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高校野球【第100回 全国高校野球選手権和歌山大会】

夏輝く 準々決勝

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■エース集大成の夏/和歌山東・杉本禎輝君

 「絶対に点はやれない。九回の攻撃につなげる」。その気持ちしかなかった。同点で迎えた八回。マウンドに向かう和歌山東のエース杉本禎輝君(3年)はベンチ前で2回ジャンプし、気持ちを落ち着かせた。

 2死をとったが、走者一塁。打席には、この日適時打を放っている向陽の6番打者。「まっすぐで押していこう」。捕手のサイン通りに外角の直球を投げ込んだ初球。打球は右翼に飛び、一塁走者が生還。向陽のスタンドからはこの日一番の歓声がわき起こった。スコアボードに「1」が表示された。杉本君はスコアボードの方向をぼうぜんと眺めた。

 エースとしての集大成――。杉本君は昨夏からエースナンバー「1」を背負いチームを引っ張ってきた。今夏は初戦となる2回戦の星林戦を103球で完封、3回戦の近大新宮戦では七回途中まで投げて5三振を奪うなど力投を続けてきた。

 この日の先発は、落合秀市君(2年)。中盤以降、継投を考えていた米原寿秀監督は、五回に投球練習を始めた杉本君に「お前で行くぞ」と声をかけた。六回からマウンドに上がった杉本君は、調子もよく力みもなかった。球を低めに集め、スライダーがさえ六、七回は無失点に抑えた。しかし、八回の一球。杉本君は「相手の方が上だった。悔いはないけど抑えたかった」と振り返った。

 試合の後の整列時、杉本君は涙を浮かべた主将の河野翔君(3年)、5番打者の南部唯人君(同)らの背中を手で押した。「胸張って帰ろな」。米原監督は「チームを引っ張るエースに成長してくれた」とたたえた。杉本君は「接戦になるのは分かっていたが、粘り負け。最後の夏に悔いはありません」。目に涙はなかった。

(片田貴也)

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