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高校野球【第101回全国高校野球選手権大会】

2019夏/兄弟で挑んだ最初で最後の夏

写真:攻撃が終わり、ともにベンチに戻る酒田光陵の森居優介選手(右)と弟の駿介選手=県野球場 拡大攻撃が終わり、ともにベンチに戻る酒田光陵の森居優介選手(右)と弟の駿介選手=県野球場

 ◆ 酒田光陵 森居優介選手・駿介選手

 2点を追う六回表、酒田光陵の4番打者、森居優介選手(3年)が内野ゴロに倒れると、一塁コーチが駆け寄ってきた。弟の駿介選手(2年)だ。兄からヘルメットと手袋を受け取り、声をかけた。「大丈夫。切り替えていこう」

 兄弟は9年前、一緒に野球を始めた。駿介選手は小学2年だった。それ以来、ずっと一学年上の兄と同じチームでプレーしてきた。

 幼い頃、兄からはよくちょっかいを出された。ケンカもたくさんした。でも、ユニホームを着た兄は、いつだって格好良かった。

 中学の時、駿介選手は投手。一塁手の兄はピンチのたびにマウンドに駆けつけて「大丈夫。落ち着いて」と声を掛けてくれた。「自分もいつかは、仲間を支えられる選手になりたい」

 兄と一緒に甲子園に出ることを夢見て、酒田光陵に進んだ。だが昨秋の県大会ではメンバーに入れなかった。兄と一緒に試合に出るため、冬の間は必死にバットを振り込んだ。兄や先輩たちから助言をもらい、打撃フォームの改良にも取り組んだ。春を迎えると、徐々に出番も増えてきた。

 そして挑んだ13日の初戦。兄弟そろって先発出場し、兄は4番、駿介選手は直後の5番をまかされた。自身のバットから快音は響かなかったが、兄と同じグラウンドに立てただけでワクワクした。中越えに適時二塁打を放った兄に試合後、「すごい打球だったね」と興奮気味に伝えた。

 この日も、兄は鋭い打球で敵失を誘って出塁し、チームで最初のホームを踏んだ。駿介選手の出番はなかったが、一塁コーチとしてサポート役に徹した。試合には敗れたが「2人で一緒に戦えた」。

 試合後のミーティング。目を赤らめながらも前を向く兄の後ろで、駿介選手は顔を手で覆い、泣きじゃくった。兄と一緒に挑んだ最初で最後の夏。来夏はきっと、兄の分も悔しさを晴らすつもりだ。(西田理人)

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