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高校野球【第100回 全国高校野球選手権和歌山大会】

夏 輝く 第10日

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■兄思い一球に力込め/市和歌山・奴田宗也君

 兄のリベンジを果たす――。市和歌山の奴田(ぬた)宗也君(1年)は公式戦初先発のマウンドに立っていた。1点リードで迎えた四回表。2死を取った直後、制球が乱れて連打を浴び、さらに、連続四球を与えて押し出しで1点を失った。「笑顔、忘れんなよ」。選手がマウンドへ集まり、奴田君に声をかけた。

 「ここで流れを渡すわけにはいかない」。9番打者を1ボール、2ストライクと追い込んだ4球目。決め球のスライダーを投げ込み三振にしとめた。「兄の分も。その気持ちで投げた結果」と奴田君は汗をぬぐった。

 兄を破った因縁の日高中津との対戦――。奴田君の兄は、慶風の幸希君(3年)。日高中津は2回戦で、慶風を5回コールドで破り、3回戦に進出した。「明日、使えよ」。日高中津戦の前日、奴田君は兄が使っていたバットやバッティンググローブなどを受け取った。「これで負けるわけにはいかない」。気持ちが高ぶった。

 迎えたこの日の先発のマウンド。前日の練習後に半田真一監督から先発を告げられ、緊張したという奴田君だが、得意のスライダーがさえ、球を低めに集め、的を絞らせない。5回を2失点に抑え、マウンドを降りた。半田監督は「100点満点。失点後に崩れずよく投げた」と活躍をたたえた。

 兄が次打者席で最後の夏を終えたのをテレビで見たという奴田君。兄の思いに応えた。「でもこれで終わりじゃない。兄と甲子園に行く」。奴田君は次を見据えていた。

(片田貴也)

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