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高校野球【第99回 全国高校野球選手権 和歌山大会】

チェンジ あのときから(1)

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写真:「自分がぶれたらだめ」と話す智弁和歌山の大星博暉主将=和歌山市冬野 拡大「自分がぶれたらだめ」と話す智弁和歌山の大星博暉主将=和歌山市冬野

■勝つため、気持ちぶつける/智弁和歌山 主将・大星博暉君

 昨年10月上旬の練習中。智弁和歌山のグラウンドで大星博暉主将(3年)は部長の古宮克人さん(28)につかみかかっていた。「お前も気持ちぶつけることできるんやな」。意外な言葉が返ってきた。

 「良い主将になれる選手がきた」。古宮さんは大星君を見てこう思った。1年生の時から打撃でも守備でも、教わったことがすぐに行動に出せる。意図をくみ取れる頭の良さが大星君にはある。「良い主将なくして良いチームはない」。このチームが強くなるために最も必要な要素だった。

 ただ、大星君自身には、自覚はなかった。新チームになって高嶋仁監督(71)に主将に指名されてからは、わからないことばかり。「チームを引っ張っていけ」と言われても何をしたらいいのか。監督や古宮さんから言われたことをただチームメートに伝えるだけ。「伝言係」と古宮さんに言われても、その言葉の意味がいま一つピンとこなかった。

 ミスが出ても何となく流してしまう雰囲気がチームにもあった。新人戦では準決勝で和歌山東に0―11、秋の県2次予選ではまたしても準決勝で高野山に2―11で敗れた。「このままで夏は勝てるのか」。大星君自身、不安を感じていた。

 10月上旬、練習で外野の守備についていた大星君が送球のカバーを怠ったのを古宮さんが見逃さなかった。練習の合間に大星君を呼び、「そういう所が甘いんや」と厳しい言葉をぶつけた。「二つあんな負け方をしたんはお前みたいなやつが主将やってるからや」

 「何で俺やねん」。とっさに体が動いていた。でも、反発する気持ちの一方で「このままじゃあかん」と大星君も感じていた。自分がもっとチームを引っ張らないと――。本心を突かれたから、悔しかった。堰(せき)を切って感情があふれ出し、その後は涙が止まらなかった。

 「勝たなあかん」。主将としての自覚が芽生えだしたのはそれからすぐだった。主将になった時、言われた言葉を思い出す。「甲子園行ったらいい主将。勝ち負けで評価される」。それだったら勝つためにやることやろう。

 「そんなんじゃ甲子園行かれへんって」。ミスをした選手には厳しい言葉が飛び交う。「早よせえや」と大星君が語気を強くしてチームメートを怒ることも珍しくなくなった。蔵野真隆君(3年)も「以前は遠慮がちなやつ。今は思ったことをはっきり言うようになった」と主将の変化を感じる。

 古宮さんもかつては智弁和歌山の主将。当時も「全国制覇したいんや」とチームメートに伝えてもなかなか伝わらないもどかしさがあった。「ずっと一人で引っ張っているような感じだった」と振り返る。夏の大会が迫ったある日、だらだらと練習する選手を別の3年生が「早くしろ」と怒った。それでも変わらない選手に詰め寄り、もみ合いになった。互いに本音をぶつけあった。

 その日を境に雰囲気は変わり、甲子園で4強に進出した。チームが成長するにはきっかけが必要なんだと古宮さんは肌で感じた。だからこそ、大星君にチームを引っ張る力を身につけてほしくて、期待を込めてあえて突き放した。

 大星君は言う。「甲子園に行きたい。そうでないと智弁に来た意味がない」。力強い言葉で語る主将の視線にぶれはない。

(金子和史)

 高校野球には成長を与えてくれる何かがある。見えなかった景色が見え、届かなかった場所に手が届く。そのとき、選手や大人は何を思ったのか。13日に紀三井寺に集まる選手とチームに起こった変化の瞬間に迫ります。(4回掲載予定)

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