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10月18日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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■視線の先は甲子園で優勝/智弁和歌山のエース・平田龍輝君

 「想定外」の本塁打だった。2点をリードした九回表。智弁和歌山のエース平田龍輝君(3年)は無死一塁で市和歌山の代打を迎えた。3球目。甘く入った内角直球がはじき返され、きれいな弧を描き、左翼スタンドに吸い込まれた。

 土壇場の同点弾。流れは市和歌山に傾いた。負けパターン――。平田君の脳裏に浮かんだ。だが、逆にこれで吹っ切れた。「まだ、(攻撃の九回)裏がある。ここを抑えるのがエース」。心に決めた。次打者を三振、その後、野手にも助けられ併殺でピンチを切り抜けた。マウンド上でガッツポーズし、九回裏の攻撃に望みをつないだ。

 「一番苦しい試合だった」。平田君はこれまで、初戦に六回までの参考記録ながらノーヒットノーランを達成するなど準決勝まで2試合で9回投げて無失点と好投を続けてきた。

 迎えたこの日の決勝。一回、1、2番打者にいきなり連続二塁打で1点を先取され、続く二回にも連打を浴び3点を追う展開に。「決勝の独特の雰囲気。序盤は焦りがあった」

 直球中心からカーブやスライダーなどの変化球主体に修正し、三、四、五回は毎回走者を出しながらも無失点に抑えた。文元洸成主将(3年)は「調子が良くなくても気持ちの伝わる球だった。エースの姿を見て気持ちが高ぶった」。

 九回裏の攻撃。1死一、三塁で6番黒川史陽君(2年)。「黒川なら犠飛でかえしてくれる」。ベンチで祈った。右翼への飛球で三塁走者の林晃汰君(3年)が本塁に滑り込みセーフ。ベンチを飛び出した。「なにがなんだか分からない喜び」。平田君は涙を浮かべた。

 「ピンチで切り抜けられたのは成長。でも打線に頼らない投球をするのがエース」と平田君は試合後に振り返った。赤くなった目元の先にあるのは甲子園優勝。今春選抜準優勝のリベンジが始まる。

(片田貴也)

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