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北陸六味【北陸学院大准教授 田中純一さん】

地域防災士、次の段階へ

写真:金沢市内での避難所開設訓練の様子=2018年8月、筆者撮影 拡大金沢市内での避難所開設訓練の様子=2018年8月、筆者撮影

 ここ数年、自然の猛威は無視できないくらい身近なところにまで迫っていることを実感する。筆者が所属する大学が運行を予定していた災害被災地へのボランティアバスは今年、豪雪や台風で2度、中止に。私も、荒天による予定変更や電車の遅延・運休に遭遇し出張先で何度も苦労した。

 だからこそ、自らが被災したときのことを考えておきたい。万が一の災害に向け、着実に経験を重ねている住民が金沢市にいる。市が育成する「かなざわコミュニティ防災士」だ。

 金沢市では、1町会に1人の防災士を配置することを基本に育成を進めており、今年8月時点で、地域で活動できるコミュニティ防災士が約600人いる。

 8月26日には、市内で避難所開設訓練があった。運営側の住民の役割認識と連携により、避難してきた大勢の住民を速やかに受け入れることが目的で、700人を超える住民が参加した実践的な訓練だった。

 訓練で筆者が注目したのは防災士の横のつながりだ。ある地域の小学校の校舎に設置された受付、炊き出しスペース、救護室、避難者カード回収場所、子どもの引き渡し場所、体育館などの要所ごとに、これまで避難所開設訓練を経験したことのある別の地域の防災士が立ち、当該地域の防災士や運営スタッフをサポートしていた。

 聞けば、訓練経験のある防災士は夜間の打ち合わせから参加し、地元防災士とともに念入りな会場レイアウト、役割分担の協議を重ねてきたそうだ。それもあって、大きな混乱もなく避難役の住民は体育館に設けられた町会ごとの避難場所にたどり着くことができた。防災士同士が経験を共有し、スキルを高め合うという点で、今回の訓練はコミュニティ防災士が力を付けていることを示していたと思う。

 運営スタッフの中には中学生もいた。「ケガをした方はいませんか!」と大きな声で呼びかけ続け、避難者役の住民を誘導する中学生の姿に、層の厚さを意識した訓練であることもわかった。

 大規模災害では、避難所開設以降、運営が一段落するまでに3日程度を要する。避難所開設訓練に取り組んでいない地域であれば、さらに時間が必要だ。今回のような訓練は、経験知を持つ住民を増やすという点で重要な意味を持つ。

 ただ、大規模災害は頻繁に発生するものではないため、防災・減災に対する意識を地域レベルで持続させることは容易ではなく、訓練が形骸化する恐れがある。だからこそ、コミュニティ防災士が結節点となり、地域を越えて学び合い、刺激を与えあい、知識・技術・経験を共有することが大事だと言える。今回の訓練は、防災士の数を増やす段階から、質を向上させる段階へとかじを切っていく重要な試みとも言えるだろう。

(北陸学院大教授)

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