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高校野球【上昇気流 智弁和歌山の春】

主砲復帰 恩返し誓う (上)

写真:練習に励む林晃汰君(右)=和歌山市冬野 拡大練習に励む林晃汰君(右)=和歌山市冬野

 「飛ばしすぎやで、林。その力、甲子園までちゃんととっとけよ」。智弁和歌山のグラウンド。打撃練習でネット越えを連発する林晃汰君(3年)に高嶋仁監督(71)が冗談交じりに声をかける。「けがから復帰してからボンボン外に放り込んでいる。後は実戦での慣れで、80%くらいは仕上がってきている」と高嶋監督は自信をのぞかせる。

 林君は昨夏の甲子園初戦の興南(沖縄)戦に3番三塁手で出場。本塁打を放って逆転勝利に貢献した。だが、和歌山大会から感じていた右ひじの痛みが悪化。試合後に病院で疲労骨折と診断され、2回戦の大阪桐蔭(大阪)戦は先発を外れた。8月下旬に右ひじにボルトを埋め込む手術を受け、その後、約3カ月間のリハビリが続いた。

 「林をもう一度、あの甲子園の舞台に立たせてやれ」。昨秋の近畿大会前。高嶋監督が選手たちに発破をかけた。ボールボーイも務めた林君が見守るなか、チームは快進撃を見せた。

 1回戦の履正社(大阪)戦では14安打の猛攻で圧倒し、準々決勝の法隆寺国際(奈良)戦は七回コールド勝ち。準決勝、乙訓(京都)戦では根来塁君(2年)が九回に逆転サヨナラ打を放ち決勝に進んだ。決勝の大阪桐蔭戦は0―1で敗れたが、選抜出場を確実にした。「林がベンチを外れたことでチームの雰囲気が変わった。林不在を補おうと選手が力を発揮し、逆に勢いにつながった」と高嶋監督は振り返る。

 「野球人生で大きなけがは初めて。自分がいないチームが勝っていくのが悔しかった」。林君は昨年12月からキャッチボールや打撃練習を再開。特に下半身のトレーニングを重ね、体重も4キロほど増え、守備や打撃も安定してきたという。

 林君とよく一緒にトレーニングするという黒川史陽君(2年)は「林さんは練習で絶対に手を抜かない。打撃練習でもネット越えを量産しているのを見ると刺激される」。古宮克人部長(29)は「林は練習中の移動のスピードや課題に取り組む姿勢など、他の選手と次元が違う。林の姿を見て、練習でのチーム内が変わる」と語る。

 主砲が復帰して選抜に臨む智弁和歌山。高嶋監督は「林の存在は大きい。林には甲子園で本塁打3本。決勝まで行ったら5本は打ってほしい」と笑顔で話す。林君は「チームメートに連れて行ってもらう甲子園。恩返しできるように勝利に貢献したい」と選抜の舞台を見据えた。

 23日に開幕する第90回記念選抜高校野球大会。4年ぶりの選抜出場となった智弁和歌山には、1994年以来2回目の優勝の期待がかかる。今年のチームの強さは何か。2回に分けて迫る。

(片田貴也)

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