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高校野球【わかやま高校野球 夏100回への軌跡】

王国の名声 戦前から

写真:「当時、和歌山中で試合があれば、スタンドは満員になり熱気に包まれていた」と話す松嶋正治さん=和歌山市中野 拡大「当時、和歌山中で試合があれば、スタンドは満員になり熱気に包まれていた」と話す松嶋正治さん=和歌山市中野

写真:1922年月、皇太子(後の昭和天皇)が観戦した試合。奥のスタンドに人が集まり右奥には紅白の幕も見える=桐蔭提供 拡大1922年月、皇太子(後の昭和天皇)が観戦した試合。奥のスタンドに人が集まり右奥には紅白の幕も見える=桐蔭提供

写真:1939年、和歌山予選の和歌山中―海草中の試合に集まった大観衆 拡大1939年、和歌山予選の和歌山中―海草中の試合に集まった大観衆

■プロローグ

 戦前、和歌山勢は26回あった全国大会の中で優勝4回、準優勝2回という輝かしい成績を残し、「野球王国」の名を全国にとどろかせた。和歌山中(現桐蔭)は、第1回大会から14回連続で代表となり、第7回大会、第8回大会で2連覇を達成。和中時代を築いた。「打倒和中」に燃え、力を付けたのが海草中(現向陽)だった。第25回大会では、「伝説の左腕」が、甲子園での5試合連続完封という偉業を成し遂げ、全国制覇。翌年の第26回大会も制した。両校を中心に県内の学校がしのぎを削り築かれた「王国」。歴史は、今に受け継がれている。

■和歌山中・海草中が礎 伝統は今に息づく

 和歌山中が第8回大会で連覇を達成した1922(大正11)年の12月。当時皇太子だった昭和天皇が和歌山中を訪問し、在校生とOBの試合を観戦した。皇太子の観戦は初めてだったといい、「野球と言えば和歌山」を象徴する出来事だった。

 このとき、県や和歌山市、有志らの寄付で応援スタンドが作られた。バックネット裏から右翼まで約90メートル。今でも桐蔭のグラウンドにはこのスタンドが残る。

 野球王国和歌山の黎明(れいめい)期を引っ張った和歌山中。OBでもあり、戦前の優勝メンバーから指導を受けたことがある松嶋正治さん(86)=和歌山市=は、「先輩たちは厳しい言葉の一つひとつに重みがあった」と懐かしむ。「野球だけでなく勉強も両立させろ、両方できて和中なんだ」。松嶋さんはその言葉に「和歌山の学校の中で1番であるべきだという自負を感じた」という。

 大学卒業後、桐蔭の監督に就いた松嶋さんは61年、夏の甲子園出場を果たし、準優勝に導いた。大会で勝ち進むごとに増える応援の卒業生。試合後、県内外から集まった人が監督、選手らを取り囲み、時にはバスの出発が遅れることもあったという。そこで交わされる固い握手に松嶋さんは「和中の輝かしい伝統が生きている」と感じた。

 その和歌山中に「追いつけ追い越せ」で登場したのが海草中だ。37年から40年まで4年連続で甲子園に出場し、39年、40年には甲子園で2連覇を果たす。「伝説の左腕」と今も語り継がれるのが嶋清一投手だ。伸びのある速球と垂直に落ちるかのような変化球が持ち味で、39年の甲子園で全5試合を完封。決勝、準決勝ではノーヒットノーランを達成した。

 海草中の全盛期だった39年に和歌山中でプレーした田中享さん(91)=和歌山市=は、打席に入った先輩が嶋投手に三振に打ち取られ「あれは打てん」と舌を巻いた様子を今でも覚えている。「ベンチから見ていてもボールがキャッチャーミットに収まる音が違った」という。嶋投手は、その後、明治大学に進んだが、学徒出陣で戦死した。

 海草中メンバーにも教えを受けた向陽の監督、堀内孝貢さん(67)は、先輩たちが仲間を兄弟のように話す様子を見て、団結力の強さを感じたという。今も、向陽の新入部員たちは、戦火に散った嶋投手についての本を読み、その伝統の重さを感じる。堀内さんは「100年以上も高校野球が続いているのは無形の遺産。これからも引き継いでいってほしい」と語る。

 次回からは、選手、監督らの証言をもとに、戦後の和歌山の球史をたどります。

(金子和史)

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