきだな、と思う。それにしても、なぜこれが街のまんなかに点在していないのだろう、といつもふしぎでならない。ケアをしごとにする人たちは、ノーマライゼーションをめざして、ケア「施設」ではなくケア「タウン」をつくろうとしてきた。ケアが組み込まれた普通の街……。住まいのある地域が「ごちゃまぜ」にならないからこそ、わざわざシェア金沢のような「施設」が必要になり、また注目を集めることにもなるのだろう。

(社会学者)

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