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05月22日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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北陸六味【北陸学院大准教授 田中純一さん】

笑顔守る 此の防災教育

 2013年の台風ヨランダで被害を受けたフィリピン・バンタヤン島の小学校で、防災教育プログラムを実施する機会を得た。筆者にとって海外の小学校でのプログラム実施は初めて。小学校の門をくぐったときはいささか興奮した。

 日本からの参加メンバーには、現地の日常語であるセブアノ語を話せる者はいない。こちらのつたない英語での説明を理解してくれるだろうか、という心配は一瞬で吹き飛んだ。日本の小学6年生に当たる子どもたちは、みな英語を理解していた。2択のクイズ形式プログラムでは、ときおり大きな歓声があがるほど盛り上がった。安堵(あんど)した。

 大学1年生3人がアシスタントとして参加してくれ、日本出発前からオリジナルの2択問題用の絵の制作に関わってくれた。決して上手なイラストではなかったが、手描きの絵は思いのほか子どもたちに受けた。進行を務めてくれた女性メンバーの流暢(りゅう・ちょう)な英語と手際の良い進行はもちろん、手描きイラストが子どもたちの心をつかんだことが、成功の要因の一つであることは間違いない。

 プログラムを進めながら驚いたことがある。それは現地の子どもたちの防災に関する知識の豊かさだ。地震発生のメカニズムについて質問すれば、物おじすることなく手を挙げて1人の生徒が説明してくれた。回答はほぼパーフェクト。

 「避難所に持っていくのは水かジュースか」といった、避難の際に必要な持ち出し品を問う2択問題では参加した60人のうちほぼ全員が全問正解だった。フィリピンでは防災教育に力を入れていると聞いていたが、ヨランダ以降、自然災害から身を守るための知識が着実に浸透していることを実感した。

 現地を訪問するたびに思うことがある。子どもたちの笑顔が本当に素敵で人なつっこいことだ。なりわい支援や地域の資源マップづくりなど、バンタヤン島の集落支援プロジェクトを立ち上げたのは子どもたちと出会ったからだ。被災直後の苦しい生活の中でも、大きな目を輝かせ筆者の顔をのぞき込む子どもたち。災害ごときにこの子たちの故郷を、家族の暮らしを失わせてなるものか。子どもたちの笑顔に突き動かされてプロジェクトは始動した。

 防災教育プログラムでは「避難者カード」についても説明した。家族と離ればなれになったときを想定し自分や家族のことを記す携帯用カードだ。現地には世帯単位で家族情報を記載するものはあるが、個人や子ども向けには作られていなかった。今後、現地の先生や行政担当者と意見を交わし現地版避難者カードの開発と普及に取り組みたい。

 次の災害に備えることは子どもの命を助けることであり、「助けられる人」から「助ける人」になる人を育てる未来志向のチャレンジだ。現地の人と「住み続けられる地域」の姿について議論し、前に進めたい。(北陸学院大教授)

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