メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

05月24日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

北陸六味【北陸学院大准教授 田中純一さん】

福祉機能 避難所全てに

阪神・淡路大震災から24年が過ぎた。遺族や支援者の高齢化で縮小・中止を余儀なくされた行事が増えた一方、自治体が借り上げた復興住宅が契約期限を迎えるなど新たな問題も生じている。教訓は引き継がれ生かされているのか、神戸で追悼行事に参加しながら毎年、自問する。

 2014年の防災白書にあるグラフが掲載されている。阪神・淡路大震災の際、生き埋めになったり閉じ込められたりしたときに誰に助けられたかを示したものだ。「自力」「家族」「友人・隣人」を合わせると9割以上。災害が大規模で広域、複合的であるほど発災直後の行政による救助に限界があり、自助と共助が機能したことがわかる。

 しかし、この24年で地域の自助、共助の基盤は様変わりした。単身世帯の増加は、同じ屋根の下で自分を助けてくれる人がいないことを意味する。筆者の知り合いの高齢夫婦のように、家族内での助け合いに限界を感じる人も実感として増えている。

 2040年の国の姿を示した国立社会保障・人口問題研究所の18年推計によれば、単独世帯は15年の1842万世帯(一般世帯総数の34・5%)から40年に1994万世帯(39・3%)に増加。一方で夫婦と子どもの世帯は1434万世帯(26・9%)から1182万世帯(23・3%)に減少。さらに65歳以上の高齢者単独世帯は625万世帯から896万世帯と約1・4倍に増える。24年前を引き合いに自助、共助の大切さを訴えるだけでは防災・減災は進まない。

 課題の一つが福祉避難所だ。福祉避難所は、災害時に配慮が必要な高齢者や障がい者、妊婦らを受け入れる。阪神・淡路大震災以降、その必要性が議論され、07年の能登半島地震で初めて開設された。しかし、施設の確保や運営面で多くの課題を残している。

 一人ひとりの人権やかけがえのなさを考えれば、福祉避難所に限らず、すべての避難所で福祉ニーズに応えられるよう機能を拡充していくのが当然だ。その上で、それだけでは十分でない住民のために福祉避難所を位置づけるべきだろう。

 とはいうものの、課題の検討や改善を行うことなく安易に福祉避難所を設けることには注意が必要だ。福祉という冠をつければ、既存施設が福祉避難所として機能するわけではない。福祉避難所となる施設の職員の処遇や配置は厳しい場合が多く、平時でさえ手いっぱいだ。機能性、耐震性、アクセスのしやすさ、職員配置などハード・ソフト両面からの検討が必要だ。

 なにより、「障がい者や高齢者は福祉避難所に行けばいい」と、避難所運営において差別や偏見を生み出すようなことがあっては決してならない。

 避難所では地域社会の脆弱(ぜいじゃく)性があらわになる。同じことを繰り返すのか、それとも過去の教訓を生かすのか。一人ひとりの意識と行動が試されている。(北陸学院大学教授)

PR情報

ここから広告です

PR注目情報

富山総局から

ご意見・ご感想をお待ちしております。
メールはこちらから

朝日新聞 富山総局 公式ツイッター

注目コンテンツ

  • 写真

    【&w】カカドゥの不思議な野鳥たち

    ノーザンテリトリー〈PR〉

  • 写真

    【&TRAVEL】遊び心満載の豪華客船

    船上でサーフィン?〈PR〉

  • 写真

    【&M】TEPPEI×ハマ・オカモト

    自分に合った服装とは?

  • 写真

    【&w】劇場鑑賞券を3組6名様に

    「&w」読者プレゼント

  • 写真

    好書好日旅するように異国料理を作る

    宮崎あおいさん初の料理本

  • 写真

    WEBRONZAカーシェア急拡大

    今日の編集長おすすめ記事

  • 写真

    アエラスタイルマガジンこれぞ手軽な手土産の大本命

    手土産に縁起のよい「虎家喜」

  • 写真

    T JAPAN未来を変えるコスメ 第2回

    全米で話題の「CBDオイル」

  • 写真

    GLOBE+注目は年齢差だけではない

    マクロン大統領夫人の実像

  • 写真

    sippo絶滅の危機に瀕するトラ

    生態は猫とほぼ同じ

  • 働き方・就活

  • 転職情報 朝日求人ウェブ