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根ほり葉ほり

無投票当選が続くとどうなる

写真: 拡大

 ◆ 東北大准教授 河村和徳さん(47)

 4月の統一地方選では、全国各地で無投票での当選が相次いだ。県内でも県議選は9選挙区で、市町村議選は3市町で候補者がそれぞれ無投票で議席を獲得した。無投票が常態化するとどうなるのか。東北大学の河村和徳准教授(47)=政治学=に聞いた。

 ◆ 「お任せ民主主義」の温床に

 ――県議選(定数43)では4割が有権者の審判を経ずに議席を獲得したことになります。どうして無投票は多いのでしょう。

 県議選は1人区、2人区の弊害といえます。1人区は現職が知名度で勝るので、新顔は現職が引退する時以外は狙いにくい。2人区は、国政の与野党で1議席ずつ分け合っている場合、与党の自民は独占を狙ったとしても共倒れのリスクを考えると立てられず、野党も2人出す余力がないという状況です。

 ――15の市町村議選でも3市町は無投票でした。

 地盤、看板(知名度)、カバン(資金)のない新顔は出馬が困難です。地方経済が疲弊し、すべてを自力で備えられる人が少なくなった上、当選後もカネが必要なのに議員報酬は高くありません。

 特に子育て世代の勤め人は、落選すると生計を失うリスクがあるので立候補に踏み切れません。山形市のように定数が多いところは比較的チャレンジしやすいですが、定数が減れば減るほどなり手不足に拍車がかかるといえます。

 ◆ 民意つかめず

 ――無投票はどんな弊害がありますか。

 獲得票数は当選後の発言力のバロメーターですが、無投票ではそれがないので、役所の執行部に対する説得力が弱まりかねません。例えば、無投票で当選した議員がトンネル建設の要望で、役所側から「公約に掲げていたのか」と問われたらどうでしょう。

 議員が、背負うべき民意を把握できない問題もあります。議員にとっては選挙費用も節約でき、言質も取られないので楽ですが、住民意見が割れるような決断をしなければならない時に苦労することになります。

 ――住民にはどんな影響が考えられますか。

 選挙公報が配られないので候補者の公約や政策の優先順位がわからず、当選した議員が何をしたいのか見えません。後々に公約の検証もできないことになります。

 ――無投票が長く続くと、どうなりますか。

 議員の後援会が劣化するでしょう。支持者の掘り起こしをしなくなり、幹部も固定化して若手に選挙のノウハウが伝わらず、組織として弱体化します。

 また有権者の投票習慣がなくなることで投票率の低下も危惧されます。特に18歳になり、選挙権を持った人は投票できずに出ばなをくじかれ、政治参加の意欲が一気に失われます。憲法や外交が争点になりがちな国政選挙とは違い、地元の雇用や交通など身近な課題が問われる地方選挙は若者にも取っつきやすいのですが、その機会が奪われます。結果的に「お任せ民主主義」の温床になります。

 ◆ 公報義務化を

 ――どうすれば解決するでしょうか。

 無投票は経費を浮かすことができても、民主主義制度の根幹を危うくするものです。少なくとも選挙公報の配布を義務化し、できれば信任投票を実施すべきです。政党中心の国政選挙と異なり、候補者個人が前面に出る地方選挙は落選リスクも個人任せです。政党が候補者を育て、落選したら職の面倒まで見ることで、新顔が挑戦する雰囲気が作れるのではないでしょうか。(聞き手・星乃勇介)

 ◎ かわむら・かずのり 1971年、静岡県生まれ。慶応大大学院法学研究科博士課程単位取得退学。同大法学部専任講師、金沢大助教授を経て現職。専門は政治意識論、地方政治論で、日本の地方選挙についての著述が多数ある。

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