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北陸六味【福井県立高校教諭 南部泰啓さん】

「よそ者」か「まれびと」か

写真:「折口信夫と生徒たち」 イラスト・鳥居レイ 拡大「折口信夫と生徒たち」 イラスト・鳥居レイ

日本思想家の折口信夫は共同体の外部から来訪する「まれびと」としての神という考え方を提唱しています。外部からの客人(異人)に宿舎や食事を提供して歓待する風習は、日本の各地で普遍的にみられますよね。その一方でムラ社会にいる日本人はよそ者や新入り、部外者などには冷たいというような国民性を持っていると感じます。わかりやすい対比としてなら「観光客はおもてなし、移民となるとお断り」みたいな。

 私は田舎の里山に育ち、その閉鎖的な世間を嫌いました。大学受験の一番大きなモチベーションは都会に出て自由な暮らしを満喫したい、です。以後実家の父母とはずっと別居。それは福井県にUターンしてからも続きました。

 高校卒業までは未経験でしたが、故郷を離れると行った先々でよそ者扱いされます。顕著だったのは京都、その対極は東京(あくまで個人の感想です)。田舎者扱いはもちろんですが、よそ者のあんたにはわかるまい的な反応にいたるところで遭遇しました。

 出身地だけでなく、出身校で同じ感覚を味わうことも。田舎では中学高校、都会では大学。同窓会も身内と他者をわける境界になります(学校の偏差値ランクも微妙に影響)。

 ところが、私自身は出身地や出身校にはまったく無頓着。大学の県人会など一度も出席経験がなく、小中高大の同窓会出席は単に懐かしい友達に再会したかったから。正直に言うと故郷自慢どころか、よそでは印象の薄い福井県には引け目だけ、出身大学にも全然母校愛を持ったことがない。なぜだろう? 自己分析する気も起きなかった。

 さて、ここまでは長い前フリ。数年前に病気がちな母親を見守るために実家に戻って同居することとなり、さらに昨年、はからずも母校に転勤となり(卒業以来40年ぶり!)、私の気持ちはすっかり変わってしまったのです。

 心の中から沸々と湧き上がる不思議な感覚。同郷の生徒たちがあたかも自分の実子のように感じてしまう、可愛くて仕方ない、ヤバいぞ、俺状態。一番の弊害は、よそ者を無意識のうちに敵視してしまっていることです。自分が過去に散々感知した嫌な受け止め方「あんたはよそ者だから口出しするな!」「よそ者のお前にはかかわって欲しくない!」「早く出てってくれ!」こんな狭い了見が心中に渦巻くのです。あかん、あかん。この感情って難民排斥の極右と同じや。我に返って愕然(がく・ぜん)とします。

 大きく深呼吸して自己変革に努めねばならないようです。故郷に入り込んでくる異人は「まれびと」なんだ、神なんだ、心してその薫陶に預からねば!(福井県立高校教諭、カウンセラー)

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