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根ほり葉ほり

「大山上池・下池」保全するには

写真: 拡大

◆ 山形大学農学部教授 林田光祐さん(60)

 鶴岡市の「大山上池(かみ・いけ)・下池(しも・いけ)」が、ラムサール条約の登録湿地となってから10年が経った。「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地」の県内唯一の登録地。登録前から周辺の自然環境調査などに関わってきた山形大学農学部教授の林田光祐さん(60)に現状や課題を聞いた。

 ◆ 水位を管理 水辺の植生豊かに

 ――登録湿地はどんなところですか。

 江戸時代から農業用のため池として使われていました。今は、コハクチョウを含むガン・カモ類を始めとする水鳥の越冬地や中継地にもなっていて、年間を通じて多くの野鳥が見られます。絶滅危惧種などの貴重な植物も多い場所です。

 ◆ 賢明な利用を

 ――関わりを持つようになったのは。

 登録前、この地域を中心として「庄内自然博物園構想」が検討されていました。二つの池の周辺にある都沢湿地や高館山なども含めた広い一帯を自然学習の場にしようというもの。その際、構想の実現をめざす地域推進協議会の専門委員を任され、湿地周辺の植生調査を進めたことがきっかけです。

 調査の中で、「このまま放っておいたらだめだ」と感じるようになりました。市民に声をかけてサポーターになってもらい、ブタクサなど外来植物の草刈りや、ウシガエル、アメリカザリガニなど外来生物の捕獲、駆除を始めました。2008年10月の登録後も、こうした活動は鶴岡市自然学習交流館「ほとりあ」へと受け継がれています。

 条約の理念は単なる保護ではありません。豊かな生態系を保全しながら、自然の恵みを利用する「ワイズユース」(賢明な利用)。それを進めるための交流や学習も、重要な柱です。

 ――池の環境はどのように変化してきましたか。

 昔はジュンサイも育つ、きれいな池でした。最近は富栄養化による窒素濃度の高まりが、問題として指摘されています。その最大の原因は、1990年代に飛来数が増えた水鳥の糞(ふん)です。加えて、池の水を以前のように使わなくなったことも関係しています。

 上池では、浮草組合がハスの花やレンコンを収穫するため、夏季に水が抜かれます。このことが水質を改善するとともに、水辺の植生も豊かにしています。下池でも、モニタリング調査にもとづいた水位の管理で自然環境を保全することができると考えています。

 ◆ 自然学習の場

 ――登録10周年記念のシンポジウムでコーディネーターを務めました。

 浮草組合、水利権を持つ土地改良区、自然保護団体の代表者たちと一緒に「現在・過去・未来」をテーマに話し合い、考える機会となりました。

 農業用のため池としては今も必要ですが、かつてほど切実ではありません。その一方で、ほかの役割や機能が求められています。野鳥観察や自然学習の場であり、拠点となる「ほとりあ」は大きな存在です。下池の周囲では、ウォーキングしながら自然に親しむ姿も多く見られますね。

 そうした役割のためにみんなで知恵を出し合い、保全していくことが重要です。関係者の基本的な理解は得られてきていると思います。(聞き手・佐藤孝則)

◎ はやしだ・みつひろ 1958年、熊本市生まれ。北海道大学農学部を卒業し、同大学院修了。北大農学部付属演習林での勤務を経て93年、山形大学農学部の助教授に。2006年、同教授。専門は森林保全管理学。現在は農学部長も務める。小学校の学校林で環境教育のための森づくりもサポートしている。

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