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北陸六味【福井県立高校教諭 南部泰啓さん】

災害 県はなぜ他人事か

写真: 拡大

 今から14年前の夏、7月18日、福井市を流れる足羽川の堤防が決壊し、建物被災が全壊・半壊・床上床下浸水等1万5千戸にのぼるというまさに未曽有の大災害がありました。

 当時私は福井市民で、自宅は決壊地点から直線距離にしてわずか300メートル足らず。日曜、早朝までの豪雨はやみ、もう晴れ空。ただ道路はいたるところで冠水。なのでどこにも出かけずおとなしく、のんびりテレビ観賞というのんきな昼行灯(ひる・あん・どん)でした。

 実家の母から安否確認電話で重い腰をあげ外を見ると、すでに泥水が数十センチ! ガレージの、買って間もないスポーツクーペとたまたま修理したばかりの軽ワンボックス、ウィンタースポーツ用具一式等が流され、腰までの濁流の中を恐怖心と戦いながら家族でなんとか避難場所の小学校まで逃げました。

 私があえて未曽有という言葉を使うのは、県庁所在都市のど真ん中を流れる川の堤防が、天候回復後に満水が原因で破壊されるなどという例は聞いたこともないからです。堤防に欠陥があったとしか思えません。

 そして今年、今度はゲリラ豪雨ならぬゲリラ豪雪が福井を直撃。豪雨後に無理して購入し、十数万キロ走行した愛車は雪の中でお陀仏(だ・ぶつ)、またも被災。福井市は急な除雪費の支出で年度の赤字が確定。先日この欄で久保智康氏が触れられていたように職員の給与をカットするという暴挙に。まさに瀕死(ひん・し)のフェニックス(福井市の別名は不死鳥、空襲と震災からの復興も市民の血と汗と涙の結果だからね)。

 県都でもあるのになぜか県は上から目線で、市に財政再建を求め、中核都市移行計画の延期を指示。当然のことながら市は県に対して突発的な自然災害で生じた自治体の財政負担を支援する新制度の創設を求めました。

 雪中1500台の車の立ち往生だって、そもそも動脈とも言える1桁国道が対向1車線しかないっていうインフラ整備の不十分さ(県境から北、石川県の高架国道8号と比較すればその差は明確)が招いた必然。これも県は国のせいにしてるけど、そんなものを長年放置していたことが間違いでしょ。

 実は福井豪雨の際、ある奇特な方が宝くじの当選金2億円をポンと県に寄付するという驚きの善行がありました。県は本当にありがたかったと思います。奇(く)しくも今年度の市の赤字額は2億円。比べるのもなんだけど……。県はなぜ他人事のような顔ができるのでしょう。

 私は豪雨後に高血圧、耳鳴り、めまい、吐き気が持病となり、豪雪時にはもう難聴者。人間は苦悩する存在「ホモ・パティエンス」であると定義した『夜と霧』の著者(強制収容所からの生還者)フランクル。しみじみ実感しておる今日この頃です。(福井県立高校教諭、カウンセラー)

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