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北陸六味【俳優 西村まさ彦さん】

時代劇担う京の町と人

写真:京都・太秦の松竹撮影所のセット=松竹提供 拡大京都・太秦の松竹撮影所のセット=松竹提供

 中学生の時に修学旅行で行った京都。この地に仕事で行くようになるなど、思いもよらなかったことです。

 京都・太秦には東映と松竹の撮影所があり、主に時代劇を中心に映画やドラマを撮影しています。何しろ京都には国宝級の仏閣、名所・旧跡が至る所にあります。そのお寺と撮影所は協力関係が築かれており、一般の観光客が立ち入ることができない場所をお借りして撮影することが当たり前のように行われています。そんな時は、とっても得した気分になります。「時代劇といえば京都」といわれるゆえんです。

 エキストラもちゃんと訓練を受けています。今では何と呼ばれているかわかりませんが、その昔、撮影所には大部屋制度というのがありまして、映画やテレビに出演しながら演技の勉強をしていくのです。彼らは斬られ役、商人、町人、侍など何でもこなします。本当に見事なまでに。東京から来た俳優は、彼らから時代劇の所作や立ち回りを教わります。私も何度もお世話になっています。

 森田芳光監督作品「武士の家計簿」(2010年)で剣の手ほどきを受けたのは、富山県出身の大石さんでした。ご自身も出演しながら、他の俳優に立ち回りの手ほどきをしてくださるのです。

 「最近は、床山のなり手がいなくなってね。入ってもすぐにやめるんだよ」。ベテランの床山さんがこぼします。

 床山というのは、役に合わせて結髪をしたり、俳優にかつらを着けたりする人のことです。撮影がある日は、キャストがメイク室に入る2時間前からかつらの手入れをして、俳優に装着。撮影中は現場に立ち会い、立ち回りで髪が乱れたら直したりします。合戦のシーンなどは大勢のエキストラ全員のかつらの面倒を見るのですから大変です。そして、撮影が終わってもまたかつらの手入れ、と休む暇もなく働きます。

 床山だけではありません。衣装も小道具も美術も、時代劇の撮影にはそれぞれのプロがいて、技術を研鑽(けんさん)し、若手に現場で継承しています。もちろん現場に若手が全然いないわけではなく、頑張って働いている若者もいるにはいるのです。私は、そんな彼らにエールを送ります。「君たちは求められている。人から頼りにされる有り難さ。これが生きがいにつながるんだよ」と。

 京都は私が修学旅行で初めて行った頃と変わらず観光名所。今では海外からの観光客も多く訪れ、町は大賑(おおにぎ)わいです。ゆっくりと旅情を楽しむのが難しいほどですが、一歩路地に入るとそこには昔ながらの町の佇(たたず)まいがあります。そして、伝統をつないでいる人もまたそこに生きています。

 時代に生かされ、時代に生きる人々が住まう町、京都。今、その地で仕事をさせていただける喜びをかみしめて、ある作品で江戸時代に生きた人を演じさせていただいているのです。 (俳優)

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