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わかやま動物ウオッチング

107 安全ジビエ 目利きが判別

写真:スライスされた後に、真空パックされるシカ肉=日高川町、松本さん撮影 拡大スライスされた後に、真空パックされるシカ肉=日高川町、松本さん撮影

 野生のイノシシやシカ肉を使ったジビエ料理を広めようと和歌山市内で2月、コンテストがありました。グランプリを受賞した「仔猪(こいのしし)肉と野菜の煮込み、金山寺みその香り」は、臭みがなくとろける甘味。入賞した「シカ肉ロール巻き」は牛肉に似た味でした。シカ肉は鉄分が豊富で低カロリー。健康にも良い野生動物の肉を手軽にもっと食べたいと感じました。

 食材は県内に15ある施設で処理されています。昨年4月〜今年2月に最多の計282頭のイノシシとシカを解体・加工した「ジビエ工房紀州」(日高川町船津)を取材しました。

 工房内は清潔で、前日に搬入されたイノシシが吊(つ)られていました。皮を剥ぎ内臓を取り出した体は鮮やかなピンク色。食品衛生管理責任者の北岡悟さんは「家畜は人工飼料で肝臓を傷めるが、自然界の動物は自分に合った餌を選択するから体がきれい」と話します。

 県の衛生管理指針では「狙撃は胸から上」「放血後2時間以内に搬入」などと定められます。北岡さんは狩猟者から持ち込まれた動物が精肉用に適するか、経験に裏打ちされた目利きで判別します。痩せている▽傷がある▽死後長時間が経過▽寄生虫がいる▽などの場合は引き取りません。

 ちょうど体重55キロの雄のイノシシが搬入されました。まずホースで水をかけ泥を落とします。皮を剥いで内臓を取り出したら、また水洗い。この「水洗い」が菌の増殖を抑え、安全な肉を提供する上で重要で、「きれいに作業する。確かな肉を食べてもらいたい」と北岡さん。

 工房では、もも、肩など体の部位ごとに切り分けして加工し、県外にも流通を広げています。3月23日には同町の日高川ふれあいドームで「第1回日高川ジビエ“猪・鹿・鳥”料理まつり」があるので、賞味したい方はご参加下さい。

 ジビエには、このような地域興しの他に、農作物などに被害を与える有害獣を減らす狙いもあります。山や野生動物が好きな北岡さんは「本当はシカやイノシシが畑を荒らさないようになって開店休業になるのが理想」と言います。本来、山でくらす動物が人家近くに出没する状況について、次回、報告します。

(動物教材研究所pocket 主宰 松本朱実)

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