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高校野球【わかやま高校野球 夏100回への軌跡】

強豪校に入ったはずが

写真:西川良和さん=日高川町川原河 拡大西川良和さん=日高川町川原河

写真:胸にHIDAKA、帽子に「G」の文字で集合写真に納まる日高の選手たち=入江喜一さん提供 拡大胸にHIDAKA、帽子に「G」の文字で集合写真に納まる日高の選手たち=入江喜一さん提供

写真:一部拡大写真=入江喜一さん提供 拡大一部拡大写真=入江喜一さん提供

(4)日高

 経済白書で「もはや戦後ではない」と言われた1950年代後半、経済成長を担う人材育成として実業系の高校が求められるようになった。高校進学率が上がってきたこともあり、日高から商業科などがわかれて58(昭和33)年4月、御坊商工(現紀央館)が開校した。56年春の選抜大会に出場するほどの強豪校だった日高。だが、分離後、野球部員のほとんどが御坊商工に移った。チームを引っ張った長谷川治監督(故人)も御坊商工に異動した。部員不足となった日高は58年夏の第40回大会に出場できなかった。

■学校分離、部員足りず不出場

 日高OBの西川良和さん(77)=大阪府八尾市=は、日高が選抜大会に出場した56年に入学した。「甲子園に導いた長谷川監督の下で野球ができる」。そんな思いもあった。

 長谷川監督の練習はとにかく厳しかった。

 西川さんの1年先輩の入江喜一さん(78)=美浜町=は、「水を飲んだら体力が落ちると言われていた時代。ばれないように川に水を飲みに行ったこともあった」と話す。ただ、ユニホームの着方、帽子のかぶり方、あいさつの仕方などスポーツマンシップを全て教えてもらった。西川さんも入江さんも「厳しかったが、野球を嫌いになることはなかった」。

 旧美山村(現日高川町)出身の西川さんは、日高で野球をするために御坊市に下宿。年末年始以外は全て野球に打ち込んだという。選抜に出場してからは、地域の期待も高まり、学校のグラウンドには、仕事帰りや学校帰りのファンが押し寄せた。「次は自分も」。甲子園を思うと胸が躍った。

 しかし、西川さんが2年に進級した57年4月末、御坊商工の校舎の起工式があった。「徐々に覚悟というか、受け入れるしかないという感じだった」

 県高野連がまとめた野球史によると、分離前の日高で出場する最後となった57年夏の大会には、選手らが「御坊」を示す「G」マークの帽子をかぶったという。出場した入江さんの卒業アルバムにも、胸に「HIDAKA」をつけた日高の選手たちが「G」マークの帽子で集合写真に納まっていた。野球史では、長谷川監督の話として、「次の年から御坊商工ができること、それに御坊市の代表だという意味から『G』のマークをその年に限りつけたようだ」と紹介されている。

 58年に御坊商工と分離した後、日高に残った部員は西川さんを含め5人ほど。公式戦どころか、練習もできなくなった。それでもどうしても野球をやりたかった西川さんは、校内から人を集めて即席の軟式チームを作った。監督もいなかったが、西川さんは主将のような役割でノックをした。サインもつくり、試合もしたという。

 この年の夏の大会が始まると、御坊商工に移った同級生の試合を見に行った。「悔しい」「うらやましい」という思いが入り交じった。選手たちは、西川さんもかぶった「G」マークの帽子をかぶっていた。

 大阪に住む西川さんは、日高や御坊商工が近畿大会などに出場すると、球場に足を運び、御坊商工に移った同級生らとも一緒に声援を送った。「最後は悔しかったけど、卒業すれば、やっぱり御坊の代表という気持ち」と思わず笑みがこぼれた。

(金居達朗)

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