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写真:十一回表、降板する尾田湧星君(11)は橋本朗哉君に後を託す 拡大十一回表、降板する尾田湧星君(11)は橋本朗哉君に後を託す

■継投 ライバル同士で/日高中津・尾田君

 日高中津の尾田湧星君(3年)はブルペンから笑顔でやってきた橋本朗哉(ときや)主将(3年)の胸に左手を置いた。「後は頼んだ」

 尾田君はこの2年半、主戦の原綜冶(そうや)君(3年)を超えようと練習してきた。しかし、3年生の夏、背番号1をつけたのは原君。最後まで超えられなかったライバル。それでも橋本君と「綜冶が投げられなくなっても甲子園に行けるようにしよう」と一緒に筋トレや走り込みをしてきた。3人で競い合ってきた投手陣。この大会も3人を中心に継投で試合を作ってきた。

 七回表、尾田君はその原君の後を託された。得点圏に走者を進められるが、「綜冶が守ってきた0点を自分も守る」と1死をとると、低めの変化球が決まり、2者連続三振で切り抜けた。

 八回表に2死二、三塁から自信のあったスライダーを左前に運ばれ、同点打を許した。それでも、「これ以上は取られない」と投げ続け、九回、十回と0点で切り抜ける。

 迎えた十一回、1死から安打を許すと盗塁で走者を得点圏に置く。相手の6番には追い込みながらも、決め球が決まらずフルカウント。7球目は三塁へのゴロ。「落ち着けよ」と一塁に転送しようとする三塁手に声をかけた。しかし、送球がそれ走者が生還。思わず天を仰いだ。スコアボードに入った「1」をぼうぜんと眺めた。

 その後2死までこぎつけるが、8番にストレートの四球を出すとベンチが動いた。交代の合図をする山本誠司監督(42)。橋本君がマウンドに向かう間、尾田君はずっとボールを手でこねていた。「少しでも朗哉が投げやすいように」。橋本君から「任しとけ」と声をかけられ、スタンドからの拍手を背に感じながらマウンドを降りた。

 2人がいたからここまで成長できた。「やりきった」と尾田君の胸に、不思議と後悔の気持ちはなかった。

(金子和史)

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