メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

02月21日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

根ほり葉ほり

子ども・仕事・家庭 悩み多様化

写真: 拡大

 ◆ 「福島こころの公民館fucco」運営 早坂信一さん(49)

 東日本大震災によって、全国最多の1万4千人近くが避難した山形県。4日時点で1826人になった。この8年で、避難者たちを取り巻く状況はどう変わってきたのか、避難者交流の場「福島こころの公民館fucco(ふっこ)」(山形市東山形2丁目)を運営する早坂信一さん(49)に聞いた。

 ◆ 震災避難者の環境 8年でどう変化?

 ◆ 話せる場必要

 ――「fucco」ではどんな支援をしているのですか。

 主に福島県からの避難者が集まる交流の場として運営しています。住宅地の一軒家で、2人の女性スタッフが常駐。スタッフの1人は福島からの避難者です。平日は毎日開館。月に数回は、料理教室などのイベントを開いています。こうしたイベントで1度来たことがあれば、何かあった時にも相談してもらいやすいのではないかと期待しています。

 最初はぎこちない標準語でしゃべっていた人が、福島の人同士で話すうち、だんだん福島弁になってくる。「ここで話すと安心する」「また明日から頑張ろう」と言ってもらえることがうれしい。福島弁で心置きなく話せる場が必要なんだと思います。

 ――何をきっかけに被災者支援に携わるようになったのですか。

 東日本大震災が起きた時、山形市の人材派遣会社の会社員でした。発災から2週間後に、宮城県石巻市に地域の仲間と炊き出しに行ったのが最初です。当時の石巻は泥だらけ。用意したカレーを泣きながら食べる高校生や、「温かいものを食べたのは被災してから初めて」という人も。「これは炊き出し1回くらいじゃなんともならない」と感じました。

 月に1度、石巻や岩手県陸前高田市に泥のかき出しなどのボランティアに通いつつ、被災地向けのボランティアバスの運行もしました。

 被災地での作業が減るにつれ、県内の避難者の交流会に徐々にウェートを移してきました。会社を辞め、「fucco」を開いたのは16年。避難者同士がつながれる拠点が必要と感じたからです。福島県からの補助金を受けて運営してきたので、福島からの避難者が主ですが、他県からの避難者の相談にも乗ります。

 ――この8年で、避難者を取り巻く状況はどう変わってきたのでしょうか。

 当初は、生活することだけで必死だった人が多かった。避難が長期化するにつれ、子どもの成長、仕事、家族でどう暮らすかなど、それぞれの事情によって悩みが多様化してきているように思います。

 帰還についての考えもさまざまです。こちらで家を買って住んでいても、「戻りたい」と考えている人もいる。選択肢があることで、悩みが増す側面もあります。将来について思い詰め、うつ状態になった女性から相談を受け、専門の機関を紹介したこともありました。

 ◆ 「外野」の立場

 ――支援の内容も変化していくのでしょうか。

 個別の事情や考えを、より丁寧に聞くようになりました。物資が必要とか、手続きが分からないといったすぐに結論が出るような問題なら、電話相談などでもいいかもしれません。でも、事情が込み合うほど、相談相手との普段からの交流や関係性が重要になる。だからこそ、常に開いている「場」を持っていることが重要だと考えています。

 一方で、自分たちは「外野」であることを忘れないようにと思っています。避難を続ける、帰還する、定住を決める……。どの選択もすべて当事者が悩んで決めたこと。それは必ず支持した上で、解決策を考えていきたいと思っています。

 始めたころは、徐々に避難者が減っていき、18年度くらいで役目が終わるのではと思っていました。でも、18年度の利用者は、のべ約700人。普段の生活では山形になじんでいても、一方で福島とのつながりは持っていたいと考える人も多い。交流の場は、まだまだ必要とされていると感じます。(聞き手・青山絵美)

 ◎ はやさか・しんいち 1969年、山形県寒河江市出身。震災後、現地でのボランティア活動やボランティアを乗せるバスの運行、県内への避難者の交流会開催に取り組む。2013年、被災者支援団体「やまがた絆の架け橋ネットワーク」を設立。16年にNPO法人化し、「fucco」の運営を始めた。

 

PR情報

ここから広告です

PR注目情報

山形総局から

山形アサヒ・コムをご利用頂きありがとうございます。皆様のご意見・ご感想・ニュースや身近な話題などお気軽にメールでお寄せ下さい。お待ちしております。メールはこちらから

朝日新聞 山形総局 公式ツイッター

関連サイト

別ウインドウで開きます

注目コンテンツ

  • 写真

    【&w】カカドゥの不思議な野鳥たち

    ノーザンテリトリー〈PR〉

  • 写真

    【&TRAVEL】遊び心満載の豪華客船

    船上でサーフィン?〈PR〉

  • 写真

    【&M】廃虚の朽ち果てていく美しさ

    「変わる廃墟展 2019」

  • 写真

    【&w】劇場鑑賞券を3組6名様に

    「&w」読者プレゼント

  • 写真

    好書好日旅するように異国料理を作る

    宮崎あおいさん初の料理本

  • 写真

    WEBRONZAカーシェア急拡大

    今日の編集長おすすめ記事

  • 写真

    アエラスタイルマガジンこれぞ手軽な手土産の大本命

    手土産に縁起のよい「虎家喜」

  • 写真

    T JAPAN未来を変えるコスメ 第2回

    全米で話題の「CBDオイル」

  • 写真

    GLOBE+注目は年齢差だけではない

    マクロン大統領夫人の実像

  • 写真

    sippo絶滅の危機に瀕するトラ

    生態は猫とほぼ同じ

  • 働き方・就活

  • 転職情報 朝日求人ウェブ