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10月19日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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風土が気質刻む瞬間

 先月に続き今回も北陸地域を襲ったドカ雪。私の住む射水市新湊地区や高岡市伏木地区では、たった一晩で積雪が80センチを超えた。普通のスコップだと同じ場所を3回除雪してようやく地面が見えるような状態だった。

 雪から車を掘り出して家から出勤し、会社の駐車場も雪かきをしてから止める。雪かきの間、ちょっと車を止めておく場所も確保しなきゃいけないので、移動するたびに雪かきがついてまわる日だった。町家の連なる湊町なので雪置き場も限られる。除雪した雪をさらに運ぶ場面もあって、エンドレス雪かきだ。

 郊外や山間の住宅なら家庭用の除雪機を持っているところも少なくないが、湊町の町家ではそんな代物皆無と言っていい。延々、黙々と雪を運んでいてはたと気づいた。

 いつもは静かな通りなのに、「この町ってこんなににぎやかだっけ」と思うくらい民家や駐車場の入り口に人が出ている。それぞれが自分のテリトリーを確保するため、自前の道具とやり方で雪を取り除いているだけなのに、不思議とまち全体になごやかさと一体感が漂っているのに気づいた。

 「いやー大変やねー」「ご苦労さまー」と困りながら笑顔で言葉を交わす。つらさやあきらめがほとんどながら、お祭りの日みたいな、こそばゆいうれしさがほんの少しだけれど確実に混ざっているのを感じた。どんなところにも容赦なく等しく降り積もる雪は、地域のみんなで力を合わせて片っ端から解かなきゃいけない宿題みたいなものだ。それも全員必ず提出せねばならない宿題。

 緊急事態、それぞれが目の前のことを対処するのに一生懸命だからこそ、その方法や心構えは地域全体の記憶や知恵として共有される。それが今後の備えとなるのだ。雪かきをしながら、風土が人々の気質を刻む瞬間に出会えたようで、ほくほくした。

 また、緊急時は、普段の考えや性格が顕在化する瞬間でもある。冬の富山で車を運転する際に、スタッドレスタイヤやスノーブラシが欠かせないように、雪に埋まりにくい走行の仕方や雪にはまった際の抜け出し方も心得ていなければならない。ちゃんと備えができていて人の分まで手伝ったり助けたりしてくれる人もいる一方、自分のことも満足にできないのに何とかなると高をくくって迷惑をかける人もいる。

 私は後者なので、ボッコボコの雪道を、吹雪の中運転するなどという難易度の高い運転はできるだけ避けようと思う。身の程をわきまえつつ、次の宿題に備えたい。

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